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【食のプロの台所】大切なものに囲まれた、親子の空間

料理通信

台所は暮らしの中心を占める大切な場所。使い手の数だけ、台所のありようがあり、その人の知恵と工夫が詰まっています。亀井きぬさんが暮らすのは、台所をメインにデザインして建てた家。脚立や椅子を駆使して、小さな子どもたちもコーヒーを淹れ、料理を楽しみます。


亀井きぬ
大人の貸切プライベートカフェ「koyamame roastery」マネージャーを務めながら、丁寧に焙煎したコーヒーの販売も行う。8歳になるマスター(娘)、2歳のミスター(息子)と過ごす日々を切り取って発信するInstagramアカウント( @___okinu )には、40万人以上のフォロワーがつく。


(TOP写真)
空間全体として採光は控えめで、森のなかのような柔らかく落ち着いた明るさに満たされ、白壁と木の温もり、アンティークの味わいが、訪れる人をほっとさせる。塗り壁に使われているゼオライトの効果か、真夏でも涼やかだ。娘のふうちゃんは2歳半からコーヒーを淹れ始めた。


白壁と木の温もりにほっとする

白壁に映える木製の棚板、そこにゆったりと並べられた、アンティークのコーヒーミル、ドリッパー、ガラスのケトルが、まず目に飛び込んでくる。


「コーヒーを淹れる動きに合わせて、道具を配置しています」と、亀井きぬさん。神戸で過ごした高校時代からコーヒーを愛し、製菓を学び、会社勤めを経て北海道へ。好きなものを追い求め、多くの作品と出会った。7年前に建てた自宅は、台所を中心にデザインし、こだわりを詰め込んだ。


タイル張りの作業台には、ヤマザクラを削り出した木べら、白樺の樹皮をあしらったキャニスター。目に留まるツールのほぼすべてが、作り手の息づかいを漂わせる。


「本当に良いものを長く使いたいから、妥協したくないんです」


尊敬する誰かが作ったものだからこそ、いつまでも大切に使い続ける。大切なものだから、広くしつらえた棚に、ゆったりと並べ、視覚、手触り、使い心地で深く味わう。この台所は、非公開のカフェでもある。


“アシスタント”がコーヒーの支度を始めると、娘であり“マスター”のふうちゃんが、木製の脚立を運んできて張り切る。そのドリップの腕前は、アシスタントも脱帽するほどだ。笑顔の尽きない母と子の連携によって満たされたカップからは、今日も、やさしく芳醇な香りが湯気とともに立ち上る。


作業台はタイル張りで、メンテナンスが手軽。台の下は自由にストレージを配置できる。

台所から見渡すリビングにも、お気に入りの食器やアンティークが並び、空間の一体感を醸す。

(雑誌『料理通信』2020年10月・11月合併号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)


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