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七海ひろき×岐洲匠×彩凪翔、新生『フランケンシュタイン』への意気込みを語る

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彩凪翔、七海ひろき、岐洲匠

若き科学者と、彼が作った怪物と。数々の映画化、舞台化を生んだメアリー・シェリーのゴシック小説『フランケンシュタイン』が、「フランケンシュタイン-cry for the moon-」のタイトルで新たな舞台として登場する。主人公の怪物を、儚さをただよわせる斬新なヴィジュアルで演じるのは、宝塚退団後オリジナリティあふれる活動を続ける七海ひろき。怪物の創造主であるビクター・フランケンシュタインを演じる岐洲匠、怪物と心を通わせる盲目の娘アガサを演じる彩凪翔と共に、作品への意気込みを語り合った。

――『フランケンシュタイン』の小説は、さまざまな映画や舞台の題材となってきました。

七海:実はフランケンシュタインというと、頭にボルトが刺さっていて、ハロウィーンとかに仮装するキャラクターというイメージでした。今回の出演にあたり原作を読み、こんなにも人間模様、人のいい部分と悪い部分、光と影、そういったものが描かれていたんだと知りました。それまでイメージしていたフランケンシュタインと違うんだなと感じたので、今回の舞台でもそこを表現していけたらと思っています。

七海ひろき

彩凪:私もカイさん(七海)が演じる怪物のことをフランケンシュタインだと混乱していました。今回、いろいろな愛の形、人の純粋な部分にふれられる作品になるようにしたいなと思いますね。この舞台でアガサという新たな設定が加わったキャラクターがどうなるのか、私自身、楽しみです。

岐洲:僕もフランケンシュタイン=怪物だと思っていました。僕けっこうゲームをするんですが、ゲームにフランケンシュタインっていう怪物が出てきたりするんです。ゲーム内のハロウィーン・イベントで、ネジとかつけてるコスプレが出てきたりするので、世界中の8割9割の人がそんな誤解をしてるんじゃないかなって思います(笑)。

昨日、『フランケンシュタイン』を書いたメアリー・シェリーの伝記映画『メアリーの総て』を観て、この小説は人間の生々しい愛とか苦しみとか、いろいろなものについて考えて作られた作品なんだなと感じました。しかも、メアリーさんはいろいろな経験をして18歳でこの作品を書いているので、僕は映画を観ていてどんどん不安になっていきました(笑)。今24歳なんですけど、18歳のころの自分とメアリーさんを比べてみると、自分は当時ゲームばっかりしていたなと。ビクター・フランケンシュタインは作品の中で存在感があるキャラクターなので、演じることに今からとても緊張しています。

岐洲匠

――今回、どんな作品になりそうですか。

七海:小説が原作としてありつつ、オリジナルの要素がいろいろ入っていく感じになっています。

岐洲:ピュアな心をもっている登場人物が多くて、それぞれのピュアの形がまっすぐながらも違う方向を向いているのがおもしろいですよね。

七海:純粋さをもっているからこそ、お互いにぶつかり合ったり、お互いの気持ちを突き通していって。

彩凪:そんな雰囲気がありますよね。

――彩凪さんは今回が宝塚退団後初めての女性役となります。

彩凪:そうなんです。さらに、アガサという女性は盲目という設定なので、そこのお芝居、感覚的なものも学んでいかなくてはいけないなと思っています。

――在団中も女性役に挑戦されたことがありました。

彩凪:(七海のほうを向いて)私、どうでした?

七海:私としては、その姿を観ているので、何の心配もないなと思っています。でも、翔ちゃん(彩凪)的には挑戦なのかなと。在団中に演じていたのは仕事に生きる女性という感じの役だったんですけれども、今回はナチュラルでピュアな女性で……と本人も言っていて。私としては何の心配もないなと。大丈夫です。皆さん楽しみにしていてください!

彩凪:いやあ……。本番までには頑張ります。

彩凪翔

――それぞれの役についてはいかがでしょうか。

岐洲:ビクターは、まっすぐで研究が大好き。怪物を作ってしまったとき、喜びと、これからどうなるんだという不安もあって。本当にすごくピュアな男で、ピュアすぎてちょっと怖くなるくらいです。僕は舞台がこれで3作目で、これまではアクションが絡むような力強い役が多かったので、僕にとって挑戦となる役柄です。楽しみですし、頑張りたいなと思っています。

七海:私が演じるのは、科学者であるビクターが作った怪物なのですが、寄せ集めで作られたからこそ、本当の心や愛、さみしさや怖さなど……理解できない感情があります。様々な人たちと関わって感情を重ね合わせていく中で、怪物としての成長を表していけたらいいなと思っています。みんなが純粋で、怪物も純粋なので、だからこそ見えるせつなさやかわいそうな部分、ピュアな部分を表現したいなと思います。

彩凪:私が演じるアガサは、盲目で視覚的なものがない分、カイさんが演じる怪物の内面を感じ取って心を通わせることができるキャラクターです。目が見える人には感じ取れない何かを感じ取れる人だと思うので、慣れない女性の動きを頑張りつつ人間味を感じられるようなお芝居でアガサを表現したいです。

岐洲:それでいうと、僕は男性として、お二人の前でかっこ悪いところを見せないように頑張りたいなと。稽古中に男性のかっこいいしぐさとかいっぱい聞くと思います! よろしくお願いします。

七海:ポスター撮影見たけど、めちゃめちゃかっこよかったよ。

岐洲:負けないように胸張っていただけで(笑)。

彩凪翔、七海ひろき、岐洲匠

七海:とても素敵だった!

岐洲:プレッシャーありますよ。お二人は男上級者ですから。

――「上級者」(笑)。

岐洲:男性を極める攻略本みたいなものがあるとしたら、上級編、応用編ですよ。初めにお会いしたときから、イケてる声で挨拶されて、声までかっこいいんだなと。気が引き締まりました。

七海:私は、(ポスター撮影時から)すごくシュッとしている好青年だなと思ってます。

岐洲:頑張ってます(笑)。

七海:しかも、このポスターの衣装って、なかなか着こなしが難しそうな服だから。

――「応用編」のご意見です。

七海:衣装を見たとき、どういう感じに着るのかなと思って、撮影もそういう目で見てました(笑)。

――それぞれの最初の印象はいかがでしたか?

岐洲:お二人とも、初めてお会いしたとき、それぞれが僕に「身長高いですね」っておっしゃって。

彩凪:言うこと一緒だったんだ(笑)。

岐洲:シンクロしてるんです。さっきも、「なんて呼ばれてますか」とお二人から同じことを聞かれました(笑)。

彩凪翔

――七海さんと彩凪さんのお互いの印象は?

七海:在団中は組が違ったので一緒に過ごすことはあまりなくて、客席から観ていて、すごくかっこいいなと思っていました。ポスター撮影や今日の取材でわかったこともいっぱいあって、私が観ていた彩凪翔様とまた違うかわいらしい部分や優しさを感じて、お稽古でももっといろいろ知っていけたらうれしいなと思っています。

彩凪:私もカイさんは、男役として舞台に立たれている姿と、稽古場でちょっとお会いするくらいで。でも、かっこよさはもちろんのこと、内面的な優しさもすごく感じています。

岐洲:SNS拝見していて、すごくまめでジェントルマンだなって僕も思いました。

七海:見てくれていてありがとう。岐洲くんのインスタグラムも見てるよ。

彩凪:私も!

岐洲:ありがとうございます(照)。

――コロナ禍において、舞台に対して感じる思いとは?

七海:この作品は2022年1月上演で、年の初めの公演になります。観に来てくださった方が、今年もいい年にしよう、観てよかったと思ってもらえるような作品にしたいなと思います。舞台って自分一人でできるものではなくて、カンパニーのみんな、そしてお客様が一緒に作ってくださるからこそできるものだと思うので、一人一人がキラキラ輝ける舞台になるよう頑張りたいと思います。

七海ひろき

彩凪:去年は公演が止まってしまったり、客席数を減らして行われる公演も多かったので、今やっとエンターテインメントが復活してきた感じで、お客様の前で公演できることがすごくうれしいです。私も、いろいろな舞台やコンサートを観に行って元気をもらって、また明日から頑張ろうと思えるので、この「フランケンシュタイン」を通して、純粋な思いを感じてもらったり、明日への活力を感じてもらえるよう頑張りたいなと思います。2021年いっぱいはディナーショー等でまだ男役をやっているので、2022年の年明けから女性役でも始動という感じで、いろいろな意味で転機となる作品ですね。楽しみです。

岐洲:最近、占い師のシウマさんに占ってもらったら、今運気が少しずつ上がっていて、来年になったらぐっと上がるそうなんです。舞台はまだまだ経験不足ですが、「フランケンシュタイン」で大きく成長する姿を皆さんにお見せできたらと思っています。愛について知ることのできる作品だと思うので、できるだけ多くの方に届けたいです。

――岐洲さんは舞台が3作目とのお話しありましたが、映像と舞台との違いは感じますか?

岐洲:やっぱり全然違います。例えば、一緒にいる時間の長さ。舞台だと、毎日皆さんと一緒に長い時間お稽古するから、距離が近くなります。そこもすごく楽しみです。ビクターは難しい長ゼリフも多そうですが、それを上手く言えたらすごく気持ちいいでしょうし、どんなに長いセリフでも頑張りたいなと思います。

七海:かっこいい!

岐洲:2022年、いいスタートを切りたいです。

岐洲匠

――彩凪さんは、宝塚退団後の七海さんの活躍に、後輩としてどんな刺激を受けていらっしゃいますか。

彩凪:刺激、めちゃめちゃあります。卒業後もいろいろなことにチャレンジされていること、ご自身のやりたい道を突き進まれていること、その姿が本当に刺激的で。自己プロデュース力がすばらしいなと思います。それから、どうしたらファンの方が喜んでくれるのかなとか、応援してくださるお客様のことを常に考えていらっしゃるのが本当に尊敬できるところです。私も、宝塚退団後いろいろなことにチャレンジさせていただく中で、カイさんの活動に刺激を受けて、自分もいろいろなこと、やってみたいことにチャレンジしていいんだなと思いました。在団中は、組に来た作品で与えられた役を演じることをくりかえしてきましたが、卒業後は、SNSも含め自分から発信する機会も増えたので。

七海:私をすごく持ち上げてくれてる(笑)。私から見たら、翔ちゃんは、退団してまだ半年なのに、これだけいろいろなことに挑戦していて、本当にすごいと思ってます。私は退団して3ヶ月くらいはのんびりしてゆるっと過ごしていたから。そう考えると、退団して、自分で選んでいろいろな仕事をやっている姿が素敵でかっこいいなと思う。そんな翔ちゃんの姿からいろいろなものをもらっているから、この「フランケンシュタイン」で共演できることにとてもワクワクしています。そして、今日いろいろお話ししていてすごく楽しいなと思った岐洲くんとお芝居をすることが楽しみ。岐洲くんってどんな感じなんだろうと思っていたのが、めちゃめちゃ話しやすいし、意見もしっかりしていらっしゃるし、これはもう、もろたなと思って(笑)。このメンバーで「フランケンシュタイン」を作っていけると思えました。

彩凪翔、七海ひろき、岐洲匠

――彩凪さんの今後の活動の方向性は?

彩凪:卒業して、まだいろいろなことに挑戦している段階なので、あまりこれと決めてしまわず、まずはいろいろやってみたいなと思っています。

――七海さんは卒業後、オリジナルの道を確固として突き進んでいらっしゃる印象がありますが、その原動力は?

七海:私の場合は、観てくださるお客様、ファンの方たちがいてくださるからこそだと思っています。コロナ禍でいろいろ難しい状況になってしまった中でも、皆様に伝えていけるものは何かなと考えました。配信を強化しようとか、会わなくてもふれあえる何かをできるだけしようとか。これからも、応援してくださる皆様に喜んでいただけるような作品を色々お届けしたいと思っています。

取材・文=藤本真由(舞台評論家) 撮影=荒川潤

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