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キムタツコラム⑪勉強がつまらないわけない理由 佐敷中での講演から

HUB沖縄

 国内有数の進学校、灘中学校・高等学校(兵庫県)の元英語教員で「夢をかなえる英単語ユメタン」シリーズや「東大英語基礎力マスター」シリーズなど数多くの有名参考書を手掛けている作家の木村達哉(キムタツ)さん。「NPOおきなわ学びのネットワーク」 を立ち上げて沖縄の生徒の学びを支援しているなど、沖縄に縁深く活動しているキムタツさんに、教育に限らずさまざまな角度からコラムを書いてもらいます!

 皆さん、こんにちは。木村達哉です。どうぞよろしくお願いします。沖縄も梅雨が明けましたね。ちなみに東京や大阪でも例年よりずいぶん早く梅雨が明けまして、日本中に夏が訪れました。どうぞお体に気をつけて、夏をお楽しみください。

 そんな中、南城市立佐敷中学校の体育館で講演をしました。ちょうど梅雨が明ける直前で、かなりじめじめしていたのですが、持ち前の体力および気力で80分間話し続けました。講演が終わる頃には着ていたかりゆしが、まるでサロンパスのように汗で背中に貼りついておりましてね。まぁしかしね、喋っている側って意外と暑さ寒さを感じないものなんです。黙って聞いている生徒たちや先生方のほうが大変だったんじゃないでしょうか。僕の講演で熱中症になってしまったなんてしゃれにならないことが起こっていなかったことを心から願っています。

“勉強”は好きですか?

 学校から依頼されたのは、学びについて話してほしいということでした。中2と中3の生徒たちに、勉強とは何なのか、勉強が嫌いだという人が多いのはなぜなのか、勉強するとどうなるのか、勉強しないとどうなるのか、といったことについて考えてもらいました。HUB沖縄を見てくださっている皆さんは勉強がお好きでしょうか。そもそも勉強って何なのって子どもに聞かれたらどうお答えになりますか。

 僕が佐敷中学校の生徒たちに話したのは以下のとおりです。勉強っていうのは、英語や数学だけでなく、野球とか三線とか話術とかお酒の飲み方とか他人と上手く付き合っていく方法などなど、いろんな自分のスキルを上げていく過程のことを勉強というのだということです。そりゃ一足飛びに上達することはありません。大リーガーの大谷選手やイチロー選手にだって鳴かず飛ばずの時期はあったはずです。でも、へこたれずにくさらずに努力したからこそ、力が身についていったんじゃないでしょうか。僕は野球をやっていましたし、沖縄で滞在するようになってからは三線の勉強をしましたが、なかなかうまくなりませんでした。ああでもない、こうでもないとやっているうちに、少しずつ上達していきました。だからこそ灘校で野球部の監督ができる程度にはなったのでしょうし、PTA総会や灘校の忘年会などで三線を弾きながら「島唄」や「海の声」を歌える程度には上達したのです。

 自分の力が高くなっていくのですから、勉強がつまらないわけありません。なにしろ昨日までできなかったことが今日できるようになるのです。わくわくします。どきどきします。我慢して続けていさえいれば、ほとんど間違いなく上達します。それは英語や数学だって同じです。結果が出ないからと言ってさぼってしまうと元の木阿弥。頑張って頑張って頑張っているうちに、花が開くというものなのですね。自分のレベルが上がるのです。したがって、勉強は大好きです。

子どもが勉強嫌いになる理由

 なのにどうして勉強嫌いの子どもが多いんでしょう。2つ理由があるように思います。

 1つは、理由もないのに勉強している場合です。例えば、僕は毎日ゴルフの素振りをしています。多い日には200回以上スウィングします。理由は簡単です。プロアマ戦にでも出場できるぐらい上手くなりたいからです。英語を勉強したのも同じく理由があります。将来は本を書いて生きたかったものですから、英語(と日本語)ができたほうがいいと思ったのです。常に努力には理由が伴うはずですよね。生徒たちはどうでしょう。なんのために英語をやっているのかわからない、どうして数学の勉強をしているのかわからない、といった状態で勉強に身が入るのでしょうか。まずは人生を考えるところからスタートしないと、努力を継続させるのは難しいのではないでしょうか。それが1つめの理由です。

 2つめの理由は、誰かにやれと言われてやっている勉強が面白いはずないということです。勉強というのは常に主体的です。将来はミュージシャンになってやろうと思うから音楽の勉強に身が入ります。将来は作家になりたいと思うから言語の勉強に集中できます。自分の人生ですから自分で決めるのです。ところが勉強の理由を考えないまま、ただ機械的に学校に通い、機械的に授業を受けている生徒たちの場合、なんとなく「やらされている」という感覚を抱いても不思議ではないと思うんですね。ましてや親から「勉強しなさい」なんて言われると、ますますやる気がなくなってしまうんじゃないでしょうか。

「どんな人生がワクワクするのか」を考えよう

 その点で1つめの理由と2つめの理由ってリンクしているのですが、生徒たちだってさすがに10年以上生きているのだから自分の人生の方向性ぐらいは自分で考えなければなりません。高校生にもなって、将来をどうしたらいいのかわからないなんて頼りないことを言っているようでは困ります。自分で探すのです。他人が与えるものではありません。

 人生の方向性が見えない生徒の場合、自宅と学校(と塾)の往復しかしていないケースが多いように思います。新型コロナウィルス感染症の影響でなかなか外に出ることができなかったのはいたしかたない部分ではありますが、自宅と学校のラインから外に出てみるべきです。

 世の中にはいろんなことをして生きている大人たちがいます。それがすべて子どもたちの将来の選択肢になります。会社員が圧倒的多数ではありますが、それにしたってさまざまな職種の会社があります。テレビ局でアナウンサーをやっている会社員がいます。芸能事務所でマネージャーをやっている会社員もいます。出版社で編集者として頑張っている会社員もいます。仕事にはさまざまな種類があります。加えて、映画監督、小説家、エッセイスト、工芸作家など、ものづくりに励んでいる人たちがいます。農業や漁業にたずさわっている人たちだってたくさんいらっしゃいます。

 自分はどういう仕事に就いたらワクワクしながら人生を過ごせるのかなと考えることです。そうすれば、だいたいの方向性は見えてくるのではないでしょうか。ため息をつきながら出勤するのではなく、自分のやりたいことが何なのかを小学生や中学生ぐらいのときからしっかりと考え、できることならば職業体験もし、笑顔で生きていくために必要な勉強を続けて、誰にも負けないぐらい高い力を身につけることが大切だと考えています。

勉強は面白いのです。

 勉強は面白いのです。でも、理由もなく機械的にやる勉強ではモチベーションが続かないでしょう。それに、誰かにやれと言われてやる努力ではつまらないはずです。子どもたちにはいろんな大人の仕事ぶりを見ながら、自分の人生を深く考えてほしいなと、そして幸せに生きていってほしいなと、僕はそう思っています。

 佐敷中学校の生徒たちは僕のつまらないギャグに愛想笑いしながら、深く頷きながら、メモをとりながら、真剣な表情で聞いていました。あの子たちの中から沖縄を支える人材が育ってくれればいいなと思いながら、中学校をあとにしました。南城市教育委員会の方々と佐敷中学校の先生方には大変お世話になりました。感謝申し上げます。

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