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レオ・シルバや扇原貴宏らJ1移籍戦線で目立つボランチ6選手の2022年展望

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ヴィッセル神戸に移籍した扇原貴宏,Ⓒゲッティイメージズ

18年ACL優勝を知る鹿島レオ・シルバが名古屋へ

開放中のJ1リーグの移籍市場を見渡すと、名の知れた大物ボランチの移籍が目に付く。どの選手も戦力外というより、惜しまれつつもチーム事情などにより前所属チームを去った実力者である。

期待は高まるが、補強には当たり外れがつきもの。そこで昨季の個人成績をベースに、彼らが新天地で輝けるかを探る。


アルビレックス新潟で4季、鹿島アントラーズで5季を過ごし、中盤で存在感を示したレオ・シルバ。昨季の先発試合出場数20試合は、鹿島に来て最多出場数を記録した一昨季に比べると、9試合減少した。

ただし、総シュート数は20年、21年は同数の21本で変わらない。それでもピーク時には年間40本前後のシュート数を放っており、近年の攻撃力低下は否めない。

しかしながら、昨季のロングパス成功率は71.1%(1試合平均ロングパス数5.1本)と高い数字を残し、司令塔的な役割を名古屋グランパスでも担いそう。また、21年タックル成功率は81.7%(1試合平均タックル数2.1本)と、持ち前のデュエルの強さも健在だ。

永木亮太は湘南ベルマーレに復帰

同じく鹿島で6シーズンを過ごした永木亮太は、古巣の湘南ベルマーレに復帰することに。鹿島では右サイドバックを務めた時期もあり、18年30試合(先発20試合)、19年31試合(先発26試合)、20年31試合(先発12試合)と3年連続でコンスタントに出場機会を得ていた。

だが、昨季は大幅に出番を失う。それに伴い、昨年は特筆すべきデータもない。

それでも守備のマルチロールとして計算が立つ永木のカムバックは、湘南にとって大きいはず。鹿島でJリーグ(16年)、天皇杯(16年度)、ACL(18年)の3つのタイトルを獲得した貴重な経験も、若手主体の湘南に還元してくれるだろう。

扇原貴宏はヴィッセル神戸へ完全移籍

扇原貴宏は、ヴィッセル神戸へ完全移籍。21年は副主将としてチームを支え、19年のリーグ制覇にも貢献した。昨季出場数は32試合で、充実のシーズンを送っていたと思われるが、神戸が辣腕を発揮して引き抜いた。

昨季の数字を見ると、1試合平均敵陣パス数34.0はリーグ全体で9位。これはボランチながら、攻撃へ関与する機会が多かったことを示す。トラップやパス、クリアなどのボールタッチアクション回数を出場試合数で割った数値、1試合平均プレー数は65.3(リーグ37位)と、攻守両面で起点になれる存在だと分かる。

この2つの数字は、神戸の既存ボランチ、セルジ・サンペールの1試合平均敵陣パス数30.4(同18位)、1試合平均プレー数76.5(同9位)に近い。司令塔アンドレアス・イニエスタを下支えできるMFがもう一枚増えたことは、22年ACLも戦う神戸にとって重要な意味をもつ。

横浜FMが玉突き移籍で藤田譲瑠チマを獲得

扇原の後釜として横浜FMに加入した新戦力が、藤田譲瑠チマ。20年は東京ヴェルディでJ2リーグ41試合を経験し、昨季は徳島ヴォルティスでプレーした。開幕から4試合連続で先発出場。順風満帆かと思われたが、新型コロナ対策で入国制限を受けていたダニエル・ポヤトス監督が指揮を執り始めると、プレースタイルの好みの問題だったのか、出場機会が激減した…。

初の移籍で壁にぶち当たったが、パリ五輪世代のU-20代表候補は徐々に復調。最終的には先発の座を勝ち取り、残り4戦は連続フルタイム出場を果たす。

J2に降格した徳島の中、個人の良きデータは残っていない。強いて挙げれば、1試合平均インターセプト数0.3(J1リーグ21位)だ。

数字に表れない部分では、ナイジェリア人の父と日本人の母をもち、アスリートとしての素材の良さが光る。172㎝、70kgと小柄ながら体幹が安定し、当たり負けが少ない(21年タックル成功率は62.9 %)。

東京V仕込みの技術も非凡。ボール奪取後にトラディションで迫る相手を華麗なダブルタッチでかわすなど、高いスキルを有す。横浜FMの高いレベルの中で揉まれて、22年はスケールアップが待たれる。

藤田直之は古巣・鳥栖に復帰

サガン鳥栖→ヴィッセル神戸→セレッソ大阪と12年渡り歩いた藤田直之は、原点回帰。「6年前、鳥栖を離れる決断をしたその日から思い描いていた『再び鳥栖のユニフォームに袖を通す!』という夢が叶い大変嬉しく思います」とコメントし、J2でプロデビューを飾った古巣への完全移籍に喜んだ。

昨季のデータを振り返ると、出場試合数31は20年と同数だが、先発出場は28から22へ減少。時間に換算すると1944分で、一昨季の2460分より516分(8.6時間)も短くなっており、気がかりである。

一方で、昨季マークした2得点4アシストの結果は、ボランチとしては上々の出来。守備でもタックル成功率78.6%(1試合平均タックル数0.9回)と、対人プレーの強さも色あせない。

加えて、長年磨き上げたロングスローというオプションを備えているのも魅力。昨季も18節・徳島戦と24節・アビスパ福岡戦でのアシストは、両腕から生まれている。鳥栖産の“人間砲台”を再び見られるのも、ファンにとっては楽しみだろう。

川崎Fは「埋もれた逸材」瀬古樹を発掘

王者・川崎フロンターレが獲得した瀬古樹は、21年J1最下位チームからの“個人昇格”になる。昨季データで際立っているのは、チーム最多でリーグ全体でも5位だった7アシスト。セットプレーのキッカーを務め、CKから2点、FKから1点を演出した。

また、31節・鹿島戦では鮮やかな直接FKを沈めている。タイプ的にはキックの正確性、冷静な状況判断がウリのオフェンス寄りのボランチだ。

ロングフィードも得意としており、1試合平均ロングパス数は8.0本と多い。成功率は55.3%で高い数字ではなかったが、劣勢の状況下で苦し紛れの長距離パスもあったと思われる。

守備ではガツガツ激しい守備こそ見せないが、1試合平均インターセプト0.5(リーグ4位)で読みやポジションニングの筋がいい。逆に空中戦勝率は29.4%と低く、非力な印象を受ける。今後の課題はそこかもしれないが、まずはチャンピオンチームで物怖じせず、長所を伸ばしてほしい。

上は36歳、下は19歳の多士済々の実力派ボランチたち。なお、藤田譲以外の5人はJ1でキャプテンマークを巻いた経験があり、藤田譲もU-20日本代表候補ではゲームキャプテンを担っている。彼らはプレーだけでなく精神面でも、新チームの“へそ”になることを求められているに違いない。

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記事:小林智明

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