別海町で撮影、福地桃子主演『恒星の向こう側』 東京国際映画祭のコンペ部門にも選出、審査員は齊藤工ら
北海道・別海町の野付半島などで撮影された中川龍太郎監督の新作『恒星の向こう側』が、第38回東京国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されました。主演は女優の福地桃子。ポスターとキャスト情報が解禁されました。
『恒星の向こう側』とは?
本作は、『走れ、絶望に追い付かれない速さで』(16)『四月の永い夢』(18)に続く「喪失と再生」をテーマにした“三部作”の最終章です。母の余命を知り帰郷した娘・未知(福地桃子)は、寄り添おうとしながらも拒絶する母・可那子(河瀨直美)と衝突を重ねます。一方で夫・登志蔵(寛一郎)は未知との間に子を授かりながらも、亡き親友・万理への想いに揺れ続けています。
母が遺したテープから“もう一つの愛”を知ったとき、未知は初めて母を理解し、受け継がれる愛の意味を胸に歩み出します。母娘、夫婦の想いと葛藤、喪失と再生を経て描かれる「愛のかたち」が物語の核心となっています。
追加キャスト情報とポスタービジュアル解禁
出演者には、福地桃子をはじめ、河瀨直美、寛一郎、朝倉あき、南沙良、三浦貴大、久保史緒里(乃木坂46)、中尾幸世といった多彩な実力派が集結しました。世代やキャリアの異なる俳優陣がそれぞれの役を通じて交錯し、母娘の確執や夫婦の葛藤、そして喪失と再生という普遍的なテーマを多面的に浮かび上がらせます。特に河瀨直美について中川監督は「人間の複雑さを体現できる存在で、その厳しさが作品を強く支えてくれる」と語り、彼女の存在感が作品の核を成すことを強調しています。
10月10日(金)に解禁されたポスタービジュアルには、撮影地である野付半島の雄大で荒涼とした風景が広がり、主人公・未知が遠くを見据える姿が重ねられています。立ち枯れの木々が点在する独特の景観と人間の内面を重ね合わせる構図は、作品が問いかける「受け継がれる愛のかたち」を象徴するものとなっています。
東京国際映画祭での挑戦
第38回東京国際映画祭は10月27日(月)から11月5日(水)まで開催され、『恒星の向こう側』はワールドプレミア上映として披露されます。コンペティション部門には世界各国から15作品が選ばれており、日本映画からは坂下雄一郎監督『金髪』(25)と本作の2本がエントリーしました。
審査員はカルロ・シャトリアン(元ベルリン国際映画祭アーティスティック・ディレクター)、俳優グイ・ルンメイ、編集者マチュー・ラクロー、映画監督ヴィヴィアン・チュウ、そして日本から監督・俳優の齊藤工が務めます。
中川監督と東京国際映画祭
10月1日(水)に行われた東京国際映画祭のラインナップ発表記者会見で中川監督は、「12年前に初めてこの映画祭で作品を上映していただき、再び戻ってこられたことを光栄に思います。初のコンペ部門選出は大変ありがたく、責任を感じています」と語りました。さらに「映画祭は、プログラマーの選ぶ世界の地図がそこにあると思います。市山さんの映画の選定は素晴らしいので、新しい東京国際映画祭の素晴らしさを感じてもらえたら嬉しいですし、今回は時間があるので沢山映画を観たいと思います」と述べています。