ユネスコ登録10周年の「鯨船行事」 限定御朱印やミニマルシェ 鳥出神社で9月26、27日
ユネスコ無形文化遺産に登録され、今年で10周年を迎える鳥出神社(三重県四日市市富田)の「鯨船行事」が9月26日(土)、27日(日)に開かれる。節目の年に合わせ、記念意匠の限定御朱印やミニマルシェなど、訪れる人が楽しめる企画が準備されている。
宮司が手掛ける御朱印
鳥出神社では月替わりや季節限定の御朱印が用意されている。制作を担うのは、今年、父である前宮司から職を引き継いだ宮司の喜多嶋伸彦さん(30)。独学で技術を磨き、毎月新たな意匠を考案している。完成前には家族に見てもらい、色や模様について意見を聞きながら仕上げているという。
9月の御朱印は鯨船行事がテーマ。鯨と「10」の文字を重ねた記念のゴム印と、鯨船を曳く様子を描いたゴム印を押し、「ユネスコ無形文化遺産登録10周年」の文字を金色で手書きする。紙吹雪の図柄も加え、10周年の節目を彩る。
御朱印を求めて訪れる参拝者の中には、鯨船行事を知らない人も少なくない。喜多嶋さんは、御朱印を通して祭りに関心を持ってもらうことを期待している。
祭りを訪れる人に楽しんでもらおうと、同神社では2年前からキッチンカーの出店を始め、飲食を楽しめる場づくりにも取り組んでいる。
昨年は、富田地区在住でバナナジュースのキッチンカー「my green」を営む小林しほりさんが「鯨船行事で出店したい」と申し出た。ホットドッグなどを販売した。小林さんは「近くに飲食店が少なく、喜んでもらえた。応援してもらえてうれしかった」と振り返る。
今年は肉巻きおにぎり、フランクフルト、チョコバナナのほか、かき氷、クレープ、コロッケ、ドリンクなどを販売するキッチンカーが駐車場に並び、ミニマルシェを開く。
「開かれた祭り」へ 継承の先を見据える
御朱印やマルシェの企画には、鯨船行事を「富田地区の祭り」にとどめず、より多くの人に知ってもらいたいという関係者の思いがある。喜多嶋さんは「御朱印やマルシェがきっかけで訪れた人が、鯨船の力強さやストーリー性のある独自の練りを見て、世界で認められた祭りの素晴らしさを肌で感じてもらえたら」と話す。
鯨船行事は、鯨漁の様子を町中で再現する伝統行事。船形の山車を曳きながら太鼓や掛け声を響かせ、鯨を追い立てる迫力ある動きを見せる。船頭、太鼓打ち、漕ぎ手ら地域の人々が役割を分担し、一体となって船を動かす。海とともに暮らしてきた富田の歴史を伝える祭礼として、江戸時代から受け継がれてきた。
この10年、富田鯨船保存会連合会も行事の継承に力を注いできた。加藤正彦会長は「これからは大勢の人に見てもらえる開かれた祭りにしていきたい」と話していた。