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チェーン店に血を通わせる「手作り宣伝」の魅力(コンビニ編)

さんたつ

全国チェーンを展開する飲食店やコンビニの存在は、街の風景を大きく変えた。地域の独自性は薄まり、日本全国どこへ行っても「なんか見たことあるような風景」になってしまったように感じる。どこにいても同じ内容のサービスを受けることができるという点ではありがたいが、画一的な風景に多少の物足りなさを感じるのも事実だ。 ところがチェーン店でありながら、独自のカラーを打ち出している店がある。店員さんの手作りと思われる宣伝で、おすすめの商品をアピールしたり、親しみやすい店内にしたりしている場合だ。

「手作り宣伝」はコンビニで割とみかける

そのような「手作り宣伝」の遭遇率が割と高いのが、コンビニである。大手コンビニチェーンでは、陳列棚の配置から店員さんの制服まで、マニュアルできっちり決まっているはずだ。そこに突如としてねじ込まれる手作り宣伝。絵心がある、或いは手芸好きの店員さんが担当しているのだろう。それは、制服に自分なりのアレンジを加えて着こなす高校生のようにも見えて、少し微笑ましい。

単にパンフレットを並べているだけのように見えるが、モールで周囲を飾るなどの工夫が見られる。

では、どんな手作り宣伝があるのかを見てみよう。まず多く見られる「ポスターをたくさん貼るタイプ」の宣伝。「おにぎり100円セール」だとか、「クリスマスチキン予約受付中」といったイベント時に発生しやすい。手作り感は薄いものの、レイアウトなどに各店舗の個性が見られる。

絵心のある店員さんが、店内POPを担当しているというケースもある。近所のコンビニでは、プリンの棚に店員さんの似顔絵付きで「〇〇さんおすすめ!」というPOPが貼られており、つい手が伸びてしまう。

力作ぞろいの手芸工作系「手作り宣伝」

よく見ると花は4色あり、配置などにもセンスがうかがえる。

しかし力作揃いなのは、やはり手芸工作の部門だろう。いわゆる「おかんアート」にも共通する趣きがある。たとえば千葉のあるコンビニでは、「サマーギフト」という文字が花で作られていた。小学生の時に運動会や学芸会などの行事でよく作った、お花紙で作るあの花である。これを作ろうと企画した人は誰なのか、そして誰がいつ大量の花を作ったのか。恐らく制作者は「サマーギフトを宣伝したい」という気持ちよりも「お花作るの楽しい」という気持ちが勝っていたのではないかと推測される。

「手作り宣伝」には心を動かされるなにかがある

これだけの力作なので、肉まん100円セールがあるたびに表に出されているようである。

ある冬の日、調布のコンビニを通りかかると、肉まんにギョロリと睨まれた。「肉まん100円セール」を宣伝する、手作りののぼりであった。肉まん、ピザまん、チーズまんと色を変え、肉まんには頬紅を施し、おでこに文字を入れるといった凝りよう。ちなみに店内には、大きな肉まんの手作りぬいぐるみもあった。制作者のセンスの良さがうかがえる。

手作り宣伝で彩られたコンビニは、やはり他の店に比べると雑然とした雰囲気がある。しかしそこには店員さんの個性が発揮され、店に対する愛も感じられる。できればこうした手作り宣伝が残り続けていって欲しいと思う。

絵・文・写真=オギリマサホ

オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書『斜め下からカープ論』(文春文庫)。

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