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世界の強豪ウマ娘を演じるキャストは現場でなにを思ったのかーー『ウマ娘 シンデレラグレイ』海外勢ウマ娘キャストインタビュー|甲斐田裕子さん×石上静香さん×関根明良さん×高垣彩陽さん×富田美憂さん座談会

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

好評放送中のアニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』(以下、『シンデレラグレイ』)。10月より第2クールがスタートし、オグリキャップとライバルたちとの熱い物語が毎週描かれています。最新回である第18話では、世界の強豪ウマ娘たちと競い合ったジャパンカップがついに決着を迎えました。

アニメイトタイムズでは、素晴らしい演技で第2クールを彩っているキャストへのインタビューを実施。前回に続きジャパンカップで熱いレースを繰り広げた、甲斐田裕子さん(トニビアンカ役)、石上静香さん(オベイユアマスター役)、関根明良さん(ムーンライトルナシー役)、高垣彩陽さん(ミシェルマイベイビー役)、富田美憂さん(エラズリープライド役)にお話をうかがいました。

※本文中に第18話までのネタバレが含まれます。

【写真】『ウマ娘 シンデレラグレイ』甲斐田裕子×石上静香×関根明良×高垣彩陽×富田美憂 座談会

私がウマ娘に!?と驚きました

――前回、オグリキャップ役の高柳知葉さん、ゴールドシチー役の香坂さきさん、今回もご参加いただいているオベイユアマスター役の石上静香さんの3人にインタビューしていまして。そこで共演者についてお聞きしたところ、高柳さんが甲斐田さんの名前を挙げて「強者のオーラが半端なくて。一言一言に重みを感じました」と話していました。それを聞いていかがですか?

甲斐田:そう言っていただけてホッとしました。欧州王者をどう表現しよう……と思っていましたから。

――高柳さんの言葉に、横の4人がものすごい勢いで頷いていましたよ。

富田:甲斐田さんのセリフを一言聞いて、みんな背筋がビッとなったと思います。

――高垣彩陽さんの名前も挙げていて、ミシェルマイベイビーについて「お芝居がアメリカン! パワフル! ダイナミック! エキサイティング!って感じで」「陽キャの圧がすごかった」と、こちらもかなりインパクトを受けたみたいでした。

高垣:嬉しいです。オグリキャップとレース中にやり取りをするシーンで、ミシェルの英語のセリフに対してオグリが「英語、分からない!!」と返すのも楽しかったですね。

甲斐田:確か、セリフが変わったんですよね?

高垣:そうなんです。もともとの台本では別の台詞だったのですが、原作と一緒の「英語、分からない!!」になりました。

――高柳さんも「やってみたら、みんながすごく笑ってくれて嬉しかったです」と話していました。

高垣:私も原作の感じが面白いなと思っていて。

石上:これによってレースの重い空気が一瞬軽減されましたよね。

高垣:そうですね。それに、オグリやタマモたちの一直線で一生懸命なところと、まだちょっと余裕のあるミシェルマイベイビーという対比もあると思い、あえてめちゃくちゃ陽キャで演じたので、それが伝わっていたのも嬉しいです。片思いじゃなくて良かった! 高柳さんのことが気になってプロフィールやWikipediaまで調べてましたから(笑)。そうか、英検と漢検を持っている才女なのかとか(英語検定準2級、漢字検定準2級)。

――そこまで調べているとは(笑)。では、皆さんが『シンデレラグレイ』に出演が決まったときの気持ちをお聞かせください。

甲斐田:『ウマ娘』は私とは別次元の世界だと思っていたので、トニビアンカ役としてご提案をいただいて驚きました。私でいいのかな?とも思いましたね。トニビアンカは、ベルサイユっぽい雰囲気のウマ娘。どこまで「若くして(演じてください)」と言われるかと思っていましたが、そのままで大丈夫でした。

石上:私は前回お話したように、『シンデレラグレイ』がアニメ化する際に別キャラのオーディションを受けていまして。そちらは残念な結果だったのですが、その後「オベイユアマスター役はいかがですか?」とお声がけをいただきました。ゲームの『ウマ娘』はもちろん知っていましたし、TVアニメや劇場版も見てはいたので、『ウマ娘』に参加が決まったときは嬉しかったです。同時に、原作で「ジャパンカップ」は特に人気のストーリーでしたから、気合を入れて演じなければいけないと気が引き締まりました。

関根:『シンデレラグレイ』のオーディションは私も受けていました。原作を読んで「なんて泥臭く、そして熱い物語なんだ!」と精一杯頑張ったのですが、そのときはご縁がなくて。その後、ムーンライトルナシー役でお声がけいただき、「私もこの作品に携われるんだ! しかもこんな素敵なウマ娘とともに走れるんだ!」とあまりの嬉しさでマネージャーさんと2人でぴょんぴょん飛び跳ねながら喜んだことを覚えています。

高垣:「ミシェルマイベイビー役で」とオファーをいただいたときは、私も甲斐田さんと同じで「ええっ! あの! ウマ娘に!?」と驚きました。身近な人が『ウマ娘』のゲームを楽しんでいたので、「うまぴょい(伝説)か!」と思っていたら、「うまぴょい」はなさそうで(笑)。しかも、原作を見たらミシェルマイベイビーは身長195cmなんですよ。ウマ娘たちの中でもかなりの巨体で、私とは40cm以上違うので(高垣さんは151㎝)かなりギャップはありますが、楽しんで思いっきり向かわせていただこうと思いました。

富田:私は第2クールの収録が始まる前に「エラズリープライド役で」とオファーをいただきました。皆さんと同じく私も「ウマ娘か!」というのが率直な感想でしたが、海外のライバルウマ娘たちのキャスト表を初めていただいたときは「この先輩方の中に私が入ってもいいのかな……?」って気持ちが強かったです。

それぞれのウマ娘の個性を表現するように意識した演じ方

――ご自身が演じるウマ娘の印象や魅力については、どのように感じていますか?

甲斐田:トニビアンカは見た目から欧州王者の風格を感じますし、目線もほかのウマ娘とは違いますよね。でも、第18話の怪我をして病院にいるシーンでは、割と素の彼女を見ることができて、そのギャップも面白いなと思いました。

石上:オベイユアマスターは2面性のあるキャラクターといいますか。素の彼女はクールで努力家で、どちらかと言うと寡黙寄りですけど、ジャパンカップに出走するにあたり、素の自分を隠し、日本のウマ娘たちのことをすごく研究して。最後の最後に本領を発揮するところが、やっぱり一番の魅力ですね。

関根:ルナシーさんは、“ツンツンツンデレ”という印象です。普段の振る舞いはとても麗しいウマ娘ですが、走っている姿はとても熱くて。また、藤井記者の名前をしっかり覚えていた所やレースの際にトニビアンカの異変に一早く気付き、幼馴染を心配し思いやる所など、優しい一面がとても可愛いく魅力だなと思います。

高垣:ミシェルマイベイビーは、とにかく大きい!という印象でした。オベイユアマスターと同じアメリカ代表ですが、あの体でダイナミックな走りをするのは彼女の個性だなと思います。

富田:エラズリープライドの印象は、“美しくてクール”でした。でも、原作や台本を読んでみると、クールですけど寡黙な訳ではなく、ちゃんとほかのウマ娘たちとコミュニケーションを取るんです。個人的には第18話のゴールドシチーとのシーンがすごく印象的で。ちょっと照れる可愛らしい面もあったので、彼女も彼女ですごくギャップを持った魅力的な子だなと感じました。

――そんな海外ウマ娘たちですが、英語やイタリア語のセリフも含めて、演じる際に意識したことや難しかったことなどを教えてくだい。

甲斐田:私は基本、日本語しか喋れません(笑)。英語も苦手ですし、(トニビアンカが話すのは)イタリア語か……と思って。練習はしていきましたが、自分が練習するのに用意した音源と、現場で聴かせていただいた音源はまた違っていましたし、発音だけでなく感情を乗せるのが難しかったです。感情を乗せるのは何度いろんな言語でやっても難しくて、今回もそこが一番苦労しました。

石上:そうなんですよ。事前に音源をいただいていても、実際にそのシーンでの感情や表情に合わせようとすると、音源のままの発音では合わなくて。前回のインタビューでもお話しましたが、藤井泉助役の高橋(大輔)さんが英語のすごく達者な方ですので、「激昂した喋り方だと、どういうイントネーションになるんですか?」などと聞いて、現場で逐一耳コピしてやっていました。ただ、原作に比べると英語のセリフの多くが日本語になっていて、決めのところだけが英語のままだったりしたので、難しくも楽しく収録させていただきました。本場の方にどう聴こえているかは不安ですが(笑)。

英語以外に関しては、2面性のギャップを作るにあたり、素のオベイちゃんは「低めの声」とオーダーをいただていて。それをベースに仮面を被っている彼女がどのぐらいの声の高さがいいのかを、監督さんや音響監督さんの意見を聞きつつ作っていきました。2面性が綺麗に描かれていたら、演じた私も嬉しいです。

関根:ムーンライトルナシーは、英語のセリフがありません(笑)。気をつけた点は、ルナシーさんは貴婦人ですし、登場シーンでも姿勢はとてもキレイだったので、収録中は必ず背筋をピンと伸ばし貴婦人の優雅さを出せるように気をつけました。

高垣:ミシェルマイベイビーは、明るさや自由さ、マイペースさ、といったことを大事にしていました。相手と距離を詰めるのも早いと思ったので、私自身もフレンドリーな気持ちで、なにをやるにも思いっきり大きくやろうとマイクに向かっていましたね。

ただ、原作でほぼ英語で喋っていたので戦々恐々としていたのですが、原作で英語だったセリフが日本語になっているところもあって少しホッとしました。でも、ここは英語のままなんだ……といったシーンも割とあって、高橋さんに確認しながらやりました。もう高橋さんには足を向けて寝られないです(笑)。それに、音響監督の郷(文裕貴)さんも、発音に対してシビアにディレクションしてくださいました。「『ウマ娘』は世界でも楽しんでいただいているので、ネイティブの方にも違和感なく受け入れてもらえるように、ここがもうちょっとこう聴こえるといいかな」とか「ちょっと飲み込んじゃったね」などと丁寧に指摘してくださって。英語は緊張しましたが、とても楽しかったです。

富田:エラズリーは綺麗で美しく、クールに見えるけどレースや走りに対してはすごく熱い信念を持っているウマ娘なので、上品な雰囲気がありつつ芯の強さも見せられたらいいなと思って演じました。

英語のセリフは、「Are you OK, Lady?」だけだったと思いますが、普段のオーディションより緊張して現場に行きました(笑)。そもそも、オファーをいただいたときにマネージャーさんから「おそらく英語を喋ると思いますが、いけますか?」と確認があったんです。そのときは「頑張ります」と答えたものの、現場では高垣さんの耳が良すぎて英語が完璧で。その直後に自分の英語のセリフがあったのでドキドキしましたね。でも、高橋さんだけでなく、ミキサーブースにも英語ニキ(英語に堪能な人)がいて、教えてもらいながら収録することができました。

――高橋さんは外国語監修としてクレジットに載っていますね。

高垣:高橋さんは、ご自身の出番が終わられているのに、私たちの英語のセリフがあるからと残ってくださって。ガイドでいただいていた音声は女性が丁寧に細かな発音も聴こえるように読み上げてくださっていたのですが、お芝居も加味してのニュアンスは、高橋さんがよくわかっていらっしゃるので。そういう意味でも高橋さんに聞くことができて良かったです。

本番で英語のセリフのあとに高橋さんの方を見たら、指でオッケーとやってくださっていて、心強かったです。

アフレコは多くのキャストが一緒に収録して刺激を受けました

――ほかのキャストで印象的だった演技や振る舞いなど、アフレコでのエピソードもお聞かせください。

甲斐田:この作品は結構みんな揃って収録することができました。若い子もいれば私の世代やちょっと上の世代の方もいて、年齢感もばらつきがありますし、懐かしい人も初めてお会いする人もいて。その掛け合いがすごく楽しかったです。若い子のセリフをどう盗もうかと思って聴いていたり、(大塚)芳忠さんなど先輩の抜き収録のとき一緒にブースに入って聴いていたり。コロナ禍を経て、なかなか多くの人と録るチャンスがなかったので、勉強させていただきました。

石上:『ウマ娘』ってレースが始まってからの盛り上げや躍動感をどう出すんだろうと思っていたんです。その意味では、一番の功労賞はやっぱり実況の赤坂美聡役の明坂聡美さんだと思います。走っているウマ娘たちは意外とモノローグが多くて普通に喋っているんですよ。接戦であるとか誰が勢いあるとか、残り何百メートルとか、ラストスパートとか……そういった盛り上げはすべて明坂さんがやられていて。しかも、別録りではなく、一緒のマイクで移動しながらです。私たちの演技を邪魔せず、周りの空気を作ってくださるのは、先輩のすごい技術を垣間見た瞬間でした。

甲斐田:本当にさすがプロと思って見ていました。ちゃんとレースを見ながら実況しているし、ここはちょっとタイミングが違うんじゃないか、といった指摘もしていてすごいと思いましたね。

関根:私は全員での収録に参加できたのは1話だけで、あとは抜きでの収録でした。なので寂しくはありましたが初回に皆さんと一緒に収録できた際に、「ジャパンカップを盛り上げていくぞ!」って熱を感じ、とてもワクワクしました。皆さんの収録した音声を聞いた時に、あまりのレースの熱に鳥肌が立ちました。

高垣:オグリキャップ役の高柳さんとは初めてご一緒させていただいたのですが、本人もお芝居もすごく素敵なんです。ご覧になった方は熱量が伝わったと思いますけど、収録でも倒れちゃうんじゃないか、過呼吸を起こしてしまうんじゃないかってぐらい全力で。こちらまで苦しくなるようなお芝居に、胸を打たれました。

あと、私も明ちゃん(明坂聡美さん)ですね。自分だったらどうやるかな……と考えると、本当に大変そうだなって。現場で聴いていても圧倒されましたし、レースの要ですごい責任感もあると思いますが、それをずっと務め上げているのは改めて尊敬します。

富田:私はタマモクロス役の大空直美さんですね。マイク前に立ったときの“やったるぞ感”を背中からすごく感じて、本当にタマモに見えたんです。その心意気がなんて格好いいんだとシンプルに思いましたね。ほかの皆さんのお芝居も本当に熱くて、この熱さに負けてはいけないなと刺激を受けました。

ブース内で心を射抜かれ、好きになったウマ娘も!

――ご自身が演じるウマ娘以外で気になるキャラクターを、理由と合わせてお聞かせください。

甲斐田:今回、取材を受けるにあたって第1話から見返したら、面白くて結局朝4時ぐらいまで全部見ていました(笑)。ずっとオグリキャップに突き動かされながら見ていたので、気になるのはやっぱりオグリキャップですね。オグリのちょっと不思議な感じが大好きでハマっています。

石上:オベイユアマスターとミシェルマイベイビーは同じアメリカ代表なので、テンションを合わせようと心の中で思っていたんですけど、高垣さんのミシェルマイベイビーがあまりにもアメリカンすぎて(笑)。ちょっと私には真似できないかも、となりました。

高垣:アメリカは広いですからね(笑)。

石上:でも、あの元気さはほかのウマ娘にはない海外のウマ娘だなって感じたので、アフレコを通してミシェルマイベイビーは大好きなキャラクターになりました。

高垣:嬉しい! 最後の記者会見では、漫才みたいになっていましたよね。レースが終わったら2人はこういう絡み方をするんだなって。

石上:そうそう。それまでは絡んでいなかったけど、ちゃんと仲がいいんだと思いました。

関根:個人的な趣味に走ってしまいますが、私は原作を読んでいてディクタストライカとフジマサマーチが2人とも泥臭さがすごく感じられる真っ直ぐなウマ娘ですよね。

でも、収録が始まると推しはどんどん増えていきました。とくにトニビアンカさんに心を奪われまして。ほんっとうに格好良い第16話でのイタリア語がとても印象に残っています。スピーカーからイタリア語のガイド音声が流れて、それをパッと確認して、パッと収録されている甲斐田さんのすごさにも鳥肌が立ちましたし、お声からこれはもう王者だ! 覇者だ!という気迫が伝わってきました。「この作品ではそんなトニビアンカさんの幼馴染であるムーンライトルナシーを演じるんだ。」「レースではライバルとして競い合っているの」「彼女のように気高くあらねば」と自分に言い聞かせながら収録に臨んだことをすごく覚えています。

高垣:私はオグリキャップに胸を打たれました。勝利を手にするため必死に頑張って努力しているはずなのに、何が足りないんだろう? なんで届かないんだろう?って。第18話のオグリのセリフは自分にも突き刺さりましたね。声優も日々オーディションがあって、何が正解なのかわからない中で掴み取りたいもののためにひたすら自分を磨くしかない。努力したはずなのに、それ以上の力で超えていく人たちの背中を見たときのつらさがすごく突き刺さりました。自分の夢を託しちゃうぐらい共感したので、これからも応援したいです。

富田:私はやっぱりタマモクロスと大空さんがすごく好きですね。あのブースにいたらそりゃ好きになっちゃうよ、ってぐらいの迫力がありました。エラズリーとの会話でいうと、先ほど言った「Are you OK, Lady?(大丈夫? お嬢さん)」ってセリフにタマモが熱く返してくるから、私も熱く返したくなっちゃいました。でも、エラズリーはクールで余裕を持っていなきゃ……と思いながら収録したんです。

それぞれの気持ちや思惑がぶつかりあったジャパンカップ

――レースについてもお聞きします。ネタバレを気にしなくて大丈夫ですので、ジャパンカップはどのように感じましたか? トニビアンカは残念な結果となりましたが。

甲斐田:そうですね。侮っていたつもりはないと言っていましたけど、日本のウマ娘とのレースという油断がどこかにあったのかもしれないです。

役者もそうですけど、キャスト表を見てこういう感じかなと思っていたら、結構突っ走る人がいたり、(予想外に)いろんなことをやる人がいたりして。そういう人たちに触発されて現場が盛り上がることはよくあるんです。『ウマ娘』の現場はたくさんの人の熱意がスタジオで集結していて、レースとスタジオの空気感がすごく近いといいますか、レースをしているように感じましたね。今回のジャパンカップも、大外回り、そこからさらに大外回りとかウマ娘によっていろんな作戦があって。私はそういう作戦を練るのができない人なので、みんないろいろ考えるんだなと思いました。オベイユアマスターは一番策士でしたよね。

石上:いろいろ考えていましたね。それで最後の最後に素を出してタマモとやり合っていました。オベイは要注意選手としてトニビアンカ、タマモクロス、オグリキャップの名前を挙げていましたけど、もしトニビアンカも接戦で走っていたら、オベイがどういう反応をしていたのか気になります。

高垣:ミシェルもやっぱりどこか日本勢を舐めていたところがあったのかもしれないです。だから、あまり見えていなかったというか。世界の強豪たちを念頭において余裕を持っていたら、あれ? 日本勢も意外と来たぞって衝撃を受けたんだろうなと。

でも、ミシェルは意外と猪突猛進な感じではなく、1着が無理だと思ったらせめて3着に入ろうとか、かなり冷静にいろんなことを考えていて。走りながらもみんなのいろんな思惑がぶつかりあって、それが覆されて……っていう展開の面白さがありましたね。いけると思ったら、オグリが抜けて来ましたし。私も台本を見ながら気持ちを切り替えて、起きていることに反応して、そこについていかなきゃ!となっていました。それにしても、オグリは本当にゾンビモンスターでした(笑)。

富田:大好きです。あのゾンビの声(笑)。

高垣:テストでちょっとやってみて、やりすぎって言われるかなって思っていたら何も言われなかったので、そのまま本番でもゾンビをやりました(笑)。

富田:私は、レースといえどフィジカルだけじゃないなっていうのを、今回のジャパンカップで痛感しましたね。やっぱり頭を使わないといけないし、知識もないといけないから、単純に足が速いだけじゃどうにもならないんだなと。

関根:ルナシーさんは前回のジャパンカップで優勝を逃してリベンジを狙っていたので、気合は充分だったと思うんです。でも、やはりどこか日本勢よりは、海外の王者たちに勝つという意識のほうが強かったのかなと。「最も警戒すべきは」と言ってトニーを見るところには、絆であり、認めたライバルなんだなと感じました。

ただ、先ほど話したように、私は1人での抜きの収録だったので、皆さんの熱い芝居の波にしっかりと乗れるだろうか?と、すこし緊張していました。トニビアンカの声や熱いレース模様、赤坂さんの実況などを聴いているとどんどん心が熱くなりました。だからこそ、レースでトニーが失速していくシーンでは、心がギュッと締めつけられました。あそこのルナシーさんのせつない表情はとても印象に残っています。

――そんな2人だからこそ、ラストのお見舞いのシーンは素敵でした。

関根:本当にそうですね。

甲斐田:こういう結果になってしまい、ジャポーネのファンの期待に応えられなかったと言いながらも、しばらくここでゆっくりするのも……と言えるだけの余裕を持っていられるのは、やっぱり王者なのかなと。

関根:花から顔がズボって出るのが面白可愛かったです(笑)。このシーンは、最初のテストではトニーを心配しすぎてしまっていると指摘があり。郷さんから、絵的にすっごく面白くコミカルなシーンになっているから、「なにやってんのよ」と普通に突っ込んでくださいとディレクションを受けました。トニーのギャップや、穏やかな顔になった2人を見ていて、こういう掛け合いをいままでもしてきたんだろうなと収録中はたくさん想像していました。

甲斐田:表情もだいぶ柔らかかったですよね。

富田:海外勢みんなに言えることではありますが、ジャパンカップが終わってからみんなの表情が柔らかくなって。レースには負けましたが、彼女たちも一皮剥けた向けた感じがすごく出ていましたし、このシーンもレースでは見られなかった素の部分がすごく見えて胸が温かくなりました。

いつか海外勢による「うまぴょい伝説」やウマ耳をつけた姿を!

――ちなみに、先ほど甲斐田さんが「私はそういう作戦を練るのができない」と話していましたが、皆さんは事前にしっかり調べたり作戦を練ったりするタイプですか?

富田:真逆です。

高垣:私もかな。レース的なことは運動会ぐらいしかやったことないですし。

石上:でも、高柳さんのことをすごく調べていましたよね?(笑)

高垣:確かに。情報として、どういう人かを調べるところはありますね(笑)。それこそアフレコ現場では、どれだけ熱くなりながらも冷静さを失わないでいられるか。でも、場合によっては逆に冷静さを失っていいときもある。結果としてどういうものが伝わるかなので正解はないんですけど、そういう視点で言うと、あのレースに出走していろいろ頭を切り替えられるのはすごいなって思いました。私は切り替えられないです。

関根:私はたくさん調べて調べて、いざ本番になるとぱーん!っと忘れてしまうタイプです(笑)。調べるけど、本番では「やってやる!」「その場の勢いも大切だよね!!」と突っ走ってしまうこともあり、立てた作戦をちゃんと遂行できるオベイさんはすごいなと思います。

石上:私は前回のインタビューで言ったように、なにも知らずにやるのは怖いので、オベイちゃんほどではないですけど調べますね。アフレコなら音響監督さんが誰なのか調べて、「アドリブはどのくらい好む人なんですか?」などと結構聞いちゃいます。調べた上で、なるべく場の空気を読みながらやるタイプですね。

――甲斐田さんは、改めてになりますがいかがですか?

甲斐田:スポーツは全然できないですけど、お芝居では調べ物をすごくする方ですね。すごくするんですが、脱線していくタイプなので、例えばロシア革命の映画(の吹き替え)だとすると、Vチェックや台本を読むより前にロシア革命の本を読み始めちゃいます。そして後になって時間がなくなるみたいな(笑)。(関根さんは)いっぱい調べて本番でぱーん!となると言いましたけど、調べた部分が意外とお芝居の根っこにはあって。

関根:そうですね。

甲斐田:本番でマイク前に立ったときに、意外なきっかけで出てきたりする……と信じて脱線しています(笑)。私はそうやって雑学を勉強しながら、のろのろと本番を迎えるタイプですね。でも、作戦を立てるような頭の切れ味はないので、トレーナーが欲しいです。

高垣:確かに、トレーナーの存在は大きいです。

富田:しっかりメニュー組んで欲しいですよね。

――『シンデレラグレイ』に出てくるトレーナーはみんな優秀ですからね。では最後に、海外勢の活躍が今回だけではもったいないですし、今後『ウマ娘』関連でやりたいことを教えて下さい。

甲斐田:競馬場に行ってみたいです。機会をずっと逃し続けていて。

石上:コラボして、レースで競走馬の名前とか呼んでみたいですよね。さすがに実況は無理ですけど、「何番ゲートに入ります」みたいな感じで。

――過去、笠松競馬場のコラボイベントでは高柳さんが読み上げをやっていましたね。

石上:そういうのをやってみたいです。

富田:以前、お仕事で大井競馬場に行ったことがありますけど、本物のお馬さんはムキムキで大迫力でしたよ。

関根:競走馬に乗ってみたいです。高さや馬上からの景色、レース場の空気を感じてみたいです。

高垣:私は英語版の「うまぴょい伝説」を、ぜひ海外勢で歌わせてもらいたいですね。できたらイタリア語版板も!(笑)

Umamusume: Pretty Derby – Umapyoi Legend (English ver.)

あと、みんなのウマ耳が可愛いなと思っていたので、ウマ耳をつけた甲斐田さんを見たいです! あの格好で! 絶対に似合いますよね! ジャパンカップがオンエアになって、海外の方に海外ウマ娘がすごく受け入れられていたらどうでしょうか? 私たちはいいですから。

甲斐田:1人にしないで〜(笑)。

高垣:わかりました! 先輩にどこまでもついていきます!(笑)

――いつか実現するのを楽しみにしています。ありがとうございました!

[取材・文/千葉研一]

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