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2026年4月18日 @ Zepp DiverCity にしな ツアー2026「日々散漫」ライブレポート

WWSチャンネル

にしな(撮影:増田彩来)

3月に、前作から約3年半ぶりとなる3rdアルバム『日々散漫』を世に送り出したにしなは、そのまま同月末から約3ヶ月間にわたり、アルバム収録曲を軸にした全国ツアーを敢行した。


【写真】アルバム収録曲を軸にした全国ツアーを敢行したにしな(全5枚)

このツアーを通して、にしなが2枚組の大作アルバム『日々散漫』に込めた愛や願い、また、自由の意志を、ライブだからこその豊かな実感を通してより深く感じられた、という人はきっと多かったはず。

今回は、ツアー5本目、4月18日(土)に行われたZepp DiverCity公演の模様をレポートしていく。

1曲目は、アルバムの新曲の一つ「婀娜婀娜」。にしなは、まるで音の海の中を自由にたゆたうように、または、力強く大地を踏みしめるように、多彩な歌声を駆使しながら同曲を歌いあげてゆく。楽曲に宿る多様なニュアンスの数々がライブ表現へと昇華されていく展開に、冒頭からグッと惹き込まれる。「東京、元気ですか!」「会いたかったよ。」「楽しむ準備できてますか?」そう呼びかけた後に披露したのは、「bugs」。艶やかな煌めきを放つダンスビートに、感情の赴くままに身を委ねてゆくにしなと観客。その後も、次々と楽曲が披露されていくたびにステージとフロアの境界線が次第に溶けていき、「U+」では、にしなが「歌える?」と大胆にマイクを託すと観客の盛大な合唱が巻き起こり、「東京マーブル」では、にしなの指揮のもと、一斉の三連ジャンプがばっちりきまる。一転して、「スローモーション」「真白」では、切実な感傷が滲む楽曲世界へと深く誘うライブパフォーマンスが展開されてゆく。

中盤のハイライトとなったのが、アルバムの新曲群が立て続けて披露された一連の流れだった。「in your eyes」では、抑制の効いたタイトなバンドアンサンブルの中で否応もなく昂る想いが高らかに響きわたり、「音になっていくよ」では、ステージ背面に広がる無数の〈お星様〉を背にしたにしなが、両手で深くマイクを握りながら透徹なハイトーンを送り届けてゆく。続く「ドレスコード」では、床に設置された2つのミラーボールが燦々とした光を放つ中、〈my sweet sweet ダーリン〉という言葉が残酷なまでの美しさをもって凛と響いてゆく。また、ミクロな観点でパーソナルな心象風景を歌う「ワンルーム」と、マクロな観点で〈いのちはただ美し〉という普遍的なテーマを歌う「つくし」のコントラストが非常に鮮やかで、にしなが誇る表現の幅と奥行きを存分に堪能できた得難い時間となった。

「ここまで、がっつり、どっしりやってきましたが、楽しめてますか、東京。」「後半戦、楽しんでいけますか、頼んだよ。」「せっかくの休日、ストレスフリーに遊んでいきましょう。」そうした呼びかけの後、「weekly」からライブが再開。にしなは、札幌公演の際に現地で買ったというあざらしのリュックを背負ってステージを練り歩いたり、ステージ中央の円台に設置されたソファーに腰掛けたりしながら快活な歌声を届け、間奏では、「みんなの番!」とフロアに呼びかけ晴れやかな合唱を巻き起こしてみせる。「ケダモノのフレンズ」では、にしなも観客も、それぞれ手に持つ“ケダモノのしっぽ”やタオルを自由に振り回し合い、「パンダガール」では、爆裂的なポップフィーリングがめいっぱい弾ける中、猛烈なエネルギーの応酬が繰り広げられる。続く「クランベリージャムをかけて」では、さらなるカオティックな狂騒感が会場全体を満たし、その後の「シュガースポット」「ねこぜ」では、お決まりのコールが次々とばっちり成立していく。並々ならぬ一体感だ。

「ありがとうございます、東京。みなさんのおかげでとっても楽しいです。」「あと2曲、一生懸命やって終わります。」そう告げた後に披露されたのは、アルバムのリードトラック「グローリー」だった。にしなの「聴かせて、東京!」という呼びかけを受け、観客が、まさに〈讃美歌のように〉歌声を重ねて応えてゆく。なんて感動的な展開だろう。観客の歌声を自らのエネルギーに換えるかのようにして、最後の一節まで〈続くように 紡ぐように 届くように 祈るように〉真摯に歌うにしな。本編ラストの曲は、「わをん」。フロアを指差しながら〈誰かの幸せを願う日もある〉と歌ったにしなは、その後のラストバースで、まるで魂の震えをそのままトレースしたかのような渾身のロングトーン&フェイクを届けてみせる。圧巻にして、万感の幕締めだった。

アンコールで、「ヘビースモーク」「It‘s a piece of cake」を披露した後、にしなは、アルバムを制作する中で感じていたことを語り始めた。「めちゃくちゃ当たり前だけど、私も、みんなも、すごい自由な存在なんだなっていうことを感じていました。音楽で言ったら、続ける、続けないも自由だし、みんなが、仕事とか学校で嫌なことあった時に、続ける、続けないも自由だし。逃げたって、向き合ったっていい。答えがない自由の中なので、不安になることとか、迷うこともたくさんあるけど、それすら、我々が自由の中にいる証なんだな、生きてる証なんだなって思って。美しいことだな、なんていうふうに思ってます。」「社会とか、世界とか、人の心とか、自分のこととか、複雑だからあんまり分かんないなって思うことも多くて、頭の中が行ったり来たりするんだけど、でも、そんな中で大切なことは、いつもシンプルなのかもしれないって思う。例えば、自分がその場所で自分らしくいれるかどうかとか、人のことを好きになった時に好きだって言える気持ちとか、みんながみんなそうなのか私にはまだ分からないけど、私にとってはすごく大切なことなんだなと、このアルバムを作りながら気付きました。それを大切にできたら、自分がこれから何を選んでいこうが、世界がどう進んでいこうが、大丈夫なのかな、大丈夫にしていけるんだって思うようになって、そんな気持ちを込めて、アルバム、そして、最後の曲を作りました。」続けて、にしなはこう語った。「人ってすごい、星みたいだなって思って。例えば、遠くの星が消えた時、気付かない残酷さもあるじゃん? それがたまに悲しく思えるけど、でも、そこにいるだけで、誰かがそれを見上げて──それを頼りに歩いてる人もいるんだなって思います。私はいつも、ダメになりそうな時、音楽を一緒に頑張ってる仲間とか、みんなが笑ってくれる顔とか、本当にそれを頼りに歩いてると思います。にしなの音楽を側に置いてくれて、今日会いに来てくれて、本当にありがとうございます。」温かな拍手が会場全体から送られる中、真のラストナンバーとして、アルバムの最後の曲「Twinkle Little Star」をアコースティックギターの弾き語りで披露。ステージ背面に満面の星が煌めく中、にしなは、一つひとつの言葉を丁寧に噛み締めるように、時おり、感極まるようにしながら、最後の最後まで懸命に歌い紡いでいく。〈どこへでも自由に飛ぶだけさ〉という一節が、先ほどのMCの言葉と相まって特に深く心に沁みた。歌い終えた後も、いつまでも鳴り止むことのない拍手。にしなは、何度も何度も深々とお辞儀を重ねた上で、ステージを去っていった。

文:松本侃士

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