男性育休のリアル「職場で嫌な顔をされなかった」環境づくりの大切さと課題
お父さん、育休を取っていますか。
70代男性
「僕らの時代に育休なんてない」
20代女性
「臨月で5日間だけ夫が育休を取った」
50代男性
「『育休って何ですか』という時代の人でした。生まれたらおまかせ。ありがとうよろしくみたいな感じで」
50代男性の妻
「帰りが遅かったので。ほぼ私が育てちゃった感じです」
男性の育児休業に対する反応は、世代によってバラバラ…。
しかし、いま、育休をとる男性は着実に増えています。
育休をとりやすい職場づくり。企業が進める育休取得の取り組みを深掘りします。
1か月の育休で得たものは…
北海道札幌市の銀行員、田口泰孝さん(33)。
2人の子育て真っ最中の田口さんは、2023年9月、長女の穂花ちゃん(1)が生まれたのをきっかけに、育休を1か月間取得しました。
エプロン姿が似合いますね!
「1年前の育休を取る機会に気持ちを入れていこうと思って妻に買ってもらいました。結構気に入っていて」
慣れた手つきで家事をこなす田口さん。
育児と家事は、妻の茉由さん(34)と分担しています。
「第一子のときに妻が本当につらそうだったので、2人目ができたら長期で取ろうと思っていた」といいます。
茉由さんは「気持ちに余裕がすごく出てきたので、2人目のかけがえのない新生児時期をとことん味わうことができて、うれしかった」と話します。
「嫌な顔をされなかった」
育児休業は、男女ともに子どもが原則1歳になるまで取得することができ、賃金の約3分の2~半分が給付金として支給されます。
2022年の育児・介護休業法の法改正により、男性の育休取得を推進することが企業側の義務となりました。
厚生労働省によりますと、昨年度の男性の育休取得率は3割を超えて、過去最高となりました。
田口さんが勤務する北海道銀行では、男性が育休を取りやすくするため、長期の育休から職場に復帰した時には、職員どうしが情報交換できる「復職サポートセミナー」を用意しています。
2023年度、道銀は男性の育休取得率100%を達成しました。
「上司と同じ職場の仲間が本当に信頼できる人たちばかりで、誰一人嫌な顔をしなかった。本当に助かりました」と田口さんは話します。
さらに、道銀は、育児と仕事を両立させるために職員用の託児所を設置するなど、サポートに力を入れています。
北海道銀行人事部ダイバーシティ推進室の佐伯亜耶さんに話を聞きました。
「職員の働きやすさをすごく大事にしていて、その中の1つがやっぱり育休取得。子育て・プライベートと仕事の両立ってすごく大事なこと。育休取得はキャリアを阻害するものじゃないという空気感になってくると思っているので、そういうところを目指したい」
職場環境を全体でつくる大切さ
一方で、マチではこんな声も聞こえてきます。
30代男性
「育休を取ってないです。やっぱりまだ取りにくいっていう感じはちょっとある」
30代女性
「夫に育休を取れないって言われました。取れるけど取ったら、お仕事なくなっちゃう」
男性の育児を支援する団体・DaddySupport協会の平野翔大代表は、育休をとりやすい職場環境をつくることが重要だと訴えます。
「中小企業の方が確実に大企業より弱い。行政・商工会議所とかも含めて、総勢でどうしていくかっていうグランドデザイン(設計図)をちゃんと持たないといけない」
取る人も、取らない人も。育休が社会全体の選択肢のひとつになる土台作りはまだまだ発展の途中です。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年8月30日)の情報に基づきます。