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最新閉店からみる「英断のユニクロ」と「苦闘するユナイテッドアローズ」

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ちょっとびっくりするような閉店の発表が先週2件あった。
まず、大阪・心斎橋にある「ユニクロ(UNIQLO)」のグローバル旗艦店が8月1日で閉店する。「ユニクロ」の同店は「日本初」のグローバル旗艦店として2010年にオープンしていた。地下1階~地上4階の5フロアでできた売り場総面積は約2460平方メートル(約800坪)の巨大店舗である。同社広報担当者は「海外観光客が減ったことから、物件の契約更新のタイミングに合わせて見直すことになった」としている。これほどの店舗だから継続・閉店の最終決定は当然のことながら「ユニクロ」を手掛けるファーストリテイリング最高経営責任者の柳井正会長兼社長が下したのだろう。もう少し辛抱すればコロナ禍も去って、また盛況が戻るのだから我慢するところなのではないかと普通の経営者は考えるのではないだろうか。しかし、柳井正会長は「普通の人」ではない。その著書に「一勝九敗」がある。「今まで僕はずっと失敗してきた。勝ち負けで言えば一勝九敗くらい」と自分で認めているぐらい失敗しているが重要なことは「見切り」だという。「ダメだとわかったらさっさと撤退して再起不能にならないようにすることが大切だ」と柳井会長は同書で述べている。

たった2年で撤退した有機野菜の通信販売、結局跡形も無くなってしまったキャビンの買収、婦人靴専門店ビューカンパニーの買収も結局は失敗し「ユニクロ シューズ」へ集約して大幅な規模縮小で現在に至っている。これらは代表的な例だが、この他にも国内外で多くのM&Aを行っているが、たしかに失敗が大半で一勝九敗のペースである。
今回の心斎橋店閉店にも、この柳井流の一勝九敗哲学がよく感じられるのである。「見切り」の良さというか、英断と言っていいかもしれない。

これに対して、今回発表されたユナイテッドアローズ(UA)の南青山店、銀座店に関してはどうか。竹田光広前社長が退任して、4月1日から後任になった松崎善則社長が決断した2店の閉店だ。8月1日に閉店する「ユナイテッドアローズ 南青山 ウィメンズストア」については「え、こんな店があったのか?」というぐらい、知る人ぞ知る店だった。もともとはレザーブランド「フェリージ(Felisi)」の青山本店があった場所だ。UAは今年3月31日付でこの「フェリージ」などを展開するフィーゴの全株式をユニオンゲートグループに売却していた。このフィーゴの2020年3月期の売上高は24億円だった。売却に伴い、前述の「ユナイテッドアローズ 青山 ウィメンズストア」がオープンしたわけだが、それもさっさと閉店。なんともちぐはぐな動きではある。

それよりも、銀座におけるUAの拠点とも言える存在であるマロニエゲート銀座1の1階・地下1階における「ユナイテッドアローズ銀座店」の7月31日の閉店は衝撃的である。道(銀座マロニエ通り)を挟んだマロニエゲート銀座2の1〜4階を占拠しているのは昨年オープンしてたいへんな話題になっている「ユニクロ東京」であるから、その撤退は、「UAは大丈夫か!?」という気持ちをいやが上にも起こさせる。

周知のように、UAの今年3月の末決算は、売上高1217億1200万円(前年比22.7%減)、営業赤字66億1300万円(前年営業利益は87億5800万円)経常赤字48億7800万円(前年経常利益88億300万円)、親会社株主に帰属の当期純損失71億9700万円(前年の同純利益35億2200万円)という上場以来の厳しい赤字決算。コロナ禍ではあるが企業としての経年劣化も見えている。今期は松崎新体制で、黒字化が至上命題になっているが、たしかに上記の2つの閉店から見えてくるのは、なりふり構わぬ黒字対策である。

気になって、UA広報部に問い合わせたが、UAの持分法適用会社であるCHJP合同会社が運営するUAの虎の子ブランドとも言える「クロムハーツ(Chrome Hearts)」だが、UAの同社における持分比率は2020年12月で51%、2021年1月から21%となっており、2021年3月期の第3四半期までが連結対象になっており、2021年第4四半期以降は連結対象からはずれている。ちなみに2020年3月~12月までのCHJP合同会社の売上高は73億円だったという。今期は「クロムハーツ」事業がUAの業績には反映されなくなる。これも痛い。

なんとかセレクト最大手としてUAの今期の黒字化を応援したいものだが、前途はなかなかに厳しそうだ。

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