『トイ・ストーリー5』で感じた“30年前と変わらないもの”。 唐沢寿明さん&広瀬アリスさんインタビュー
おもちゃたちの世界を舞台に、人とおもちゃのかけがえのない絆をドラマティックに描き、世界中の観客を感動の渦で包み込んだディズニー&ピクサーの傑作「トイ・ストーリー」シリーズの最新作『トイ・ストーリー5』が、7月3日(金)に公開されます。
今作では、想像力豊かで内気な少女・ボニーのもとに、最先端タブレットのリリーパッドが登場。おもちゃたちは“遊び”をめぐる大きな変化に直面することになります。時代の移り変わりとともに、おもちゃとの関わり方や人とのつながり方が変わっていく一方で、『トイ・ストーリー』らしい普遍的なテーマも描かれています。
このたび、日本版でウッディ役を務める唐沢寿明さんと、新キャラクター・リリーパッド役としてシリーズ初参加を果たした広瀬アリスさんにインタビュー! 作品に参加する思いや、今作で描かれる“変わらないもの”、そして30年にわたり愛され続ける『トイ・ストーリー』の魅力について話を聞きました。
【写真】『トイ・ストーリー5』唐沢寿明&広瀬アリスインタビュー
初期の『トイ・ストーリー』に戻った感覚
ーー再びウッディの日本版声優を担当することとなった唐沢さん。決まった際はどのようなお気持ちに?
唐沢寿明さん(以下、唐沢):吹き替えに関しては、もう「自分がやるしかない」という感じですよね。ここで急に別の方になったら、きっと違和感もありますから(笑)。
ーー広瀬さんは今作でシリーズ初参加となります。改めて、それについての思いを聞かせてください。
広瀬アリスさん(以下、広瀬):私自身、小さい頃からずっと『トイ・ストーリー』を観てきたので、そんな世界中で愛されている作品に参加できることは、本当に光栄なことだなと思いました。素直にすごくうれしかったです。
ーー本作の物語について、どのような印象を持たれましたか?
広瀬:これまで当たり前のようにおもちゃがあって、おもちゃで遊びながら育ってきた人間としては、今の時代をすごくしっかり描いている作品だなと感じました。リリーパッドはおもちゃたちと対立する立場ではありますが、リリーパッドにはリリーパッドなりの正義があるんです。それもボニーのためを思っての行動だったりするので、友達の作り方や人との関わり方って、時代とともに変わったんだなと改めて感じました。
ーー最先端タブレットのリリーパッドが登場することで、デジタルとの向き合い方も大きなテーマになっている印象を受けました。
唐沢:そういう部分もあると思いますが、『トイ・ストーリー』第1作の頃も、実は構図としては同じなんですよ。30年前はまだタブレットなんてなかったけれど、新しくバズ・ライトイヤーがやってきて、子どもたちはそっちに夢中になる。するとウッディは嫉妬するわけです(笑)。だから今回も、今の時代ではそれがリリーパッドになっただけなんじゃないかなと思いました。
デジタルがどうこうという話ではなくて、子どもってやっぱり新しいものに惹かれてしまうんですよね。そこは昔から変わっていない。同じ構図になっているなと感じました。だから物語全体としては、初期の『トイ・ストーリー』の頃の雰囲気に少し戻ったような印象もあります。
ーーそうした変わらない構図が描かれる中で、特に印象に残った部分はありましたか?
唐沢:飽きられてしまったおもちゃ側の気持ちに感情移入すると、結構切ない物語でもあるんですよね。今回もスマーティー・パンツやスナッピーのように、もう使われなくなってしまったおもちゃたちが登場しますが、「まだ使えるのに」という気持ちもあって。そのあたりの感情表現がすごく上手に描かれているなと思いました。
広瀬:本当にそうだと思います。時代が変わって、おもちゃとの関わり方や友達の作り方も変わってきているとは思うんですけど、その中でも変わらないものがあるというのが、この作品の魅力だと思います。私、実はもう3回観ているんです。その3回とも泣いていて(笑)。
唐沢:そんなに観ているの!?
広瀬:そうなんですよ(笑)。収録用に1回、その後LAで観て、さらに吹替の完成版も観ました。それでもファンだからこそグッとくるシーンがあって、思わず泣いてしまって……。改めて『トイ・ストーリー』は大好きな作品だと思いました。
ーー時代の流れを象徴するように、ウッディの見た目にも変化が描かれています。その点についてはどのように感じましたか?
唐沢:そうそう。実はその話について、(オリジナル版声優の)トム・ハンクスさんのインタビューを見たんですよ。帽子の塗装が剥げているのは、ウッディが何十回、何百回と帽子を着脱してきたから擦れてしまったんだそうです。お腹が少し出ているように見えるのは、長い年月の中で綿が下にずれてきたからなんだとか。「なるほど、そういうことか」と思いましたね(笑)。髪の毛じゃないから、ハゲるわけじゃないですし(笑)。
ーー初めてそのビジュアルをご覧になった時は、やはり驚きもありましたか?
唐沢:予告編で初めて見た時は、「なんであんなふうになっているんだろう?」と思いましたね(笑)。後頭部が少し剥げたようにも見えたので「子どもに引きずられたりして、擦れてしまったのかな?」とか、いろいろ想像していました。
『トイ・ストーリー』はなぜ愛され続ける?
ーー『トイ・ストーリー4』では、ウッディが新たな道を選ぶ姿が描かれました。長い時間を共にしてきたウッディという存在に対して、「これで一区切りかもしれない」と感じた瞬間はありましたか?
唐沢:ウッディを演じるのが最後かなっていうのは、毎回思ってますよ(笑)。
広瀬:えーっ!?
唐沢:だって間隔が長く空くから(笑)。もうちょっと頻繁にやってほしいよね。半年に1回とか、1年に1回とか。
ーーそう考えると、『トイ・ストーリー5』の制作が決まった時は驚きもあったのでは?
唐沢:前作からもう7年経っていますからね。
ーー30年にわたってウッディを演じ続けてこられましたが、その役作りや向き合い方について意識されていることはありますか?
唐沢:演技プランというよりは、映像を見て、その動きに自分の気持ちを乗せていくだけなんです。今回も同じようにやっただけです。普通のお芝居だったら、もう少し余裕を持って考えられる部分もあるんですけど、吹き替えはテンポが早いんですよ。どんどん先へ進んでいくので、気を抜くと置いていかれそうになっちゃう(笑)。そこに必死についていっている感じですね。
ーー本作では、想像力を働かせて遊ぶことの大切さや、人とのつながりについても描かれている印象を受けました。お二人は「友達」というテーマについて、特に印象に残った部分はありましたか?
唐沢:本当の友達って、なかなかできづらいと思うんですよね。顔見知りはたくさんいても、よくよく考えると“ただの知り合い”なのかもしれないし……。本当の友達って、そんなに簡単にはできないものだと思うんです。だから作品の中で「友達を探している」とか、そういう部分がすごく刺さるんじゃないかなと思います。友達を見つけるのって難しいよねって、みんな思っているんじゃないかな。
ーー広瀬さんはいかがですか?
唐沢:友達の話だったら、アリスしかいないでしょ(笑)。友達を語らせたら右に出る者はいない!
広瀬:やめてください(笑)。私がどれだけ友達が少ないか知っているじゃないですか。
唐沢:「友達」で検索したら、この人の名前が出てくるよ(笑)。
広瀬:勘弁してください(笑)。でも今って、作品にも出てくるように、みんなが画面を見ていて、それがつながりや絆になっている部分もあると思うんです。ただ、私はボニーのように、一人でも理解してくれる友達がいればいいと思っています。人数が多いとかじゃなくて、少なくても自分を理解してくれる人が近くにいてくれたら、それで十分なのかなと思います。
ーー長く愛されている作品ですが、その理由はどこにあると思いますか?
唐沢:この作品のテーマは、普遍的なんですよね。時代が変わっても、設定自体に古さを感じないんですよ。子どもが寝たあとにおもちゃたちが動き出すというところから始まっているので、時代に左右されない。だからずっと愛され続けているんじゃないかなと思います。
[インタビュー/米田果織 撮影/胃の上心臓]