【勉強感ゼロで「伝える力」が伸びる!】机に向かうより格段に効果的 専門家が教える「一生モノの言語化力」の育て方
子どもの語彙力を伸ばすには、ことば遊びゲームが効果的です。モヤモヤした気持ちを言語化する「なぜ→たとえば」メソッドや、説明力を養うゲームなどを専門家が解説。AI時代に必要な「一生モノ」の言語化力を楽しく育む秘訣を紹介します。
【▶画像を見る】遊びながら言葉を増やすゲームとは?言葉は机に向かってテキストから学ぶよりも、会話の中で実体験として吸収するのが効果的です。ことば遊びゲームなら、勉強している意識がなく語彙を豊かにし、気持ちを具体的に伝えていく練習ができます。連載第2回は、自然と言語化力が身につき、大人も子どもも楽しめる「ことば遊びゲーム」を文章の専門家・山口拓朗(やまぐちたくろう)先生が紹介します(全3回の第2回)。
使える言葉を無理なく楽しく増やすコツ
使える言葉の数は、遊びながら身につく「ことば遊びゲーム」で無理なく楽しく増えていく、と山口先生は話します。
「たとえば『リズムで山手線ゲーム』は、リズムに合わせてパンパンと手をたたき、お題に沿った言葉をメンバーが順番に出していくゲームです。前の人と同じ言葉をいったり、15秒以内に答えられなかったりしたらアウトです。
お題は動物や食べ物をはじめ、都道府県、アニメキャラ、学校にあるものや、『パ』で始まる言葉など、難易度も変えられて大人も楽しめます。
ほかの人の回答で知らなかった言葉を調べれば、机に向かって勉強するよりも、スッと頭の中に入ってくること間違いなしです」(山口先生)
ここからは遊びながら言葉を増やすゲームを、2つご紹介します。
(1)「いろいろ! 気持ちことばコレクション」
「せーの!」と息を合わせるところも楽しめます。『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』を引用してコクリコ編集部で作成。
同じ気持ちを表す仲間はシンプルなものから細やかなものまでたくさんある。『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』を引用してコクリコ編集部で作成。
「うれしい」「楽しい」といった「気持ちことば」は、ほかの表現に言い換えできると微妙なニュアンスが伝わります。このゲームを通じて、同じ気持ちを表す言葉がたくさんあることに気づき、表現の引き出しが増えていきます。
同時に、人の気持ちを想像する力も自然と育まれていくでしょう。出てきた言葉を比べれば、意味の違いや使う場面の違いも学べます。
(2)「書き出せ! 漢字博士ゲーム」
親御さんのほうが漢字が出てこないことも。『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』を引用してコクリコ編集部で作成。
このゲームは「にんべん」や「きへん」などのお題の部首をテーマに、90秒間で思いつくだけ漢字を書き出していくゲームです。文字を日々書いている子どものほうが、大人が顔負けするほど漢字を多く出せることがあります。
「ことば遊びゲーム」は、大人も子どもも年齢に関係なく楽しめるものばかりです。時には大人が負けることもあるので、それも子どもにとって良い経験になります。
心の中のモヤモヤをスッキリさせる魔法のメソッド
「なんとなく嫌」など、心の中にある「モヤモヤ」を具体的にしていくには、質問がカギになると山口先生は解説します。
「頭の中には伝えたいイメージが映像化されていても、それを言葉にするのは大人でも難しいときがあります。頭の中のイメージを引き出すのには、解像度を高める質問が役立ちます。
『なんとなく』思っていることを具体的な言葉にするには、“『なぜ→たとえば』の魔法”を使いましょう。
理由を聞き出し具体例を考えることで、頭の中のモヤモヤを言葉にして伝えやすくなります。『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』を引用してコクリコ編集部で作成。
『なぜ→たとえば』の魔法を使って、理由と具体例を引き出す質問を自分にすれば、自分の中から『本当に伝えたかったこと』が自然と引き出せます。質問を繰り返していくと、より具体的な言葉が出てきます」(山口先生)
見ているものを説明して伝えるコツ
次に紹介するのは、伝える力の土台を育てる「超能力! テレパシーゲーム」です。
お題を出す「親」役の人が見本の写真や絵を見て、言葉だけでどんなものなのか説明し、答える「子」役の人は聞いた内容から想像して絵を描きます。
ちなみに、「子」役の人は質問ができないばかりか、見本やほかの人が描いた絵を見てもいけません。「親」役は一気に説明すると「子」役が記憶しきれないので、描き具合を確認しながら少しずつ説明するのがポイントです。
このゲームのおもしろさは、「公園で子どもが遊んでいる。大人が近くにいる」のように「親」役の説明が大雑把なほど、人それぞれ思い描く情景が変わる点にあります。
そのため、「親」役は「2人の子どもがブランコをしている」「鬼ごっこをしている」「ボール遊びをしている」などと具体的に伝える必要があります。どう説明すれば見本のように描いてもらえるか、工夫を凝らすことで説明する力が育ちます。
まるでテレパシーを送ったかのように具体的に伝えるには、次の6つのポイントが重要です。
(1)いつ:時間や季節、日付など
(2)どこで:外や家の中など、どんな場所なのか
(3)誰が:写真にいるのは誰なのか、どんな人か、何人いるのか
(4)何を:なにをしている様子なのか
(5)なぜ:それをしている理由や気持ちはなんだろうか
(6)どんなふうに:どのようにやっているのか
このゲームは、見本に一番近い絵を描けた人が優勝です。「親」役がどう説明するかというほかに、「子」役の聞きとりや解釈次第で仕上がりが変わるので、見せ合いっこする瞬間は盛り上がります。
「超能力! テレパシーゲーム」の醍醐味は、「親」役が「子」役に必死に説明を工夫し、「子」役も答えを当てようと想像力を膨らませるところにあります。遊びながら具体化する表現力がぐんぐん育っていきます。
ゴールは「相手に正しく伝わること」
使える言葉の数を増やして具体的に話せるようになったら、最後は「相手に伝える力」を養いましょう。
相手にわかる言葉で話すためには、
・相手が理解できる言葉を使う
・わかりやすい順番で話す
・要点を絞って話す
といった工夫が必要です。
「伝えたいことが多すぎて話が長くなったり、シンプルにしすぎて説明不足になったりするのは、大人でもよくあることです。要点がズレて何を伝えたいのかわからなくなることも、気をつけたいポイントです。
これらの注意点をクリアにし、伝える力が身につくと、
・考えをまとめる力がつく
・相手に伝わりやすい説明力が身につく
・選択力、優先順位をつける力が鍛えられる
・自分の考えを堂々といえるようになる
という効果も期待できます」(山口先生)
相手が理解しやすいようにポイントを絞って話す練習は、次のゲームがオススメです。
「まるでプレゼン! 『ポイントは3つです』ゲーム」
3つにまとめる手法は、発表するときの練習になる。『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』を引用してコクリコ編集部で作成。
このゲームは結論から話す練習になり、学校での発表も堂々とできるようになります。
正直に思った気持ちを大切に
気持ちを表す言葉にはポジティブな言葉とネガティブな言葉の両方があり、どちらも正直な自分の気持ちです。
普段から自分の気持ちを言葉にしていないと、小さな我慢が積もって、大きな悩みもいえなくなってしまうことがあります。一方で、自信を持って自分の気持ちを伝えられる習慣が身についている子どもは、友だちから嫌なことをされても「嫌だ」と口に出せて、自分を守ることができます。
親は先回りして気持ちを代弁することなく、子どもの気持ちをじっくり引き出してあげる。そんな姿勢が一生モノの「伝える力」を育てます。
取材・文/石牟礼ともよ
─◆─◆─◆─◆─◆─◆─
◆山口 拓朗(やまぐち たくろう)
伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を経て独立。29年間で3800件以上の取材・執筆歴がある。現在は文章の書き方や伝え方など言語化やアウトプットの分野で、実践的なノウハウをセミナーやメディアを通して提供。NHK「あさイチ」ほかメディア出演多数。著書は『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)など、国内外で60冊以上がある。