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20代新卒社会人が「現在バイアス」に勝って貯金できる方法

mymo

今年新卒で社会人となり、毎月まとまったお給料をもらい出した20代の皆さん、このタイミングは、貯金体質を身に付ける上でとても大切な時期といえます。上手に貯金する方法をしっかりと身に付けてください。

20代新卒社会人はどのくらい貯蓄してる?平均貯金額を調査

まず新卒社員も含め、20代前半はどれくらいお給料をもらっているのでしょうか?厚生労働省が令和元年に調査した賃金構造基本統計調査によると男女別には以下となっています。

ここから税金や社会保険料が2割程度引かれるため、手取りは17万円程度になると見ておきたいところです。

企業規模別の賃金比較

もう少し細かく見ていくと色々な気づきがあります。

<男性>(円)

※常用労働者1000人以上を「大企業」、100~999人を「中企業」、10~99人を「小企業」に区分されています。

<女性>(円)

現状の数値を見ますと、男女ともに20代前半時点では企業規模による差はそれほど大きくありませんが、20年後の40代前半になると、特に男性の方で差が顕著となります。企業規模が大きいほど給料が上がりやすい傾向にあります。

現在は男女の働き方、特に育休や産休の在り方など、女性にとってより働きやすい環境構築に取り組む企業が増えていますので、今後このような調査結果が大きく変わっていくことも想定されます。

業種別の伸び率をチェック

筆者は現在40代前半に該当しますが、20代前半で社会人となり、今に至るまでは、あっという間に時間が流れた印象があります。すぐに30代、40代と社会や会社で重要な位置付けとなっていくため、今のうちからしっかりと将来を見据えて行動し、家族や同僚から頼られる存在になってくださいね。

なお、20代前半から40代前半への業種別の賃金伸び率は以下となります(20代前半を100とした場合)。

20年で給料が1.5倍近くになる業種もありますし、2割前後の上昇に留まる業種もあります。もちろん、業種問わず個人次第という点も大きいと思いますが、あまり伸びが期待できない業種ほど、若いうちから一段と貯蓄に力を入れておく必要がありそうですね。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2019/index.html

なお、令和元年家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](金融広報中央委員会)によると、20歳代(単身)の約45%が「金融資産を保有していない」と回答しています。保有している人たちの平均、中央値は以下です。

中央値が80万円ということで100万円の節目が大きな壁となっているようです。また45%の人が貯蓄できていない状況なども考慮しますと、まずは100万円を目標に設定し、コツコツ積み立ててもらいたいです。

https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/tanshin/2019/19bunruit001.html

貯金ができる人とできない人の差はここにある

【画像出典元】「stock.adobe.com/Antonioguillem」

貯蓄ができる人とできない人の大きな差は「強制貯金」をしているかどうかです。「収入から生活費や交際費を差し引いて、余った金額を貯金しよう」と貯金への意識があっても、ついつい使い過ぎてしまうことも。まずは手取りの1割、できれば2割を「強制貯金」できるようにしましょう。

強制貯金とは銀行の自動引き落としや保険会社の個人年金、そして近年では個人型確定(イデコ)といった毎月一定額が自動的に引き落とされ、積み立てを行う制度や金融商品がいくつもあります。「余ったらに貯金」では、なかなか貯金できません。給料が支給されると同時に、自動的に貯金に回すことをおすすめします。

今の100万円と来年の110万円、どっちが欲しい?

皆さんが上手に貯蓄できるかどうか簡単に確認する方法があります。以下、2択の場合、皆さんはどうしますか?

両親から「今日100万円あげるよ。自由に使いなさい」と言われました。その後すぐに、「もし1年後であれば110万円あげるよ。どちらがいい?」と聞かれました。あなたはどちらを選びますか。

筆者はマネーセミナーなどで良くこの質問を投げかけるのですが、多くの人が「今の100万円」を選びます。1年後10万円、利回りにして10%もアップしてもらえるにも関わらず、どうしても「今すぐもらいたい」という心理が働くのです。これを行動経済学では「現在バイアス」と言います。現在に重きを置き、将来を軽視してしまう傾向が私たちにはあるのです。

例えば、「ダイエットを始めよう!」と決意した際に、「今日はおもいきり食べて、明日から頑張ろう・・・」と、「明日から」と添えた経験がある人も多いと思います。

もうお分かりだと思いますが、明日になるとまた、「今日いきなり始めるのもな・・・また明日から・・・」こうやって、「今日たくさん食べたい」と現在を重視してしまい、結局長続きどころか、スタートさえできないという事態に陥ってしまうこともあります。

現在バイアスに打ち勝つには

「今を重視しがち」という現在バイアスにとらわれずに、コツコツ将来に向けて貯金をしていくにはどうしたらいいでしょうか?それは、まず「今日だけ頑張る」ということです。

「今日だけ」なので、1日だけ意識を高めるのです。すると次の日、「昨日もできたし、今日も頑張ろう」と1日1日の積み重ねの結果、長期的な貯金につながっていきます。これはダイエットや禁煙、運動習慣なども同じことがいえます。まずは先を見ずに、「今日だけ」頑張ってみてください。

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FPがすすめる新卒社会人におすすめの貯金方法

【画像出典元】「stock.adobe.com/contrastwerkstatt」

「よし、まずは今日だけでも」と、いざ貯金していこうと思っても、どのように行えば良いか迷う人も少なくありませんので、ここでは誰でもできる貯金方法をお伝えします。

つもり貯金

これは私も実践しています。今日からすぐにできる貯金の心がけです。例えば、上司や先輩と食事に行けばご馳走してもらう機会もあると思います。そんなときは、「払ったつもり」で、食事代分を貯金に回してください。それ専用の銀行通帳を作っておくのも良いと思います。少額ずつでも「つもり貯金」が記帳されていくことで、どんどんお金を貯める意識が高まりますよ。

他には、タクシーや電車に乗ったつもりで、多少の距離であれば歩くという選択も。「あと一杯ビール飲みたいけど・・・」、「もう1本タバコ吸おうかな」。こうやって迷った際は、ぐっと我慢。「飲んだつもり」、「吸ったつもり」の貯金ができますよね。小さな積み重ねが大きな貯金につながっていきます。また、たくさん歩き、お酒やタバコも控えめになり、健康にも良さそうですね。将来かかる医療費が減れば良いこと尽くしです。

ポイント投資

20代の方は特にPayPayやLINEPayなどキャッシュレス決済を利用している人も多いと思います。例えば、PayPayなら原則200円決済ごとに1円相当のポイントがもらえますが、このポイントを資産運用に回すことができます。

運用は、積極的なタイプとややリスクを抑えたタイプの2種類が選べます。日々数円~数十円程度なので積極的に運用しやすく、また知らず知らずに増えていくことも期待できます。PayPayの他にも同様のサービスがありますので、自分に合った方法を探してみてください。

個人型確定拠出年金(イデコ)

イデコ(iDeCo)の愛称で認知度が高まっている個人型の確定拠出年金。自営業の人のみならず、会社員や公務員、専業主婦の人も加入できます。(拠出限度額に違いはあります)

老後資金準備を目的としたものであるため、60歳まで引き出すことができません。毎月(年1回拠出なども可能)、給与天引きで加入することもできます。強制的に貯金ができ、さらに途中で引き出すことができない。貯まる要素ばかりです。
しかも、掛金は全額所得控除となり、その分、所得税や住民税の負担が軽減されます。

ということは・・・「イデコに加入していなかったら」と節税分は「つもり貯金」に回せますね。会社員の場合、毎年「年末調整」を通して、納め過ぎた税金が還付(税金が返還されること)されます。イデコに加入した場合、還付額が大きくなることが見込まれます。ぜひ、年に一回、還付された税金を「つもり貯金」に回してください。

つみたてNISAでコツコツ投資

株式や債券、投資信託(投資する本人に代わって、投資の専門家が投資・運用をしてくれること)など投資の知識を少しずつ身に付けながら「つみたてNISA」を始めることも一案です。投資信託を購入した場合、分配金や値上がり益が利益となりますが、つみたてNISAならば本来約20%課税の対象となる利益を非課税で取引できます。

つみたてNISAは金融庁が定めた一定の基準を満たした投資信託が対象となっているため、20代で投資が初めての人にも始めやすいと思います。まずは証券会社や銀行で口座を開設してください。インターネット上の銀行などでつみたてNISAの口座を開設することも可能です。

これからの将来にかかりそうなお金は?老後資金はいくら必要?

人生の3大支出といえば「教育費・住宅購入・老後資金」です。新卒社会人には、まだどれも実感がないものばかりだと思います。それよりも、「結婚」が気になる人が多いのではないでしょうか。結婚費用に関してもさまざまなデータがありますが、結婚式や披露宴、新婚旅行など、方法により金額は大きくばらつきます。

<参考>

(ゼクシィ結婚トレンド調査2020年)

結婚時には多くのカップルが親からの資金援助も受けていますし、盛大に披露宴を開いた場合は御祝儀も期待できます。よって、「ズバリ〇円準備する必要あり」と断言はしづらいところです。

ただ、少なくとも結婚資金として100万円~200万円は貯金しておきたいところです。

もちろん、結婚は1つの選択肢です。結婚しない場合も含め、社会人になったタイミングでどのような人生を歩みたいか?考えてみることがより貯金への意識を高めてくれると思います。

なお、老後資金については「老後2000万円問題」が話題になりました。多くの相談者のライフプランを作成した筆者の経験から言いますと、この数字はある程度適した金額だと感じています。

年金の加入状況や生活水準にもよりますが、リタイヤするタイミングで金融資産が少なくとも2000万円用意できていれば、老後、苦しい生活を強いられることはなさそうです。できれば3000万円以上が理想です。年金受給開始年齢の65歳までまだ40年程度時間があるため、その時間を味方につけてコツコツ用意してください。

まとめ

新卒社会人や20代の人向けに貯金の方法や考え方についてお伝えしましたが、大事なポイントをまとめると以下になります。

・まずはできることを。今日から始めよう
・強制貯蓄や60歳まで取り崩せないイデコなど、知らず知らずに貯まる方法を
・貯金の目標を明確に

きっと、この記事を読み終えた後からすぐに行動を移せることがあると思います。貯金用の銀行口座を用意する、イデコ開設のために金融機関を調べる、そして、今まさに浪費しようとしていた出費を抑え、貯金に回す・・・。
できることから始め、そして大切な日のために、老後のために。将来、困らないように途中で挫折しない工夫もしてください。

貯金方法についてのQ&A

Q.就職に伴い一人暮らしをすることになりました。家賃はいくらぐらいが妥当ですか?

A.1つの目安として「手取りの半分で家賃も含めて必要な生活費をカバーする」というのを目安にしてください。必要な生活費は友人と遊ぶお金、将来への貯蓄以外です。手取りが18万円であれば9万円から食費や光熱費などを概算し、それらを差し引いた額が適正家賃の目安となります。

Q.就職してすぐに生命保険の加入を勧められました。加入していた方が良いですか?

A.いざという時に頼りになる保険ですが、20代の人の多くは入院や死亡リスクは極めて低いです。保険は本当に必要性を感じたものだけにして、まずは銀行預金を中心にお金を貯めることを優先してください。

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