【「第44回三島市民演劇祭」初日】「三島といえば大社、コロッケ、演劇祭」が大げさに聞こえない
静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は三島市民文化会館で2月14日に開幕した「第44回三島市民演劇祭」を題材に。15日にも演目がある。
(文・写真/論説委員・橋爪充)
昨年11月の高校演劇県大会、今年1月の高校演劇関東大会に続き、2月は同じ会場で恒例の市民演劇祭である。だんだん三島が「演劇のまち」に感じられてくる。
そんなことを考えながら席に着いたが、「三島で演劇が盛り上がっている」というのは現実の出来事であるようだ。開会式の川瀬義人実行委員長(劇団川瀬組)らのあいさつによると、8団体参加は過去最高。1983年開始の同演劇祭が2日間開催するのは1990年の第8回以来という。
客席を見渡すと、8割方埋まっている。客層も中高生からシニア世代まで幅広い。もちろん14日に上演する2団体の関係者が多いだろうが、それだけにはとどまらない熱気のようなものを感じた。キャッチコピー(秀逸!)の「三島といえば大社、コロッケ、演劇祭」が大げさに聞こえない。
韮山高演劇部のオリジナル台本による「たんぽぽ」は、シェアハウス「メゾン鼓草」で暮らす5人の中高生男女のエピソードを時系列に並べた短編小説集的な味わいがある演目。彼らにとっての物理的な「居場所」であるシェアハウスが、心理的な「居場所」としての意味合いを強めていく過程が伝わってきて、高校演劇ならではのすがすがしさを感じた。自分たちの巣立ちをタンポポの綿毛に例えたラストに羊文学の「光るとき」が鳴り響き、観客に「若者の未来に幸あれ」との気持ちを喚起させた。
続く「劇団夏組」の「脱げない」は、フォーマルドレスが脱げない女性の一人芝居から、ファストファッションの製造現場における労働搾取に話をつなげる奇想天外なストーリー。どうやら東北地方から上京して働く低賃金の女性と、バングラデシュの工場崩落事故で生き残った少女が手に手を取り合って目的を達成する筋書きは、時空を超える演出が可能な演劇でしかありえない表現だと感じた。
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■第44回三島市民演劇祭
会場: 三島市民文化会館小ホール(三島市一番町20-5)
入場料:大人(大学生以上)1000円、高校生以下500円 ※全ての演目を鑑賞可能
15日(日)のスケジュール:
午前10時半 開場
午前11時 宣至劇場「ゴジラ」(上演70分)
午後0時25分 三島かたりべの会「ふるさとの昔話より」(上演40分)
午後1時20分 劇団川瀬組「ジョブ!」(上演80分)
午後2時55分 日大三島高演劇部「Ghоst...?」(上演60分)
午後4時10分 Mforyou「ここはどこ?」(上演40分)
午後5時5分 演劇集団S木道場「銀河のかたすみで」(上演65分)