経口補水液、のどが渇いたから飲むはOK?NG? 飲み方と注意点を専門医師に聞いてみた
番組では、毎年、熱中症対策として「経口補水液」とりあげていますが、今年、新たな動きとして、「アクエリアス 経口補水液ORS」が表示許可を得て、発売されています。基本のおさらいと最新情報を聞いて、もしものときに行動できるようにしましょう!
教えていただいたのは、
「経口補水液」の専門家で、済生会横浜市東部病院の医師・谷口英喜さん!
まずはおさらいから。番組では何度も教えていただいていますが、改めて「経口補水液」とはどんなものなんでしょうか?
谷口:脱水症を治療するために開発されたもの。「飲む点滴」とも言われます。飲んでから体に吸収されるスピードが早い。水分吸収が行われる小腸までいかに速く到達できるかが計算された成分になっています。もともとは、脱水症で亡くなる子ども達が多かったアフリカ、東南アジアで生まれた考え方で、日本の医療現場では「点滴と同等の効果があり、点滴よりも使いやすい」と、15~20年ぐらい前から使われるようになりました。
<飲み方>
谷口:少しでも脱水の症状が出たら飲む。症状とは、頭痛・めまい、集中力の低下。筋肉痛、筋肉のけいれん、こむらがえりなどです。熱中症の初期段階にも有効です。量と飲み方ですが、できるだけ早く飲む。500ml目標。500ml飲めたら、もう500ml飲む。今度は30分~1時間ほどかけて、ゆっくりちびちび飲む。
では、例えば、「暑くて熱中症になりそうだからと」予防的に飲むのは・・・全く必要はありません。もっと美味しいものをお飲みください。日本人は塩分はある程度とっているので、予防としては水やお茶で水分補給を。500ミリリットルを30分以上かけて飲む。ただし、大汗をかいたあとに、1リットル以上の真水を1時間内に飲むのは危険なので注意を。いわゆる水中毒の危険があります。
<新発売のアクエリアスの経口補水液>
そして、冒頭でもお伝えしたように「アクエリアス 経口補水液ORS(オーアールエス)」が先月発売されました。病者用食品として、表示許可を受けた商品で、「アクエリアス」ならではの、すっきりとした柑橘の味覚が特長。とのこと。
最も有名な大塚製薬の「OS―1」は国内シェア95%ですが、販売はドラッグストア、薬局・病院に限られます。これまで、番組でも、経口補水液のポイントとして「コンビニには売っていない」とお伝えしてきましたが、アクエリアスの経口補水液はコンビニでも販売されています。コンビニでも購入できるようになったことについて、いかがでしょうか?
谷口:手軽に手に入るというのはメリット・デメリットあります。もちろん、熱中症の人がいて、手元に経口補水液がない。そんなときに24時間すぐに手に入ることは大事なことです。ただし、あくまで「病者用食品」=つまり病気の人のためのものです。間違った摂取の仕方をすると、逆に健康を害すこともあります。ですので、慎重な販売の仕方が必要だとわたしは考えています。
“間違った摂取”とは具体的にどんなこと?
谷口:怖いのは“普段飲み”をする方が出てくることです。健康な方が飲んでも有害無益です。大事なのは「熱中症の症状が出たり、その疑いがあったら飲む」ということ。この知識なかったり、あまりにも手軽に買えたり、美味しく飲めると、スポーツドリンクのように、普段のみしてしまう方がいます。その結果、高血圧や心臓・腎臓病も増えるのは明らかです。私は経口補水液を飲み過ぎて、心不全や全身のむくみを起こした患者さんを見てきています。
アクエリアスを販売するコカ・コーラ社も、ホームページで・・・
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病者用食品であるため、医師から指示されていない方の飲用はおすすめしておりません。お飲みいただく場合は、医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、登録販売者の指導に従ってお飲みください。日常の水分補給にはその他の「アクエリアス」をお勧めします。
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と注意喚起しています。
Q.ペットボトルは、冷やしておいたほうがいいのしょうか?
谷口:熱中症の際には、体温が下げるという意味では冷やしたほうがいいです。それ以外のときは常温でかまいません。
Q.熱中症になったとき、スポーツドリンクではダメなんでしょうか?
谷口:答えとしては、「ダメではない。ないよりは良い。」ただ、そもそもスポーツドリンクは、商品によって成分がぜんぜん違います。発祥はゲータレイドで、アメリカンフットボールの選手のエネルギー補給が目的のため、糖分が多く入っています。水分の補給は小腸でされるが、糖分は胃の中にとどまるので吸収に時間がかかります。カラダに浸透する時間は、経口補水液が5~10分。スポーツドリンクは20~30分。仮に熱中症の症状が出て、目の前に両方あったら、もちろん経口補水液ですが、水分をとることが大事なので、スポーツドリンクでもお茶でも素早くとりましょう。
Q.熱中症かも?と思ったけど病院に行くべきか迷ったときはどうすればよい?
谷口:病院に行くべきかどうかの、ひとつの基準は「普段できることができない」ということ。例えば、新品のペットボトルのフタを自分で開けて、ゴクンと飲めるかどうか。中等度以上だと、フタを開けて飲むができないんだそうです。迷ったら♯7119に相談するのも良い。専門家からアドバイスを受けることができる電話相談窓口が救急安心センター事業です。救急車を待っている間や、病院に連れていく間に、首筋に冷たいものをあてて、体を冷やすのが効果的。
<まとめ>
「経口補水液」の運用として最も大事なこと=「熱中症になったとき、またはそれが疑われるときに飲む」
ですので・・・
自宅に常備、外の活動の際に持ち歩く、患者がいたら急いで購入、購入できるお店をピックアップ。
こんな運用が良いです。
NGなのは「喉が渇いたから飲む」「普段のドリンクとして飲む」。これは絶対ダメ。