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自然を大切にしながらイメージに合った庭づくりをする「ヤトイチ造園」。

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自然を大切にしながらイメージに合った庭づくりをする「ヤトイチ造園」。

草木の葉が繁り色とりどりの花も咲いて、自然が私たちの目を楽しませてくれる季節になりました。庭のあるご家庭では園芸を楽しむ方もいらっしゃると思います。今回は庭作りのプロ「ヤトイチ造園」の本多さんから、「最も身近な自然」といえる「庭」についてのお話を聞いてきました。

ヤトイチ造園

本多 紀彦 Norihiko Honda

1982年長岡市生まれ。ミュージカルアカデミー卒業後、東京都や新潟県刈羽村で造園の修業を経て、2014年に「ヤトイチ造園」を立ち上げる。一級造園技能士の資格を持つ。愛犬と一緒に朝晩の散歩へ出かけるのが何よりもの癒し。

子どもたちが自然に触れるきっかけを作りたい。

——とても静かないいところにお住まいですね。

本多さん:ありがとうございます。僕は田舎育ちなので、こういう自然の多い土地で暮らしたいと思っていたんです。作業小屋の立っているあたりは一面の草っ原だったんですよ。

——じゃあ草刈りをしてから、この作業小屋を建てたんですね。

本多さん:そうなんですよ。冬は風が強いので、下の方は石造りにしています。

——なんだか人気テレビドラマの「北の国から」を思い出します(笑)。ここを拠点に造園業をやっているんですよね。はじめたいきさつを教えてください。

本多さん:僕は中学生の頃からバンド活動をやっていたんです。高校を卒業してからはミュージシャンを目指して東京のミュージカルアカデミーに入学したんですけど、そのかたわらで造園会社のアルバイトをしていたんですよ。専門学校を卒業してからも、バンド活動をやりながら造園業のアルバイトを続けていました。

——かなり早い頃から造園業に携わっていたんですね。本格的にやることになったきっかけは何だったんでしょうか?

本多さん:お台場にあるマンションの緑地管理の仕事をやったときに、そこで暮らしている子どもたちの姿を眺めながら「この子たちは本物の田んぼや里山を知らないんだろうな」と思ったんです。自然のなかにたくさんの虫や生き物がいるということって、実際にその目で見たり手で触れたりしなければ実感がわかないと思うんですよ。そんな子どもたちが少しでも自然に触れて大切にする心を育んでくれたらいいなと思ったので、本格的に造園業をやろうと決めました。

——新潟に帰ってきてすぐに独立したんでしょうか?

本多さん:独立は考えていたんだけど、ずっと東京で造園の仕事をやってきたので、雪国の造園についても勉強したかったんですよ。そこで刈羽村の造園会社で修業をさせてもらいました。「ヤトイチ造園」を立ち上げたのは2014年のことです。

——「ヤトイチ」って聞きなれない言葉ですけど、屋号ですか?

本多さん:「本多」という名前の「本」の字を分解すると「八」「十」「一」になるんですけど、そこから「ヤトイチ」とつけました。あと「谷戸(やと)」という丘陵地を指す言葉にも掛けてあるんですよ。

同じものはない木や石との一期一会を大切にしたい。

——本多さんはお庭をつくるとき、どんなことに気をつけているんですか?

本多さん:クライアントがお庭に求めていることはもちろん、お住まいの雰囲気、ご本人やご家族の雰囲気を落とし込んでお庭をつくっています。だから実際にお会いしてみないとイメージをつくることができないんですよ。

——具体的にはどういうことでしょう?

本多さん:例えばしっとりした雰囲気が好きそうだったら、苔庭に石を置いて紅葉を植えます。犬を飼っているようなら、ウッドチップを敷いて木陰になるような木を植えるんです。

——ライフスタイルなんかも関係してきそうですね。他にはどんなことに気をつけていますか?

本多さん:木や石といった自然の素材を大切にすることですね。加工したものじゃないから、同じ形のものはふたつとないんですよ。まさに「一期一会」の精神ですね。庭の改修を依頼されることもあるんですけど、元からある木や石はできるだけそのままにしているんです。植えた方にも思いがあったはずだから、それを大切にしたいんですよ。

——なるほど。

本多さん:とてもいい樹形の木なのに「切ってほしい」と言われることもあるんです。そんなときは「何年も掛かって今の形まで育ったものだから、できるだけ切らずに生かしてあげたい」とクライアントに相談します。それでも切りたいと言われたときは、僕が引き取って他の庭で使うこともありますね。

——本当に素材を大切にしていることが伝わってきます。今まで造園の仕事をやってきて、大変だった現場って覚えていますか?

本多さん:魚沼にある寺院の庭園改修工事ですね。重機が入れられない現場だったので、昔ながらの技術を使った手作業で進めたんです。いろいろな現場があるので、若い人には昔の技術も学んでほしいと思いますね。

——造園業界って若い人は多いんでしょうか?

本多さん:実は若手不足で大変なんですよ(笑)。おじいちゃんが脚立に登ってハサミで枝を切っている姿をイメージする人が多いかもしれませんけど、やってみると自由度も高いしいろいろな表現ができるんです。ぜひ若い人にも入ってきていただきたいですね。

つくってからも庭は成長を続ける。

——造園の仕事をやっていて、嬉しいと感じるのはどんなときですか?

本多さん:つくった庭を見て喜んでもらえたときはもちろんですけど、数年後に訪問したとき庭を大切にしてくれていたときは嬉しいですね。庭は生き物ですから、つくってからも成長を続けるんですよ。

——庭のお手入れをする上で、何かポイントがあったら教えてください。

本多さん:いちばん大切なのは水やりですね。昨年の夏みたいに、長く雨が降らないと枯れてしまいますからね。庭木を美しく保つためには枝の剪定も大切なんですけど、切っていい部分と切らない方がいい部分があるので気をつけてほしいです。もちろんアドバイスはしますけど、自分でやるのが難しいようでしたらプロに任せることをお勧めします。

——美しい庭を保つためには、家庭でお世話することも大切なんですね。

本多さん:そうなんですよ。最も身近に自然へ触れることができる「庭」という空間があることで、子どもたちにも自然に親しんでもらいたいし、自然を大切にする心を育んでほしいですね。

ヤトイチ造園

新潟市西蒲区越前浜5033

080-3245-7902

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