渡辺要さんに緑十字金章 タクシーの安全運転に尽力
長年の交通安全や優良運転の功績をたたえる「緑十字金章」の受章者がこのほど決まり、東横交通(厚木市中町)相談役の渡辺要さん(84・妻田西在住)が受章した。60年にわたりタクシー事業に携わる中で、自身や従業員の交通安全意識向上に努めてきた。受章を受け、渡辺さんは「今後も健康に気を付けて安全運転に徹したい」と話している。
緑十字金章は、交通安全運動に貢献した個人、団体を警察庁などが表彰する最高位の交通栄誉章。今年の受章者は交通安全功労者・優良安全運転管理者が119人、渡辺さんが受章した優良運転者は34人、県内からは2人に授与された。
全社挙げ交通安全
渡辺さんは夜間学校に通いながら、相模川で砂利採取を行う東横建材に就職。1964年に同社がタクシー業に転業すると、20代の頃から経営に携わるようになった。
タクシー業としては市内で3番目の歴史を持ち、当時の保有車両は5台、従業員は10人程度。自身も20年近くドライバーとしてハンドルを握った。現在は約40台、80人規模にまで成長した同社で渡辺さんが心がけているのは、会社ぐるみでの安全運転に対する意識向上という。
数年前に同社の相談役に就いた渡辺さんだが、全従業員を対象に実施する安全運転教育では、自らが先頭に立って事故の原因分析や接客マナーの向上などについて意見を交わす。「珍しい取り組みだということで、運輸局が視察に来たこともあった」という。
厚木商工会議所では、運輸倉庫業部会の役員として業界全体の交通安全や交通政策にも尽力。渡辺さんは「社内外における長年の交通安全に対する活動が認められたようで大変光栄」と喜ぶ。
1月15日の交通安全国民運動中央大会では、受章者を代表して露木康浩警察庁長官から表彰状を受け取る大役を果たした。式典には妻の洋子さん(87)も出席し、受章の喜びを分かち合ったという渡辺さん。「この年になってようやく恩返しができた」と笑顔を見せた。