「可愛いバレエ少女」と思ったら「踊る吸血鬼」だった!? 古典ホラーの名作からタランティーノ脚本作まで『アビゲイル』に影響を与えた〈ヴァンパイア映画〉3選
怖くてキュートな“踊る吸血鬼”とは
『M3GAN/ミーガン』の<ユニバーサル・ピクチャーズ>と、『スクリーム』の<レディオ・サイレンス>が放つサバイバル・アクションスリラー、『アビゲイル』が9月13日(金)より全国公開となる。
このたび、本作で誘拐犯たちを恐怖のどん底に陥れる“怖キュート”な踊る吸血鬼のインスパイア元となった「ヴァンパイア映画」3作品を、脚本のガイ・ビューシックが明かしてくれた。
「思いつくヴァンパイア映画をすべて観た」
映画『アビゲイル』は、ある犯罪者集団が身代金5000万ドルを手に入れようと、12歳の大富豪の娘を誘拐し郊外の屋敷で監禁するも、その少女は実はヴァンパイアだった……というストーリー展開。
古くは11世紀頃から恐怖の存在として語り継がれてきたヴァンパイアだが、近現代では小説や舞台、映画などで人間を襲うモンスターとして描かれ、いまや恐怖ジャンルとして確固たる地位を築いている。そんなヴァンパイアに新たなスタイルを加えた『アビゲイル』には踊る吸血鬼、バレリーナ・ヴァンパイアの少女という、キュートだが恐ろしいモンスターが登場する。
本作で脚本を担当したのは、新生『スクリーム』シリーズ(2022年ほか)や『レディ・オア・ノット』(2019年/未公開)で高い評価を得ているガイ・ビューシック。執筆にあたり「思いつくヴァンパイア映画を全て観た」と語るビューシックが、特に着想を得たというヴァンパイア映画とは――?
『アビゲイル』に影響を与えたヴァンパイア映画3選
『魔人ドラキュラ』(1931年)
吸血鬼映画の原点にしてホラー映画の金字塔
毎晩、街を訪れては若い女性の生き血を求めていたドラキュラ伯爵(ベラ・ルゴシ)は、美しい女性・ミナ(ヘレン・チャンドラー)に近づく。そんな伯爵の魔の手からミナを守るべく、婚約者のハーカ―(デヴィッド・マナーズ)とヘルシング教授(エドワード・ヴァン・スローン)が吸血鬼に立ち向かう。
『フランケンシュタイン』(1931年)、『狼男』(1941年)などの<ユニバーサルモンスターズ>の一角を担う名作。タイトルロールを演じたベラ・ルゴシの強烈なハンガリー訛りと独特の魅力を放つドラキュラは、彼を一躍怪奇スターにした。同作はハミルトン・ディーン及びジョン・L・ボルダーストン2人が脚本に組み立てたことにより、舞台劇としても有名になっているブラム・ストーカー原作の小説の映画化。吸血鬼映画の原点にして最高傑作と名高い『魔人ドラキュラ』の、幻想的なムードの中で静かに忍び寄るドラキュラの死の気配を堪能してほしい。
『ドラキュラ』(1992年)
時を超えた永遠の愛と復讐が交錯するゴシックロマンス
15世紀のワラキアの王、ヴラド・ドラキュラ(ゲイリー・オールドマン)が最愛の妻エリザベータ(ウィノナ・ライダー)の死を受け、神への復讐を誓う物語。時を経てドラキュラ伯爵となった彼は、1897年、英国の青年弁護士ジョナサン・ハーカー(キアヌ・リーヴス)の婚約者ミナ(ウィノナ・ライダー)と出会う。ミナはエリザベータの生き写しだった。ヘルシング教授(アンソニー・ホプキンス)と共にドラキュラを追う一行。愛と死の葛藤の中、ミナはドラキュラを復讐から解放することが出来るのか――。
『ゴッドファーザー』シリーズや『地獄の黙示録』で知られる巨匠フランシスフォード・コッポラが監督した本作は、第65回アカデミー賞にてメイクアップ賞、録音効果編集賞、そして日本人デザイナーの石岡瑛子が担当した衣装デザイン賞の3部門を受賞している。ドラキュラ伯爵役のゲイリー・オールドマンの色気とウィノナ・ライダーの圧倒的な美しさに加え、石田英子による衣装の素晴らしさが映し出される妖艶なドラキュラの世界観は見る者を魅了するだろう。
『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(1996年)
強盗犯と牧師一家が吸血鬼の巣窟で繰り広げるケレンなドンパチ
全米で銀行強盗や殺人を繰り広げるゲッコー兄弟(ジョージ・クルーニー、クエンティン・タランティーノ)は、メキシコ国境を目指して逃亡していた。道中で牧師を辞め放浪の旅をしていたフラー(ハーベイ・カイテル)とその一家を人質にし、国境を越える。彼らは仲間と落ち合うために「ティッティー・ツイスター」というバーで一晩を過ごすが、そこは吸血鬼の巣窟だった……。日暮れと共に恐ろしい戦いが勃発し、生き残りを賭けて熾烈な闘いが繰り広げられることに。
クエンティン・タランティーノが脚本を担当し、『デスペラード』(1995年)のロバート・ロドリゲスがメガホンを取り、その後、2作の映画化とドラマシリーズも制作された大人気シリーズに。強盗犯と牧師一家が吸血鬼の巣窟に足を踏み入れてしまう設定は『アビゲイル』を彷彿とさせる。本作を観る前に予習しておけば、より一層作品を楽しめるはず。
もし誘拐した少女が“バレリーナ・ヴァンパイア”だったら?
『アビゲイル』 9月13日(金)より全国公開
大富豪の娘で、わずか12歳のバレリーナの少女を誘拐した犯罪グループ。5000万ドルの身代金を手に入れるため、残された仕事は郊外の屋敷で少女の身柄を一晩監視するだけ。しかし、実は少女の正体はバレリーナ・ヴァンパイア(踊る吸血鬼)! 監禁されたのは、むしろ誘拐犯のほうだった……。まさかの返り討ちにあった彼らは、24時間のサバイバルに耐えられるのか?
そんな本作の監督を務めたのは、あの『スクリーム』シリーズを蘇らせたクリエイティブチーム<レディオ・サイレンス>のマット・ベティネッリ=オルピン&タイラー・ジレットのコンビだ。
そして誘拐犯グループのキャストには、『イン・ザ・ハイツ』(2020年)で次世代スターとして脚光を浴びた注目の若手メリッサ・バレラをはじめ、『ダウントン・アビー』(2019年~)や『ゴジラ×コング 新たなる帝国』(2024年)のダン・スティーヴンス、『アントマン&ワスプ:クアントンマニア』(2023年)や『ザ・スイッチ』(2020年)のキャスリン・ニュートン、ギレルモ・デル・トロ監督の吸血鬼ドラマ『ストレイン 沈黙のエクリプス』(2014年~)にも出演するケヴィン・デュランド、『 ブレイキング・バッド』(2009~2011年)のジャンカルロ・エスポジートなど、個性豊かな実力派俳優たちが集結。そして謎の少女アビゲイル役には、Netflix映画『マチルダ・ザ・ミュージカル』(2022年)のアリーシャ・ウィアーが抜擢された。
14歳のウィアーが演じる“怖キュート” な踊る吸血鬼・アビゲイルが、どのように誘拐犯たちに迫っていくのか? 恐怖とユーモアに満ちたぶっ飛び展開を、ぜひ劇場の大スクリーンで見届けよう。
『アビゲイル』は2024年9月13日(金)より全国公開