無理に行かせるべき?「子どもの不登校」が始まりそうなときの“親のやりがちなNG対応”
臨床心理士・公認心理師のyukoです。子どもが学校に行かないと言い出したとき、「このまま休ませたら不登校になってしまうのでは」と思い、強めに登校させようとする親御さんは多いもの。不登校が始まりそうなとき、最初のうちは無理にでも連れて行った方がいいのでしょうか。それとも休みたいと言われたら、休ませてあげたほうがよいのでしょうか。
最初は無理にでも登校させるべき?
小4の息子。最近平日の朝に「おなかが痛い、熱があるかも。学校に行けない」と言うことが増えた。仕事を在宅にできそうな日やどうしても辛そうな日は休ませていたものの、この対応でいいのかな。祖父母からは「甘やかしているからそうなったんだ」と言われるが、怒鳴ってでも引っ張ってでも学校に連れていくのがよいのだろうか。
子どもが学校に行きたがらない日が重なっていくと、「このまま不登校になるのでは?」と心配になる方は多いでしょう。
学校に足が向かない子への対応は、夫婦や周囲の大人の間で相違が生じるときもあります。特に年配の世代では「自分たちは学校を休むなんて許されなかった」と厳しい経験を語る方も。
学校に行きたがらない子への対応を考えていきます。
ついやってしまいがちはNG初期対応
訴えを聞かず学校に行くよう説得する
親自身の焦りや不安から、子どもの話を聞く前に説得する方は多いです。
「学校に行けば楽しいんだから、さっさと行きなさい」
「休み続けると余計に行きたくなくなるから行かなくてはだめ」
学校に行ってさえくれれば親としてはホッとし、このままやり過ごしてくれればと願うもの。
しかし、無理に行かせたとしても子どもが納得いっていなければ長続きはしません。本音を言わないようになってしまったり、辛さを口に出せないことで身体的な症状が現れる子もいます。
学校を休ませたから不登校になるという認識は誤りで、数日休むことを許可したとしても、その後行く子は行きますし、難しい子は無理に行かせても難しいままです。
まずは学校に足が向きにくいことを理解し、その子が話せるタイミングで話してほしいと伝えるのが第一。少しの間家でゆっくり過ごし、「家は安全だ。家族は大丈夫だ。」と感じてもらうのが何より大切です。
一刻も早く原因を突き止めようとする
何が原因だろうと気にかかるのはもっともです。
原因を見つけようとすることも、状況の改善を図るために大切な作業。
しかし、明確な原因がある子もいれば、ない子もいます。何か大きな出来事やきっかけがあったわけではないけど、コップの水が溢れてしまって限界を感じるような子も多いのです。周囲から見れば「そんな些細なことで?」と感じるケースも多々あります。理由がわからないもやもやを抱えるのはストレスですし、何かしらの理由を見つけて対処を急ぎたい気持ちもあるでしょう。
しかし、一番もやもやしているのは子ども自身。
「これまで辛かったり負担だったことも、これからどうしていくのがいいかも、ゆっくり考えていこう」と支えてあげられると子どもも安心しやすくなるでしょう。
子どもに内緒で学校とやり取りする
悩みを親御さんだけで抱えるのは当然辛いでしょう。周囲の人から情報を得たり、対策案をもらったりするのは子どもを支える上でとても大切です。
しかし、子どもに内緒で学校とやり取りをして話を進めるのはあまりよくありません。「大人同士で自分を悪く言ってるのではないか」「言われたくないことを勝手に話されているのではないか」と疑心暗鬼になり、余計に大人を頼りにくくなってしまうからです。
どうして学校と連絡を取りたいのか、学校と連絡を取るメリットを子どもに伝えたうえで、許可を取り、相談するのがよいでしょう。学校以外の相談機関を利用する場合も、可能な限り子どもと共有して利用するのがおすすめです。
子どもがこの先どんな日々を過ごしていくか、不安に思い過ごす1日はとても長く感じるでしょう。
しかし長い目で見ると、優しく寄り添ってくれた親の対応は子どもにとって何より大切な糧となっていきます。一呼吸して気持ちを落ち着けてから、子どもに声をかけていけるといいですよね。
yuko/臨床心理士・公認心理師