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目白・雑司が谷さんぽのおすすめ6スポット。健やかな空気で、ごきげんよう

さんたつ

目白・雑司が谷さんぽ

池袋駅の南東に広がるこのエリア。新宿・豊島の区境で文教地区と高級住宅地が織りなす目白と、寺社地で下町情緒のある雑司が谷は異なる趣き。土地の高低差も激しいけれど、わざわざ歩きたい。

切手の博物館(きってのはくぶつかん)

コーヒー片手に選ぶ楽しさ、憩う幸せ『Stroll』

アイスカフェラテ650円、ケチャップも手作りのホットドッグ950円。
『SURUTOCO』で自らシルクスクリーン印刷したバッグも販売。

一面ガラス張りの開放感が心地よい、スペシャルティコーヒーの店。デザインも配置もバラバラな椅子は、「そのときの気分で席を選んだり、自由に使ってもらいたくて」と店主の新貝勇介さん。さりげないアートやBGMにもこだわりを感じずにはいられない。自家製スコーンにアイスクリーム、ボリューム満点のホットドッグなど、コーヒーのお供も充実。

8:00~17:00、水休。
☎03-6902-0127

印刷してもしなくてもハマる世界『SURUTOCO』

手動の機械で気軽に作れるリングノートは200円~。

メッシュ状の版の孔にインクを通して印刷するシルクスクリーンを体験できる作業場付きショップ。印刷用の布製品や紙、インクが買えるだけでなく、リソグラフによる絵はがきやポチ袋などの紙雑貨も豊富に揃う。ムラやカスレ、色重ねの面白さ、レトロな風合いがたまらない。紙とリングを選べる予約不要のリングノートづくりもぜひ。

10:30~18:30、水休。
☎03-6718-4522

異国的だけどなじみやすい味『THE COFFEE MARK』

幅広麺のミェイ・カッチー・カィー、もつ煮込みのウェッター・ドゥ・トー、ミャンマーコーヒーのランチ1925円。
魚のスープの麺料理、モヒンガー1430円。

2025年8月に開店したミャンマー料理専門店。民族衣装姿のスタッフに迎えられ、カフェのような洗練された店内で堪能できるのは、本場のシェフが手がける国民食のモヒンガー、シーフード焼きそばのミェイ・カッチー・カィー、ひよこ豆で作る豆腐(トーフ)など、さまざまな地方の料理。素朴でなじみやすい味わいで、辛さは自分で調節するのがポイント。

11:00~23:00(ランチタイム11:00~14:00)、無休。
☎03-6914-4169

見て買って工作して、切手と遊ぼう!『切手の博物館』

平日限定の切手貼り絵体験は予約不要で100円。
入り口には気になる郵便ポストが!

1996年に開館。約35万種類もの国内外の切手が収蔵される。展示はテーマに合わせて年4回入れ替え、現在は「魅惑のキノコ」展を開催。ルーペやライトを借りてじっくり観賞したら、無限のデザインを思い知る。2階では世界初と日本初の切手ともご対面。使用済み切手で貼り絵や、切手を買う楽しみも! 入館料200円(毎月23日は「ふみの日」で無料)。

切手の博物館(きってのはくぶつかん)
住所:東京都豊島区目白1-4-23/営業時間:10:30~17:00/定休日:月・展示替え日/アクセス:JR山手線目白駅から徒歩3分

お酒もお菓子もお気に召すまま『Kashiyano』

自家製焼ニョッキ680円、ブラックオリーブ入りミートボールトマトソースペンネ880円(ハーフ)、「風の森」ALPHA DRY680円、国産カシスソーダ850円。
レアチーズクリームのキャロットケーキ700円など、ケーキは日替わりで2~4種類並ぶ。

扉を開けば小さな地下空間。菓子職人の中村文さんが好きなお酒を洋菓子やおつまみと共に提供したいと2024年に開店。「基本、夕方から開くのでお仕事帰りにケーキを買いに寄られる方も多いです」。料理はイタリアン系で、ニョッキはやみつきになるモチモチの弾力。日本酒やリキュールのラインアップも目が離せない。

17:00~22:00(土は14:00~21:00、日は変動あり)、月・火・不定休。
☎03-6914-1706

元気がもらえる酒と魚と土鍋ご飯『元喜(げんき)』

土鍋で炊いた和牛しぐれ煮と舞茸の炊き込みご飯1合2900円ほか。

コンクリート壁と木を合わせたモダンな居酒屋。料理は和食だが、フレンチ出身の岡部藤夫さんは“洋”のエッセンスも散りばめる。月替わりのお米の土鍋ご飯、焼津『サスエ前田魚店』直送の鮮魚の刺身盛り合わせ3点2500円は必食だ。酒は山形の酒田酒造「上喜元」1合750円~をはじめ、常時20 種類以上。

11:30~14:00LO(ご飯がなくなり次第終了)・17:00~23:00LO、水休。
☎03-6812-1414

心にゆとり。人がやわらかい街

昼間の目白駅前(東側)。

メインストリートの目白通りに立つ目白駅は、東と西で駅前の景色がくっきりと違う。東を向けば、学習院大学をはじめとする文教地区。一方、西は商店街。飲食店や食料品店のほか、和・洋菓子店やブティックや古美術店も多く、生活必需品を扱うだけではない、センスのよさや上質な余剰を感じさせる。

それもそのはず、この一帯は明治時代から旧華族の屋敷があった高級住宅地。そんな雰囲気に合う店構えの『THE COFFEE MARK』は、カフェかと思えばミャンマー料理店でびっくり。「最初カフェをやりたかったんです」と笑うオーナーのティン・ティン・タイさん。隣の高田馬場はミャンマー人の密集地帯だが若者が多くてにぎやか。でも、「ご年配の方にも安心して来てもらえる、落ち着いた場所を探したらここでした」。

池を囲むように園路が配された日本庭園『目白庭園』でひと休み。

たじろぐ急坂の下に待つオアシス

ジェットコースターのような高田2丁目の「のぞき坂」。

では目白通りの東にも足を延ばそう。『切手の博物館』で数センチの極小アートを鑑賞しつつ、切手を使って貼り絵体験。己のセンスのなさと不器用さには落ち込むけれど、無心になれて楽しい!

緑深い広大な学習院の敷地を過ぎれば雑司が谷エリア。千登世橋から見下ろす明治通りの高低差に驚く。高田・目白台側にはのぞき坂、宿坂、稲荷坂、富士見坂、日無坂、小布施坂と急坂銀座で、たじろがずにはいられない。

「坂、すごいですよね。しんどいから普段は使いません」と苦笑いするのは、坂の下で営む『Stroll』の新貝勇介さん。このあたりは路地が多く道も複雑。“紙工”や“折本”と書かれた町工場もあり、下町的な住宅地だ。

「心にゆとりがありそうな人が多いというか、人がやわらかい街。引っ越して来たいくらいこの街が好きになりました。神田川もあるし、散歩に絶好です」

聞けば“stroll”は“目的なくぶらぶら歩く”、まさに“散歩”の意。街にぴったりの名で丸3年、住民や旅行者たちのオアシスになっている。

生垣に笑う猫(彫刻)! 夏目漱石の小説がモチーフとか。

一方、雑司が谷側は子母神や大鳥神社などの寺社地に、雑司ケ谷霊園、参道や弦巻通りの商店街も個性を見せる、やはり穏やかな住宅地。

「実は、物件の内見に来るまで雑司が谷に降り立ったことがなかったんです」とは、『Kashiyano』の中村文さん。だが、都電が走るのんびりした様子や、雑司が谷公園の開けた景色と子供が遊んで大人がピクニックを楽しむ姿を目にして心が決まったとか。

雑司が谷公園の原っぱから見た池袋のビル群の夜景。

「お客さまがご家族を紹介してくれたり、誕生日ケーキを作ってお子さまの成長を感じるたびに、ここで始めてよかったって思います。いつもの生活を少し健やかにできるような、そんな店でありたいです」

ああ、そうか。このエリアも“健やか”という言葉がしっくりくる。ターミナルでもなく観光地でもない。猥雑な繁華街と切り離された別天地。用がなければそうそう降りる街でもない。が、わざわざ来てよかったと思える。漂う空気がじんわりと、歩く者も健やかにしてくれるのだ。

取材・文=下里康子 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2025年11月号より

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