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都会で作って、都会で食べる。都市型農業で課題解決

TBSラジオ

都会で作って、都会で食べる。都市型農業で課題解決

今回は、いま都内でじわじわと広がりつつある、新しい発想の「畑」について。6月17日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。

温暖化など天候の影響を受けて、野菜の価格が高騰することがよくありますが、こうした中、天候に左右されない新しい栽培方法がはじまっていました。

ドイツ・ベルリン発の会社、Infarm – Indoor Urban Farming Japan株式会社の代表取締役社長、平石 郁生さんに聞きました。

スーパーで野菜を収穫。究極の地産地消

Infarm(インファーム)・代表取締役社長 平石郁生さん
「インファームは、スーパーやレストランの中で野菜を育てられる「スマート栽培ユニット」を開発。横幅2メートル弱、奥行き1メートル弱。「LED(太陽光に代わる光源)」と、「水耕栽培」の2つが、基本的な技術。スタッフが週に2回、お店に行って収穫。根っこがついたまま収穫した野菜を、陳列して販売。基本的には葉物野菜。イタリアンバジル、イタリアンパセリ、レタスは3種類。旬がなくなる…。でも一年中、美味しいジェノベーゼパスタを食べたい、カルパッチョにイタリアンバジルを乗せたいという方は、春夏秋冬問わず、いつでも同じクオリティを提供できる。」

1畳ぐらいのスペースの、ボックス型の栽培装置。中に仕切りが4段。バジル、パセリ、レッドソレルなどが、特殊なLEDの光を浴びながら、トレーの上で栽培。国内では今年始まったばかりのサービスで、現在、スーパーマーケットの「紀伊國屋インターナショナル(青山店)」、「Daily Table KINOKUNIYA 西荻窪駅店」、「サミットストア五反野店」の、都内3店舗で導入されています。

実際に昨日、お店で買ったものがこちらです。

▼スプリングサラダブースター(税込378円)。レッドソレル、赤水菜、赤からし菜の組み合わせが、ピリッと爽やかさをプラス

▼こちらも買ってみました。(左)イタリアンバジル/(右)イタリアンセロリ

食べてみると、香りが強く、味ははっきり。スタジオの遠藤泰子さんは、ドレッシング無しで完食してくれました。

装置の中で育てて、食べごろのものをスタッフが収穫し、すぐに売り場に並べるので、超新鮮。しかも、土を使わない水耕栽培だけど、あげた水を循環して再利用しているので、従来の畑と比べると、95%の水が削減できるという、環境にも優しいしくみです。

旬がなくなるのが玉に瑕ですが、「都会で作って、都会で消費する」という、この究極の地産地消の形は、今後、JR東日本の駅ナカでも構想が進んでいるそうです。

屋上でシェア農園

一方、同じく都会のど真ん中。こんな所にも、新しい「畑」が登場していました。プランティオ株式会社の、代表取締役CEO、芹澤 孝悦さんのお話。

プランティオ株式会社・代表取締役CEO 芹澤 孝悦さん
「主に都心部の「ビルの上」を活用して、畑を作っている。出来た野菜をシェアして、イベントで食べたり、ワークショップで使う。そこに、私達のIoTセンサーを入れることで、野菜の方から「水をまいてください」「間引きをしてください」等、お手入れの方法の通知が来る。実際に畑に来てナビゲーションに従ってお手入れをすると、お手入れしたことが皆に通知される。誰が、どこで、いつ、何を栽培して、と言うのを可視化して、共同で管理。これから、ゴーヤやメロンが旬。」

プランティオは、恵比寿、渋谷区神泉町、日本橋、竹芝の、オフィスや商業施設の屋上で、テナントの従業員など、数十人の会員で、「共同管理」しているのが特徴です。

ただ、「みんなで野菜を育てて、みんなでシェアする」とは言っても、区画も分かれていないので、美味しいトコどりする不届きものが出そう(私がそう)とも思ったんですが、、、そこはうまくできています。「水やり」5ポイント、「間引き」15ポイントなど、労力に応じてポイントがもらえるので、こまめに世話をした人は、より多くの収穫物を得られます(働かざるもの食うべからず)。

現在、東京には、デッドスペースとなっている屋上の面積が、東京ドーム1900個分もあるそうで、現在までにほぼ全てのビルのデベロッパーから、問い合わせを受けているとのこと。仕事帰りに野菜を収穫して帰るという日常が、近い将来、当たり前になるかもしれません。

▼プランティオ株式会社の芹澤さんに聞きました

辿り着いたのは、「都会で作って都会で食べる」

ここまで、屋上と、スーパーの野菜作りを紹介しましたが、「地方で作って、都会に運ぶ」、従来型の農業の課題も、都市型農業で解決できると、インファームの平石さんは話していました。

Infarm(インファーム)・代表取締役社長 平石郁生さん
「コストを下げるには、不動産コストや人件費が安い所で、一つの品種、あるいは少ない品種を大量生産することが、最もコスト効率がよく、スケールメリットを享受できる。でも、トラックで都会に運ぶとことが必要なので、エネルギーを消費してCO2を排出する。挙句の果てに、野菜は生産されてから食卓に並ぶまでの間に、ひどい場合には半分が廃棄ロスになる。そこで、行き着いた先が、「都会で作って、都会で消費する」というやり方。」

▼インファームの平石さん

都会で作って都会で食べれば、「輸送コストが削減できる」。また、輸送中に痛むことがないので、「廃棄ロスを削減できる」。

さらに今、日本の農業従事者の平均年齢は70歳近く。後継者も少なく、日本の農業が立ち行かなくなるのは時間の問題ですが、インファームの「スマート栽培ユニット」を使ってもらったら、もしかしたら担い手になってもらえるかもしれない。ということで、今後は、首都圏以外にも打って出て、地方とも協力関係で、一緒に問題を解決していきたいということでした。

◆6月17日放送分より TBSラジオ:「森本毅郎 スタンバイ!」

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