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キャリアアップを実現する後輩育成の極意 マネジメント力を高める3つのポイント

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新年度が始まり、多くの職場で新しい後輩を迎える時期となりました。

年次を重ねるなかで任されるようになる育成業務。マネジメント力や後輩からの人望は、その職場内での関係性や仕事のしやすさを大きく左右します。キャリアアップや昇格にも影響するため、マネジメント力は重要だという方もたくさんいらっしゃると思います。

実際、マイナビ転職の「新入社員の意識調査(2024)」では、退職意向のある層とない層で上司・先輩とのコミュニケーション量に差があるという結果が。

「部下が育つどころか辞めてしまう」「いつまでも下が育たず業務を任せられない」となる背景には、日頃から話しやすい関係性を作れているかどうかが影響していそうです。

とはいえ、具体的にどんなことに気をつけて接するべきかわからず、悩んでしまうという場合も多いのではないでしょうか? 4月、新たな後輩を迎える方も多いこの時期に、改めて大切なポイントについてキャリアコンサルタントの林碧さんに解説いただきます。

キャリア・コンサルタント

林 碧(はやし みどり)
株式会社キャリアイズ 代表取締役社長、国家資格キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティング技能士2級、両立支援コーディネーター。 企業人事経験および個別相談対応経験を活かし就職・転職の相談からライフキャリアビジョン構築、育児・傷病など個別事情との両立まで、幅広い相談に対応。通算4000件以上の個別面談実績、年100件以上の研修登壇実績を保有。特に若年層のキャリア形成支援を得意とし、大学での登壇実績が豊富である他、企業向けの育成者研修や若手定着支援、人材コンサルティングも実施。日経Xwomanアンバサダー。小学生・保育園児の2児の母。


•指導において大切にするべき3つのポイント
•【1】話しやすい関係性作りを意識する
•【2】プロセスを見て、認めている点や評価している点も伝えていく
•【3】見本となるような振る舞いを心がける

指導において大切にするべき3つのポイント

【1】話しやすい関係性作りを意識する

新人・後輩指導において、指導内容以上に意識するべきことがあります。それは、指導の前提となる関係性作りです。「相手が自分のことを気にかけている」と感じることができるかどうかは、新人・後輩の定着に大きな影響を及ぼします。気にかけてくれていると感じる環境では自然と質問がしやすく、結果的に業務理解が早まり環境に適応しやすいという良い循環が生まれていきます。

また、コミュニケーションが活発であればあるほど帰属意識が高まり、その組織に意欲的に貢献しようとする姿勢も高まります。指導側としては、まずはいかに後輩との対話機会を設け「相手を気にかけていることを伝えていくか」というのが重要になってきます。

このように書くとなんだか大変そうですが、気持ちを伝える方法はシンプルで、まずは「雑談」を増やしていくことが大切なポイント。先輩側から対話のきっかけを作ること、あるいは話しかける余地を与えることはとても重要です。

特にリモートワークが多かったりチャットコミュニケーションがメインであったりすることも多い昨今の業務環境においては、業務に直結しない会話は意図しないとなかなか起こりにくいもの。意識して先輩側から関わっていくことによって、後輩からも話しかけていい、相談しても大丈夫な先輩であるという認識を持ってもらえるようになっていきます。

実際、後輩側が相談しにくいと感じる背景をアンケートした結果においても、圧倒的に多いのは「相談していいタイミングかわからない」「忙しそうで話しかけにくい」という回答でした。

先輩側から雑談を振ることは、話しかけられるだけの余裕があることを先輩側から示すことでもあります。長時間でなくても、余裕があるタイミングを見つけて先輩の方から話しかけるだけで、後輩からの会話も増えていくことでしょう。

また、雑談には離職防止にも重要な効果があることがわかっています。「上司・先輩の態度や行動で嬉しかったこと」というアンケートを見ると「話しかけてくれる(雑談)」「話しかけやすい(雑談)」が上位にきており、さらに離職検討経験のない方ほどこの項目を選ぶことがわかります。

つまり、先輩との雑談ができている後輩ほど、その組織に問題無くなじむことができており、退職を検討する可能性が低いということがこの調査からもわかります。特に後輩を指導し始めるタイミングでは、意識して対話の機会を増やしていただけると良いでしょう。

【2】プロセスを見て、認めている点や評価している点も伝えていく

実際の業務指導において意識するべきポイントとしては、「成長を感じる部分は褒めること」「結果のみならず過程もきちんと見ていると示していくこと」が大切です。

最初は何事もうまくはできないもの。そのなかで後輩側もなんとか力になりたいと試行錯誤をしています。その事実を認め、成長していることや過程における良い工夫などはポジティブフィードバックを返していけると良いでしょう。

もちろん、できていないことやより注意してほしい部分などもきちんと伝える必要はあるのですが、その際にも成長に言及したうえで「さらに良くするためにも」との切り口で伝えていくと、後輩側もその指導を受け取りやすくなります。

また、評価を伝える際にはぜひ、結果のみならず過程に言及するようにしましょう。例え結果につながっていなくても、取り組み過程で評価できる振る舞いがあれば、そこを承認することで今後も継続して努力を重ねようという気持ちを後輩は持つことができます。

そして助言や指摘についても、その内容を通して「気にかけている」との意識をコメントから伝えることができます。また結果のみならずプロセスごと評価していることが伝わると、結果が振わない時期にも後輩側が萎縮することを防ぐことになりますし、「相談する」というアクションを生みやすくなります。

フィードバックはプロセスにも言及すること、良いところは言葉にしてしっかりと伝えてあげることが、業務指導を円滑に進めるうえでのポイントです。

【3】見本となるような振る舞いを心がける

もちろん、先輩側の仕事の姿勢も後輩に見られているので、その意識を持つことも重要です。実際アンケート※(1)、(3)においても「尊敬・学ぶべき点がある」という項目は上位にランクインしているポイントです。

特に後輩側の心理として職場への「不満」以上に「不安」が強いといわれる昨今においては、「この先輩のようになりたい」と思える先輩の存在は仕事への張り合いにつながるもの。自分の仕事をきちんとする。いざとなったときに頼りになる。良くないことはきちんと良くないと言ってくれる、など、親しみやすさはありつつも、仕事においては見習いたいと思える先輩であることも、指導においては重要になってきます。

指導役を担う方のなかには、厳しいことを言うとどう思われるかわからず、指摘ができないという方もいらっしゃいますが、先にあげた2つのポイントを意識したうえでの指導であれば、後輩側も肯定的に指摘や指導を受け取ることができます。実際、アンケートを見ても「良くないときはきちんと指摘・指導してくれる」という項目は上位5位に入っています。※(3)

もちろん頭ごなしに否定することはNGですが、伝えるべきことを必要以上に遠慮して伝えないことも、先輩としては不誠実な態度であるといえるでしょう。相手を尊重した伝え方であれば後輩にもきちんと指導は届きます。

いかがでしょうか。普段の関係性を良好に築く。雑談や相談がしやすい関係性を意識したうえで、成長点や評価点、プロセスにおける良い点はきちんと伝えていく。そのうえで、先輩として、業務上伝えるべきこと、指摘するべきことはきちんと伝え、ご自身の仕事もきちんと行っていく。これができる人物こそが、理想の先輩といえるでしょう。

もちろん、先輩だってただの人間。完璧にはできないことも多くあるかと思いますが、この記事をご覧になっているような皆さんであれば、少し意識を向けることで後輩にとって居心地のいい環境作りに貢献していけるのではないかと思っています。

これからまた新しい年度を迎えるにあたって、この記事が、後輩への向き合い方を考えるヒントになっていたら幸いです。

文:マイナビ転職編集部

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