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石臼碾きの自家製粉そばにこだわる大正13年創業の老舗『本むら庵 荻窪本店』

さんたつ

荻窪の地で約100年、「三たて」を丁寧に守る。とくに「碾きたて」には強いこだわりがあり、独自の石臼で毎日そば粉を碾く。敷地内の庭園や店内の盆栽など、季節を感じさせるしつらえも上品で、長年の常連も多い荻窪の名店だ。

藍色の暖簾が上品。

「三たて」を守るということ

「三たて」とは、「碾きたて」「打ちたて」「ゆでたて」のこと。おいしいそばのための必須条件だ。手打ちそばの店ならば「打ちたて」と「ゆでたて」はクリアできるが、問題は「碾きたて」だ。自家製粉の道具がなければ、「碾きたて」のそば粉を使うことは難しい。

その点、石臼で自家製粉するこの店では、毎日そばを碾いて打つため、「三たて」を実現できる。

さらに、そばの保管方法にも気を使っているという。玄そばという殻のついた状態のそばの実を、18℃の低温倉庫で保存し、極力劣化を防ぎ、使う分だけ碾きたてで使う。新鮮な粉を使えるメリットは大きい。

「この手間が、そば本来の味や香りを強く引き出すことになるんです」4代目店主の小張さんはそう話す。

4代目が見直したもりそばのつゆ

屋根にのる看板にも歴史を感じる。

25年ほど前に4代目を継いだ小張さん。小張さんの代で大きく変更されたのは、もりそばのつゆだ。

それまで、かけそばともりそばは、同じつゆを使っていた。本節や鯖節、宗田節などを混ぜて作ったつゆは、甘みとコクが十分。かけそばのつゆはこのままでいいが、もりそばのつゆは、もっとさっぱりとしていて雑のないものにしたい。そう思い、本節だけを使うつゆに変更したという。

粉の碾き方も、つなぎの割合も、打ち方も。こだわりのそばをいただく

天せいろ2110円。

今回は、とくに評判の高い天せいろをいただいた。その日の天気によってもつなぎの割合を変え、丁寧に手打ちされたそばは、香りがとても強い。そば粉を荒碾きにしているのも理由の一つだろう。きりっと冷えたコシの強いそばに、雑味のない辛めのつゆがよく合う。喉ごしもよく、歯ごたえも十分だ。

大ぶりの車海老は食感がよく、甘みがあった。

そばの合間に、海老の天ぷらをひと口。大ぶりの車海老はプリプリで、切ってあるためとても食べやすい。小さなことだが、ここにも気遣いが感じられる。

蕎麦がき1170円。きれいな葉形に作られている。

しゃきっとしたそばに対して、そばがきはもっちりした歯ごたえ。同じそば粉を使っていても、まったく違う味わいだ。もりのつゆに大根おろしと醤油少々を入れたタレが、そばがきによく絡み、ひと口ごとにそば粉の甘みを感じる。見た目よりもボリュームがたっぷりなのがうれしい。

旬の捉え方に、老舗の風格

この日の盆栽は松。店内にいても季節を感じる。

敷地内の和風庭園や盆栽など、店内にいるだけで四季を感じる。旬を大切にする心遣いが老舗ならではだ。

「明日はもっと、おいしいそばを提供したい」と小張さんは話す。

現在にとどまることなく、さらなる高みを目指す。そんな風格が十分に感じられる名店だ。

本むら庵 荻窪本店
住所:東京都杉並区上荻2-7-11/営業時間:11:00〜21:00/定休日:火・第3水/アクセス:JR荻窪駅から徒歩8分

取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ

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