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リベリア人「金」ニセ取引の一部始終…古物商はなぜコロッとだまされたのか?

日刊ゲンダイDIGITAL

押収された偽物の粒状の金(手前2つ)と札束を模した紙の束(C)共同通信社

 よくこんな「稚拙な手口」で現金3400万円と「百万円札」をスリ替えられたものだ。

 金の商談を装い、現金を盗んだとして、警視庁捜査3課は9日までにいずれもリベリア国籍で職業不詳のジェームス・リー・エフ(46)ら2人を窃盗容疑で逮捕した。

 ジェームス容疑者は昨年11月16日午後2時ごろ、東京都中央区のビジネスホテル10階の一室で、別の外国籍の男(国外逃亡中)とブローカー兼通訳の日本人男性、川崎市の男性古物商(43)らと商談をしていた。

 金5キロを購入するため、古物商が3400万円の札束を取り出したところ、ジェームス容疑者が「安全のため」「誰にも触らせないように」などと言って現金を新聞紙でくるみ、粘着テープでグルグル巻きにしてテーブルの上にドンと置いた。

 そのタイミングで国外逃亡中の男がニセモノの「金粒」5キロ分をわざと床にバラまき、全員で拾い集めているスキに、あらかじめ用意していた偽札の束を机の上の現金とスリ替えた。偽の札束は同じように新聞紙でくるまれ、粘着テープが巻かれていた。

 古物商はスリ替えられたことに気付かないまま、偽の札束を部屋備え付けの金庫に入れ、ガチャッとロック。金粒を鑑定するため、いったんホテルを出て上野へ向かった。鑑定の結果、金粒は金色にコーティングされた銅と判明し、約1時間半後、古物商がホテルに戻ると、ジェームス容疑者ら2人の外国人はドロン。部屋にはブローカー1人が残されていた。

 偽札の表紙には「百万円」と書かれ、2枚目以降は白紙だった。今回逮捕されたもう1人のリベリア人の男(43)が偽の札束を準備。ホテルには行かず、商談には同席していなかった。

「ジェームスは日本人女性と結婚し、永住資格を持っています。防犯カメラなどの解析の結果、事件翌日の11月17日に出国し、今月6日、成田空港に入国したところを逮捕された。ジェームスらはブローカーを通じて古物商に取引を持ちかけていた。都内のホテルなどでは昨年8月から今年6月にかけて、黒人男性が金取引を装い、金粒や偽の札束を使った同様の被害が5件発生。被害総額は1億円に及びます」(捜査事情通)

 昨年11月16日時点の金の店頭小売価格は1グラム1万542円。普通に考えたら5キロ分、5271万円相当の金が3400万円で買えるはずがない。

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