答案に「バカ!」「うんこ!」 勉強嫌いの子どもを変えた進研ゼミ「赤ペン先生」の「勉強力が上がる」ほめテクニック
通信教育「進研ゼミ」の「赤ペン先生」には、57年間、のべ9200万人の子どもたちとのやりとりから生まれた「究極のほめ術」があります。そのテクニックを我が子とのコミュニケーションに使うと、子どもの行動が激変。特に子どもが勉強嫌いで苦労している場合は、学習意欲が上がっていくことに驚くかもしれません。
現役・赤ペン先生であり、全国の赤ペン先生のサポート役も務めている佐村俊恵(さむらとしえ)先生が、ほめ術の具体的なテクニックを紹介します(全3回の2回目)。
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ベネッセコーポレーションの通信教育「進研ゼミ」で添削指導をする赤ペン先生には、「ほめ方の3原則(第1回参照)」があり、3つの原理原則に基づいて子どもを受け止め、どんな答案でもほめるところはどこか、という視点で向き合います。
しかし家庭では、赤ペン先生のように我が子を上手にほめられない、あるいはほめる部分が見当たらないという壁にぶつかることも……。
ここからは、困ったケースに対する具体的なほめテクニックや、子どものやる気を引き出す声かけを紹介します。
画像:ベネッセコーポレーション 通信教育「進研ゼミ」より
【ケース1】
・考えるのを放棄したに違いない(怒)!
・答えを書いてない部分があってほめられない!
赤ペン先生から学ぶ対応のコツ
・漢字の字形に気をつけて、ていねいに書いていることをほめる。
・過去の答案と比べて成長したことや、継続してできていることをほめる。
・書けなかった理由を聞いてから、次の一歩を踏み出す言葉をかける。
ほめられないことはありません。まずは答案をよく見てみましょう。
この答案の場合は字形に気をつけて、ていねいに答えを書いているので、そこが第一のほめるポイントです。その子の過去の答案などと比較して、成長しているところや、継続してできているところがあれば、そこもほめてあげましょう。
また、途中に空欄があったとしても、考えることを放棄したとは限りません。「できていない」ことの裏側には、「本当はわかっていた」が潜んでいることがあります。
子どもは空欄に至るまでいろいろと考えていたはずなので、できなかったことを指摘するよりも、書けなかった理由を「本当はわかっていたんだよね、でもどうしたのかな?」と子ども自身に聞いてみてください。
子どもから「どういうふうに書けばいいのかわからなかった」などが聞き出せたら、「間違えても大丈夫」と声をかけたり、「○○ページを見てみようか」と、子どもが正解にたどり着く方法と考える機会を具体的に示してあげましょう。
他人から教えられた正解よりも、自分で考えて導いた正解のほうが記憶に残ります。「わかった!」という実感や達成感が、子どもの勉強に向かう気持ちを力強く押してくれるはずです。
【ケース2】「うっかりミス」と対応のコツ
画像:ベネッセコーポレーション 通信教育「進研ゼミ」より
【ケース2】
・詰めが甘い。どうしてこんなミスするの!
・どこをほめればいいの?
赤ペン先生から学ぶ対応のコツ
・「ここまではわかっていたね」とほめる。
・「おしい!」のあとに、「どうすればよかったか」を具体的に示すことで、「ほとんどできていた」ことが伝わるようにする。
うっかりミスにはいろいろな種類があります。算数なら途中の式を間違えたり、単位を書き忘れたりするほか、国語なら問題をきちんと読まずに思い込みで答えることなどもミスのパターンです。
こういった場合は、「計算が違う!」「単位を書き忘れている!」「問題をよく読みなさい!」と子どもに伝えただけでは好転しません。
子どもが持ち帰ってきた答案をよく見たら、「計算の繰り上がりを忘れちゃうところが惜しいよね」「ここまではわかっていたけど、単位を忘れたところが惜しかったね」などと、「全然できなかった」のではなく、「ほとんどできていた」「途中までできていた」という心理状態を、まずは子どもの中につくってあげましょう。
その上で、単に答えを教えるのではなく、「教科書の○ページを見ると解き方が載っているよ」など、正解にたどりつく方法を示してあげてください。正誤の誤を正すときは、ほめとセットで伝えるのがコツです。
また、できていた部分に注目して、ポジティブな伝え方をするだけで、その子なりに次は気をつけようとの意識が芽生えます。否定的な言葉や態度を示すよりも、ほめて学習意欲の芽を育てることをおすすめします。
子どもが好ましくない言葉を使ってきたときは、親としてもどう対応していいかわからなくなります。 写真:Paylessimages/イメージマート
【ケース3】「バカ」「うんこ」 暴言とその対処法
【ケース3】
・そもそも勉強が嫌いで暴言を吐く!
・そんな我が子にどう対応したらいいか教えてほしい。
赤ペン先生の対応から学ぶ対応のコツ
・「どうしたの? びっくりしたよ」と寄り添う。
・勉強していた部分はほめる。
赤ペン先生の元には、月に1回、受講している子どもたちから答案が届きます。その中には残念ながら「バカ」や「うんこ」、「先生、嫌い」と書かれていることがあります。
子どもが普段と違う行動をしたり、好ましくない言葉を使ってきたら、「どうしたの? びっくりしたよ」と、驚きを示して寄り添ってあげてください。
暴言の背景には理由があるはずなので、反射的に𠮟らずに事情を尋ねたり、「ママ、びっくりしたよ。悲しいな」など、自分を主語にしたアイ(I)メッセージも伝えてみましょう。
また、暴言を吐きつつも、しぶしぶでも勉強に取り組んでいたなら、その点は「頑張っているね」と忘れずにほめてください。その子の頑張りを認めつつ、冷静に対応して子どもに寄り添い続けると、子どもは必ず自分で反省します。
「進研ゼミ」でも、「赤ペン先生うるさい!」「赤ペン先生、おまえ何歳?」と乱暴な字でコメントを書きつつ、漢字1問だけ解答してくる少年がいました。漢字をしっかりとほめて答案を返していたら、その後、「この前はごめんなさい」と小さな字で書かれた答案が届きました。
乱暴な言葉に対しては、「正しさ」を押し付けるのではなく、子どもに「自分で考える時間」を残すことが心からの気づきにつながります。
子どもの頑張りは見つけられる
「赤ペン先生の先生」も務める佐村先生の元には、全国の赤ペン先生から採点指導やコメントの方法など、さまざまな質問・相談が届きます。
「子どもの頑張りを見つけて、どういう言葉をかければいいのか赤ペン先生は日々、試行錯誤しているわけですが、これはおうちのかたとも共通する部分ではないでしょうか。
しかし、子どもを見る視点や意識を転換すれば、子どもの頑張りは見つけられます。テストには正解・不正解はありますが、子ども自体には正誤はないため、おうちのかたが寄り添える部分は、実はいろいろな場面にあります。
その子を盛り上げていく言葉はあるので、お子さんをよく見て、声をかけてあげてください」(佐村先生)
次回は「勉強から逃げない子になる!」をテーマに、勉強が嫌いになった子や嫌いになりそうな子を励まし、勉強に興味を持たせるテクニックを紹介します。
取材・文/梶原知恵
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◆佐村 俊恵(さむら としえ)
進研ゼミ「赤ペン先生」全国代表。長女が小学生時代に「進研ゼミ」を受講したことをきっかけに「赤ペン先生」と出会い、その指導姿勢に深い感銘を受ける。2004年からベネッセコーポレーション・進研ゼミ小学講座の赤ペン先生としての業務を開始。以来20年以上にわたり、同講座の添削指導に携わる。現在は添削指導だけでなく、「赤ペン先生の先生」として全国の赤ペン先生からの質問・相談対応も担当。小学生向けのオンライン授業講師やフリースクールのメンターなど多方面で活躍中。1男1女の母。