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宮本亞門と黒谷友香が鬼才・葛飾北斎を語った~舞台『画狂人 北斎』まもなく初日

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(左から)黒谷友香、宮本亞門

人間・葛飾北斎の醸し出す狂気を宮本亜門が剥ぐ! 舞台『画狂人 北斎』が、2021年3月4日(木)から新国立劇場 小劇場にて上演される。

本作は30回もの改名、93回の引っ越しなど、常にリセットを繰り返し、画風も視点も次々と変え、自身を再生しながら3万点以上の作品を生み出した葛飾北斎の人生を描いたもの。2019年に初演され、好評を博した作品の再演となる。本作で演出を務める宮本亞門と、北斎の娘・お栄(葛飾応為)を演じる黒谷友香から話を聞く機会を得た。

宮本は初演時の手応えについて「現代の画家と江戸の画家(北斎)を(時間を往来しながら)描くという構成にしたので、少し分かりづらいかなと危惧していましたが、結果として、観客の皆さんには非常に喜んでいただきました。そもそも僕は、北斎の人生をただ描きたかったわけではありません。僕らよりずっと前に凄い日本人の先輩がいて、もがきながらも凄い作品を次々と創っていった、そういうことを示したかったんです。だから、観ていただいた方々から『北斎の姿に元気を得た』『また頑張ろうという気持ちになった』といった声が寄せられたことは、とても光栄でした」と満足気な表情を見せた。

一方の黒谷は北斎の人間性について、「彼は一人の人間でありつつも、とても尋常ではない人でした。そんな彼が熱に浮かされるように創っていった作品が今もなお残っているということは、彼が本当のホンモノを表現できる人だったことの証にほかなりません。私もこの舞台に係われたことで、そのことをより強く実感できるようになりました」と目を輝かせながら語った。

また宮本曰く「本作は、(黒谷と陳内将が演じる)東日本大震災の被害を受けた現代の姉弟が、10年の歳月を経て『人々の痛みは風化していいのか? けっして風化されえないのでは? ならば自分はどのように生きていけばいいのか?』を考えていく内容にもなります。奇しくも震災からちょうど10年を数える今年の3月11日が公演時期と重なっていますので、よりこの作品に込められた意味が深まるのではないかと思います」とのこと。

コロナ禍の中で本作を上演することの想いを宮本に尋ねると、「(僕の手掛けた)他の舞台でも、お客さんの食いつきが尋常ではありませんでした。皆さん、今は、ある意味リスクを背負いながら緊張して来場されるので、声を上げられない分、拍手や想いがこれまで以上に強く感じられます。だから出演者のほうも今まで以上に感動するんです。生の感覚を味わいたい、という想いもあって、この時期だからこそ、今まで以上により良い作品が次々に生まれているように思えますね」と力強く語った。

そんな本作は、海外からも「ぜひ持ってきてほしい」と請われているそうだ。そんな声に呼応するように、製作サイドとしても「ゆくゆくは海外で上演したい」という想いが募っているとのこと。

『画狂人 北斎』初日は、すぐそこだ。

取材・文・撮影=こむらさき

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