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義務教育はどの公立学校も同じではない!文部科学省が決めるのは教育の“枠組み”だけ

ママスタセレクト

写真:ママスタセレクト

公立なのに、「通知表もなく、チャイムもない。時間割もない」という小学校が長野県伊那市にあります。
公立の小学校は義務教育の範囲になりますので、どの学校でも同じような教育を受けるのでは? と考えてしまいますよね。この小学校について詳しく教えてくれたのは、「百ます計算」やインターネットの活用などの教育メソッドを生み出し続ける一方で、政府の教育再生会議委員を務める教育者・隂山英男先生です。
通知表もチャイムも時間割もない長野県伊那市立伊那小学校の取り組みを例に、日本の義務教育の実態について詳しく教えていただきました。

長野県伊那市にある小学校。60年以上前から通知表はなし


――長野県伊那市の小学校では、通知表がないところもあるそうですね。公立の小学校でそんなことが可能なのでしょうか。

可能ですよ。長野県伊那市の伊奈小学校は生徒数が数百人規模の伊那市の中核にある小学校です。そこでは通知表やチャイムもなければ、時間割もありません。やっていることは動物の飼育などの総合学習ですね。総合学習の中で国語や算数などの教科を取り入れながら行っています。賛否両論ありつつも、通知表については60年以上つけていないし、総合学習は20年以上続いています。

――文部科学省はなにもいわないのでしょうか?

文部科学省は伊那小学校のことは当然知っているし、通知表を出さないことやチャイムがないことなどの教育のやり方も認めています。
子どもに何をどう教えるかという方針を「学習指導要領」といいます。文部科学省はその「学習指導要領」の内容を授業に取り入れていれば、科目(例えば国語)の教科書を使うか総合学習でやるかの判断は自治体に任せるという考え方です。
実は教育というのは文部科学省が音頭を取って方針を決める中央集権ではなく、各地方で教育方針を決める地方分権なんです。世間で誤解している人もいるかもしれませんね。
都道府県を中心とした、自治体独自の教育を文部科学省が示した枠の中でやっていることになります。その枠を学習指導要領といいます。
しかも学習指導要領は絶対に枠から出てはいけないと厳しく決まっているわけではなく、必要に応じて枠を外れていいということまで書いてありますよ。文部科学省が公立学校の教育全体をリードしているわけではありません。

――それは初耳です!

地方ごとに教育の内容は自治体に任されているため、文部科学省が「こうしなさい」ということはありません。例えば文部科学省とスポーツ庁が子どもに危険なことをやらせないようにと指導をしている組体操をやらせている学校もありますね。ただ文部科学省の指導を破ったとしても文部科学省からはそれ以上の指導はありません。
ついでにいうと、ある小学校を取り上げて「文部科学省のお墨付きだ」ということがありますが、実際は違います。誤った情報をうのみにしたまま、多くの学校がある学校の指導方針や授業をマネしようとする動きがありますが、それは誤りです。そもそも「文部科学省のお墨付き」という情報が根底から間違っています。文部科学省が「お墨付き」を与えることはないからです。

教育は「文部科学省がトップ」の中央集権ではなく地方分権だった

日本の教育行政は、文部科学省をトップとしたピラミッドではなく、文部科学省が枠組みを作ったうえでの地方分権です。文部科学省から教育現場へのトップダウン方式ではないのです。
実質は都道府県を中心とした地方分権というかたちになっています。この地方というのは都道府県を意味します。都道府県をまたぐといろんなことが違ってきます。文部科学省が決めるのは教育の目指すところとその枠組みだけで、その枠組みのなかでどういった教育をやるのかは都道府県にゆだねられているということになりますね。

――たとえば、どんなことが違うのでしょうか?

今の長野県伊那市の小学校の例がまさに「地方分権」の典型的な例です。文部科学省は通知表もない、チャイムもないという、私たちが思っている学校とは違うやり方であっても、それを認めています。
文部科学省としては、学習指導要領という教育の大きな枠組みを作り、どのように生徒たちに教えるかということについては、都道府県で方針を作り、実施は市町村にゆだねています。

――「文部科学省の人たちはこう思っているに違いない」と教育現場の人たちが考えすぎてしまい、横並びの同じような授業スタイルになってしまっているのでしょうか。

そういうこともあるでしょうね。それで文部科学省が考えていたこととは違う方向に走ってしまうこともあると思います。巨大組織でマネジメントがはっきりしないから、各地でいろんな問題が出てくるんですよね。
なにか問題が起きると、すべて文部科学省のほうに行ってしまいます。文部科学省は「教育は地方自治体にゆだねている」ということを、明確にしたほうがいいと思いますよ。

――「義務教育=文部科学省の決めたことに従わなければいけない」と思っていましたが、アクションを起こしたら、長野県伊那市のようなスタイルに変わることもあるんですね。
学習指導要領に基づいた授業内容であれば、もっといろんな学校運営があっていいと思います。

取材、文・間野由利子 編集・しのむ イラスト・Michika

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