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かつてプロ野球の日本ハム、オリックス、阪神でプレーし、SPAIA公式シニアアンバサダーを務める糸井嘉男氏と、近鉄、日本ハム、楽天の3球団で監督を務め、日本ハム監督時代に野手転向後まだ実績のなかった糸井氏を一軍で起用し続け、一流選手に育て上げた梨田昌孝氏の対談が実現。
今回の第1弾では、お二方に2024年プロ野球、パ・リーグの順位予想をしていただきました。動画も合わせてご覧ください。【セ・リーグ編はこちら】
・セ・リーグはやっぱり阪神が強い？　通算800勝の名将・梨田昌孝氏×超人・糸井嘉男氏による2024年プロ野球順位予想

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【ゲスト】

SPAIA公式シニアアンバサダー

糸井嘉男

1981年7月31日、京都府出身。京都府立宮津高から近畿大に進み、投手として関西学生リーグで通算9勝をマーク。2003年ドラフト自由獲得枠で日本ハムに入団後、野手転向。2013年にトレードでオリックスに移籍、2017年からFAで阪神に移籍し、2022年に現役引退した。通算1727試合出場、打率.297、1755安打、171本塁打、765打点、300盗塁。

【ゲスト】

近鉄、日本ハム、楽天元監督

梨田昌孝

1953年8月4日、島根県出身。浜田高3年時に春夏連続で甲子園出場。強肩強打の捕手として1971年ドラフト2位で近鉄に入団し、現役17年間で通算1323試合出場、打率.254、113本塁打、439打点。2000年から近鉄、2008年から日本ハム、2016年から楽天で計12年間監督を務め、通算805勝776敗31分け。

■ペナントレースのカギを握るのは投手力

糸井：皆さんこんにちは。SPAIAチャンネルの糸井嘉男です。今回のゲストは超人・糸井嘉男の生みの親でもある梨田昌孝さんです。よろしくお願いします。

梨田：よろしくお願いします。

糸井：本日やっていく企画は、2024年のペナントレース展望と順位予想です。梨田さんは（今年の）キャンプ見に行かれました？

梨田：行ってきましたよ。

糸井：解説者としてはベテランですけども、キャンプ行かれた時は何を見るというか、どういう視点で見た方がいいんですか？

梨田：ピッチャーをまず見るのと、ドラフトの上位選手。全部は見れないけど、新戦力、特にピッチャー。

糸井：ピッチャーなんですね。

梨田：それと外国人選手。どうかなっていうね。昔は2、3人しかチームにいなかった外国人選手が多いとこだったら7、8人とか6、7人いるよね。

糸井：日本ハムなんてかなり獲りましたもんね、今年。

梨田：獲ったねえ。

糸井：本気度がうかがえます。

梨田：やっぱりね、ピッチャーが強いチームっていうのがどうしても優勝に近いなと。

糸井： そうですね。オリックスもそうですし、タイガースも投手力かなりありますから。そういった意味ではわかりやすかったですね、去年は。

梨田：わかりやすかったね。今年はちょっと難しいけど、順位予想するの？

糸井：はい、後ほど。パ・リーグはやっぱり中心となるのはオリックスになるんですかね。

梨田：オリックスになる気がしますね。

糸井：そしてソフトバンク、ダークホースが日本ハムみたいな感じですかね。

梨田：清宮（幸太郎）が元気だったら…。

糸井：キャンプ初日の前の日に、怪我ですもんね。1日もキャンプできなかったっていうところは、ちょっと痛いんですけど。

梨田：あのバッティング、今年は25本近く打つんじゃないかって。

糸井：3割近く打って？

梨田：うん、そういう期待をしてたのにね。去年はサードを守ったりしてね。

■日本ハム期待の新助っ人レイエスのパワーは中田翔以上？

糸井：昨年は万波（中正）選手がブレイクしたんですけど、あと1人2人ぐらいブレイクしたら、本当に日本ハムは強いチームになるんじゃないかなって感じましたね。

梨田：ピッチャーも上沢（直之）は抜けたけど、山﨑福也が入って、外国人投手も結構いいんでね。

糸井：（ドリュー・）バーヘイゲン。あと何人かいますよね。ピッチャーも外国人が。

梨田：バッターではね、（フランミル・）レイエスっていう、これは変化球打つのがものすごくうまいの。

糸井：真っすぐはダメなんですか？

梨田：真っすぐのインコースはちょっと苦しいですけど、変化球を右の方へホームラン打つ。

糸井：打ちましたもんね、エスコンのブルペンに（笑）。

梨田：身体がでかいからバットがおもちゃみたいなバットに見えてね（笑）。八木（裕）バッティングコーチに「ちょっとバットおもちゃみたいだけど、あれ短いんじゃない」って聞いたら、「いや、そんなことないでしょ。身体でかいからですよ」って（笑）。34インチ（のバット）使ってるのかなと思ったら、33半（33.5インチ）だった。

糸井：さすが！もう見ただけでわかるっていう。短いですね、あの身体で33.5インチは。

梨田：短い。おもちゃみたいに見えてね。

糸井：なんでやろ。やっぱこっち（インコース）が嫌なんですかね。

梨田：つまるのが嫌だっていうね。やっぱりある程度腕が長いから。

糸井：外は届く。

梨田：このバットが1番自分に合ってるんだっていうね。

糸井：でも当たれば名護（日本ハムのキャンプ地）のバックスクリーン越えるようなパワーありますからね。

梨田：中田翔（現中日）以上のパワーあるかもわかんない（笑）。

糸井：名護は風がだいぶフォローですし、狭いから結構行くんですけど。でもバックスクリーン越えるってなったら、 大谷翔平か中田翔も越えてましたかね？

梨田：越えてた。風が吹いてたら本当に海の方まで行ってしまう。

糸井：中田翔もちょっと気になりますね。やっぱり梨田さんの時の選手ですから。ただ、今はパ・リーグの話なんで（笑）。日本ハムはダークホースでちょっと面白いんちゃうかなっていうのは僕も思ってます。

■オリックス4連覇の可能性は？

糸井：オリックスはどうですか？

梨田：オリックスは山本由伸と山﨑福也の2人抜けたことによって、27勝ぐらいなくなって、300イニングくらい足らなくなった。

糸井：そういうのって、監督目線からしたらだいぶですか？

梨田：いやもう大誤算ですよ。ピッチャーが300イニング足らないとなると。

糸井：まずは1年間ローテーションで回せるかっていうところですよね。

梨田：そう。だから今、山岡（泰輔）を先発に回したりしてるのと、山下舜平大がいて東（晃平）がいて、田嶋（大樹）がいて、宮城（大弥）がいてとなってくると、やっぱ使い回しっていうかね。小木田（敦也）くんもひょっとしたら先発に回ったりとか。色んなことを中嶋（聡）監督、福良（淳一）GMは考えてる。

糸井：外国人のピッチャーも加入してますけど。

梨田：（アンドレス・）マチャドっていうのがすごくいいピッチャー。（アンダーソン・）エスピノーザとロッテから獲ってきた（ルイス・）カスティーヨもいるんで、結構やりくりはできるんじゃないかと。

糸井：やっぱり優勝候補ですよね、経験もありますし。

梨田：4連覇の可能性十分あるかなと。西川龍馬も広島から獲って、打線はある程度固定できるような。DHをうまく使い回していくと、杉本（裕太郎）をDHにしたり、森友哉や西川をDHにしたり。

糸井：中嶋監督って日替わり打線じゃないですけど、全然固定しないじゃないですか。

梨田：しないね。去年、オリックスとロッテと、それから日本ハム。この3チームが百何十通りかな。阪神の時はスコアブックに書いていったら大体当たるのよ。他（の球団）はもう書かない。書いたらまた消さなくちゃいけない（笑）。

糸井：選手的にはやっぱり固定された方がいいのかな。どうなんですかね？

梨田：どうでしょう。僕はどっちかっていうと固定する方だった。で、4番バッターは右っていうね。小谷野栄一とか高橋信二とか。

糸井：（近鉄時代の）中村紀洋さんも！

梨田：ターメル・スレッジとか稲葉（篤紀）もいたけども、4番にするとやっぱり左（投手）に強い4番じゃないと。 左を全く打たなかったらワンポイント出されたりするんで。だから、右の方が僕はやりやすかった。信二も栄一もバントもするし、ヒットエンドランもするし。

糸井：つなぎの4番って言われてたぐらいなんで。

梨田：そう！そういう野球を当時の日本ハムはしていかないと。やっぱりピッチャーが良かっただけにね。

糸井：そうですね。点をいかに取るかっていう。

梨田：そういうことで色々考えてやって。仰木（彬）さんもよくね、打線はもうコロコロ、取っ替え引っ替え。 昨日4番打ったのに今日8番とか。

糸井：ええ！？

梨田：本当に。選手よく間違えてたもん、ネクストバッター入るの。「おい、違うぞ違うぞ」って（笑）。

糸井：それはわかります。3番よく打ってたんでたまに1番とかなったら、行くの忘れますもん。「あっ今日1番やった」みたいな時があったりしますから。でもそれがほんとに、オリックスはハマってるというか、スタメンに出されたら「よし！」ってなるんですかね。

梨田：結構「えっ！？」ていう抜擢、池田（陵真）くんとかね。日本シリーズの太田（椋）くんの1番とかね。ああいうとんでもないことをするんでね。それがまたみんな当たる。

糸井：当たるんですよね。

ⒸSPAIA

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■梨田氏はオリックスの4連覇と予想

糸井：では、パ・リーグの順位予想をしていきたいと思うんですけど、 どういう感じになりますでしょうか。

梨田：まず、優勝を決めるというよりも、去年優勝したチームをどこか追い越すところがあるかなと思うのね。そうすると、オリックスは300イニング、山本と山﨑福也が抜けたけども、その代わりはうまく誰かがはまってきそうな、そういう使い方を監督はすると思う。ですから、ここはオリックスの4連覇の可能性大だと。

糸井：うわあ、4連覇。なかなかこれできないことですよね。

梨田：今の時代難しいですね。1年続いたら次はもうガクッと落ちたりするから。

糸井：そうですよね。

梨田：お世話になった福良GMと中嶋監督。

糸井：迷惑かけたお2人ですけどね。はい（笑）。

梨田：（笑）。優勝は一応オリックス。

糸井：はい。

梨田：2位がソフトバンク。打線はね、山川（穂高）が加入して点は取れるけども、先発投手陣が悪すぎる。

糸井：確かにモイネロまでも先発に回ってきて。

梨田：和田（毅）の状態もいま一つ良くないのと、石川（柊太）、東浜（巨）あたりがいかに頑張るかっていうことで、ちょっと先発がね。

糸井：絶対的ではないですね。

梨田：スチュワート・ジュニアもいるけども、甲斐野（央）が西武にいってしまったっていう。ちょっと中継ぎもそんなに分厚くはないなって。やっぱりピッチャーがいいチームっていうのがね。

糸井：確かに言われてみれば、ソフトバンク、ピッチャーにちょっと不安はあるかもしれないですね。

梨田：そういうことで、一応、優勝を追いかける2位ということで。

■古巣・日本ハムは清宮が元気だったら3位も

糸井：ソフトバンクが2位。それを追いかけるのは？

梨田：追いかけるねえ…。清宮が元気だったら、本当は3位にしたかったんだけど…。

糸井：日本ハム！清宮が元気であれば。

梨田：したいでしょ、日本ハム3位に！

糸井：清宮、頑張れ！（笑）

梨田：彼がキャンプ前に故障した。それも防げる故障だったって聞いたんでね。

糸井：そうですね。

梨田：それで去年、防御率が2点いくつだったかな、西武の投手陣が抜群にいいのね（昨季のチーム防御率はリーグ2位の2.93）。

糸井：あのロン毛の2人（髙橋光成と今井達也）！

梨田：髙橋光成はね、ちょっと肩の調整で出遅れてるんですけど、平良（海馬）もいるし。

糸井：全員160キロに迫るようなピッチャー、先発陣。

梨田：豆田（泰志）、水上（由伸）もいるんで。

糸井：隅田（知一郎）もいますし、すごいメンバーですね。

梨田：ただ、 長打力がね…。

糸井：新国人の（ヘスス・）アギラーが当たれば。この前も横浜スタジアムで打ってましたけど（3月10日・DeNAとのオープン戦で第1号本塁打）。

梨田：当たればね（笑）。当たらないようにするのが日本のバッテリーだから。一応、西武が3位。4位は3位にしようかと思ったけど、日本ハムですね。

糸井：4位が日本ハム！

梨田：（新助っ人の）レイエスが長打力もあるし、変化球を打つのがうまい。

糸井：メジャーの経験も豊富ですしね。

梨田：たぶんDHでファーストは無理かなと思うんだけど（笑）。交流戦もあったりするんでね、多少練習はしてると思うけど。日本ハムは6位が2年続いたけども今年はね。

糸井：はい！では4位が日本ハムということで。

■ロッテは佐々木朗希が1年間ローテを守り切れるかがカギ

糸井：あとはロッテ、楽天になるんですけど…5位がロッテですか？

梨田：5位がロッテ。

糸井：やっぱりそうですね。でも昨年の戦い見てたら前半すごい上位にいたじゃないですか、ロッテ。

梨田：前半は非常にいい形できていたんだけど。やっぱり先発の枚数がちょっと足らないのと、力が落ちてきているのと。佐々木朗希投手が1年間ローテ守り抜けるようだったら、もっと上に行けると思うけどね。まだ体が完全にできてないのか、（指の）マメの具合だとかいろんな部分で、1年間守れないんじゃないかと。

糸井：そうですね。まだ1シーズンやってないですからね。

梨田：ロッテも長打力不足というようなところがね。

糸井：でも（ネフタリ・）ソト選手入りましたよね、前ベイスターズの。2年連続ホームラン王を獲っている選手です。ここ何年かはあまり良くないんですけど。

梨田：2年で（その後）良くないってことは、そんなには良くない。

糸井：弱点がバレてる？

梨田：そう。だから、あんまり期待はできないかなって。アウトコース、外のボールは強いけど、内側は弱い。

糸井：さすが、名捕手！

梨田：一応、”ソト”と”外”をかけたんだけど、スルーされちゃった（笑）。

糸井：あれ（笑）。普通に配球のことかと思ってしまいました、すみません！

梨田：いやいや、いいんですよ。

糸井：ソト選手は外が強い。ダジャレです！

梨田：（笑）

糸井：（グレゴリー・）ポランコ選手も残ってますし、（昨年）ホームランキングですから。

梨田：26本でしょ？そんなにね…。

糸井：なんなんですかね、26本がホームランキングっていう。変な時代になりましたよね？

梨田：ホントですよ。球場をだんだん狭くしているのに、26本で3人もホームラン王がいたりとか、二十何個で盗塁王が4人とかね（※）。

糸井：なんかレベルがちょっとあれですね。

梨田：（投手の）クイックとかうまくなってるけど、なんかね、昔のような感じじゃないなっていうね。以前よりなんか魅力なくなったなっていうのは、ちょっと感じてしまう。

糸井：それぐらい投手陣のレベルが上がったってことなんでしょうか？

梨田：クイックも速くなっているし、キャッチャーもスローイングが良くなってるんだけど。今はちゃんとリプレイで検証できるけど、（僕の時代は）福本（豊）さんを刺したと思って「よし！」と思ったら、もうスライディングする前からセーフってね。

糸井：審判も福本さんだからセーフだと。そういうのがあったんですね。

梨田：ありました。でも福本さんから言わすと、そんなことはないと。俺もセーフだと思ってアウトと言われたことがあるって（笑）。

糸井：逆もあると（笑）。 面白い話が聞けました。

※2021年、源田壮亮（西武）、荻野貴司、和田康士朗（ともにロッテ）、西川遥輝（日本ハム）の4人が24個で盗塁王。

ⒸSPAIA

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■投手陣に大きな不安残す楽天が最下位

糸井：ということで、楽天が最下位。

梨田：やっぱり松井裕樹が抜けて、則本（昂大）が後ろ（抑え）にいった。先発の田中（将大）、マー君もね、クリーニング手術してるでしょ。 前回ちょっと甲子園（3月6日、阪神とのオープン戦）で見たけど、ボールのキレがもう一つなんで、先発の枚数が足らない。

糸井：真っすぐはどうでしたか？

梨田：真っすぐがね…。

糸井：全盛期を見てるじゃないですか？

梨田：全盛期はギアを入れたらもう完璧です。もう完全にノーアウト満塁でも3者連続三振取れるぐらいのね。また陽岱鋼が全然合わなかった。二十何打席、スローVTRを見てるみたいに同じところを同じように空振りする。

糸井：夢に出てくる言ってました、マー君の顔が（笑）。彼もオイシックスっていう新潟のチーム（※）に帰ってきましたから。

梨田：そうみたいだね。頑張ってほしいね！

糸井：楽しみです。

※今季からファームのイースタン・リーグに参入

【セ・リーグ編へ続く】
・セ・リーグはやっぱり阪神が強い？　通算800勝の名将・梨田昌孝氏×超人・糸井嘉男氏による2024年プロ野球順位予想

記事：SPAIA編集部