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【ミステリーハンター宮地眞理子と小説家畠山健二が行く。】その1

まるごと青森

【ミステリーハンター宮地眞理子と小説家畠山健二が行く。】その1

「馬と小説家とミステリーハンター、そしてプレスリー」

みなさん、こんにちは。フリーランスの編集者でモノ書きのヤマザキマユコです。
東京生まれの東京育ち、東京以外での暮らした経験ゼロであるものの、なぜか「青森」に魅了されて早幾年月……あちらこちらで「青森、いいよっ!」と叫び続けております。

そんな折、こんなミッションが飛び込んで参りました。
それは——
【ミステリーハンターと小説家】に青森行脚をしてもらう! というもの。
いやはや大役でアリマス(笑)。

それにしても、“ミステリーハンター”とはなんぞや? な方もおいででしょう(いらっしゃらないか……)。ミステリーハンターとは長寿テレビ番組「世界ふしぎ発見!」で世界各地の歴史や文化、風土についての“不思議”や“謎”を現地取材し、レポートするヒトのこと。
なかでも、今回ご一緒してくださる宮地眞理子さんは“秘境ミステリーハンター”と称されるほどの逸材です。

その宮地さんとタッグを組むのが小説家の畠山健二先生。
畠山先生といえば、江戸・本所を舞台とした『本所おけら長屋シリーズ』(PHP文芸文庫)で知られ、最新刊の十八巻では発行部数シリーズ累計150万部を突破!
いっけん、お江戸と青森は無関係のようですが、『おけら長屋』の主要登場人物<島田鉄斎>は青森・黒石藩ゆかりなんですねぇ。
じつは畠山先生、一昨年(2020年)に『東京スッタモンダ』(旅行読売出版社)というムックで、黒石を含む青森探訪ルポもなさっておいでという。

ということで、【ミステリーハンターと小説家】です。

なんとも異色のコンビとお思いでしょうが、このおふたり、師弟関係にありまして。と、言われても「ん?」ですよね。
宮地さんはかつて漫才をなさっておいでで、畠山先生がその師匠であったのです!
畠山先生は小説家になる以前、漫才の台本を書き演出をもなさる“演芸界”のプロでもありまして。畠山先生の舞台に惚れ込んだ宮地さんが門戸を叩いたのでした。
ということで、このたびめでたく「師匠と弟子の青森道中」

さあ、ようやく第1回のスタートです。

師匠と弟子とプレスリー(笑)

ミステリハンター
宮地眞理子(みやち・まりこ)
1978年神奈川生まれ。女優、タレント、エッセイスト。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンターとしても活躍。著書に『地球のふしぎを歩こう 行ってきました! 世界の「絶景・秘境」』(PHP文庫)がある。3月9日(水)〜13日(日)劇団Dotoo!による舞台『清廉とか潔白とか』に出演(下北沢駅前劇場)。

小説家
畠山健二(はたけやま・けんじ)
1957年東京生まれ。大学卒業後、家業の鉄工所に勤めるかたわら笑芸作家として数々の演芸の台本執筆や演出を手がける。2012年、『スプラッシュマンション』(PHP研究所)で小説家デビュー。翌年から『本所おけら長屋』(PHP文芸文庫)をスタート。2022年3月に最新刊である十八巻を刊行し累計150万部を突破。月刊『旅行読売』でエッセイを連載中。

青森といえば、なにはなくとも「酒と美味」。そう確信してやまない【ミステリーハンター&小説家コンビ】。そりゃあもう言わずもがなですが、そこだけではない知られざる名物を紹介するのが、今回課せられたミッションであります。
とくに、ついついナイトスポットに吸い寄せられがちな畠山先生にこそ、意外性に驚いてほしく、かつ新たなる青森の魅力にハマッてほしく、まずは「乗馬」を体験いただきましょう。
「乗馬ぁ〜? 手綱に引かれてコース内をぐるぐる回るだけだろう? そんなのいいよ」と当初は乗り気でなかった畠山先生がなんと……

三沢ホースパーク(三沢市)
「夢にまで出てくるジュディちゃん!」
レポート=小説家 畠山健二

馬に乗ってのトレッキング。乗るどころか、馬に触ったことすらない私にできるのだろうか。不安だらけだ。
まずは手綱の扱い方を教えてもらい、自分が乗る馬とご対面。私の馬は7歳牝馬のジュディ。500㎏を超える大型の馬だ。相性チェックからスタートした。手のニオイを嗅いでもらい、顔をなで首筋を叩く。そして話しかける。

「ジュディちゃん。よろしく。暴れないでね」
「うん。大丈夫そうですね。ジュディは安心していますよ」と、三沢ホースパークのオーナーであり、講師を務めてくださる浄法寺朝生さん。

ふー。嫌われなくてよかった。
そして、ジュディに跨る。すごい高さだ。
最初は、浄法寺さんがジュディを引いて誘導してくれる。教えてもらったとおりに手綱を動かすと、ジュディは右に曲がり左に曲がり、そして止まる。これを繰り返すと……
「それでは、トレッキングに出発しましょう。私たちは横についているだけです。ジュディを操ってくださいね」
頼むぜ、ジュディ。
私が首を叩くとジュディは頷いてくれた。

馬に跨ってのトレッキングは最高の気分だ。景色も素晴らしいが、何よりもジュディとの一体感がうれしい。だんだんと息が合ってきて、お互いの気持ちがわかるようになる。
これ、本当ですよ。“馬が合う”ってこのことだったのか。
トレッキングが終わると、ジュディにニンジンを食べさせる。「食べるか?」と聞くと、首を振るジュディ。
えーん。もうジュディと別れられないよ〜。
このままここでジュディと暮らしたいよ〜。

ヤバイ、涙が出てきた。
横を見ると。宮地眞理子も、愛馬(笑)ムーランをなでて泣いている。
「ジュディ、必ずまた会いにくるからな。オレのことを忘れないでくれよ」

なにはなくとも「挨拶」からスタート。

さすがはミステリーハンター! 打ち解け合うのが早い。

“まずはの基本”をマンツーマンで教わる。 最初はインストラクター浄法寺さんが手綱を引いてくださるので安心、安心。

感覚をつかんだら、もうフリーで! 宮地さん、今のご気分は? 
「暴れん坊将軍、目指します」とキリリ。

いよいよ、森の中へ。アスファルトの林道を歩くことすら初体験。「地面の草に興味を持ってしまうので、前を向くよう馬たちとコミュニーションを取ってくださいね」と教わり、手綱を握る手に力が入ったそう。

トレッキング後は、「ありがとうね」の感謝の気持ちとともに、にんじんや玉ねぎ、りんごをプレゼント。宮地さんの相棒・ムーランは別れを惜しむかのようにスリスリと。かわいい、そして泣ける!

(ミステリーハンター宮地の心の声)
先生は昔から“かわいこちゃん”に弱いのです。
「ジュディに草を食べさせないように」と言われていたにも関わらず、だいぶ許してました。
馬に対しても同じなのだと痛感!
文中の名前登場回数、ジュデイ=15回、私=1回! なんだこの差は!?(笑)

開放的で雄大な森を散策できる“乗馬トレッキング”に開眼したおふたり。
昼食は心身ともにスタミナをつけるべく、三沢からクルマで40分ほど青森のご当地グルメのひとつ「十和田バラ焼き」を満喫しに十和田市へ。

十和田バラ焼きとは“牛”のバラ肉とたっぷりの玉ねぎを醤油ベースの甘辛いタレで漬け込み、鉄板で焼いたもの。そもそもの発祥は50年ほど前のこと。三沢米軍基地前の屋台ではじまり、それがここ十和田に広まり十和田の“おふくろの味”として定着したそうだ。
十和田市民にとっていわば当たり前の食を「全国へ伝えよう、届けよう」と取り組んだフロンティアスピリッツ溢れる謎の人物に、【ミステリーハンター&小説家コンビ】が挑みます。

司バラ焼き大衆食堂(十和田市)
「ボンジュールでトレビア〜ン♪」
レポート=小説家 畠山健二

われわれが駐車場に到着すると、尋常ではないオッサンが駆け寄ってきた。
「ボンジュール!!!!」
黒いタキシードには何十という缶バッチがついている。真っ赤なスラックスにバラの蝶タイ。なんたる派手さだ(笑)

「ボンジュール、ようこそ! さあ、どうぞ〜!」

出鼻をくじかれ、完全にマウントをとられた。テーブルに座ってからも、攻撃は続く。
「まずは地ビールを。ボンジュール!」

こうなったら従うしかない。
ここの名物は「牛のバラ焼き」。どうやらバラ肉と赤いバラの花をかけているようだ。ギャグとしては単純で好きだなあ。
オッサンの名は畑中宏之さんといい、十和田バラ焼きゼミナールなる団体の“舌校長(ぜっこうちょう笑)”でいらっしゃる。
今日は特別に畑中さんが、牛のバラ焼きを目の前の鉄板で焼いてくれた。ちょいちょい飛び出したギャグは文字数制限のため割愛する。
「さあ、食べてみてちょうだい。ボンジュール」
さて、どんな味がするのか……。う、旨い。これは旨い。
「白いごはんが食べたくなりますね」
「そうだべよ。おーい。ごはんを持ってきてちょうだい」。

私と宮地眞理子は同時に叫んだ、「ボンジュール!」

十和田バラ焼きゼミナール舌校長を囲んで。バラ肉と薔薇……身体中から熱いパッションが漲っておいでです。

ご当地ビールである「奥入瀬ビール」で乾杯!

続いて、舌校長大絶賛、こちらのオリジナル日本酒(その正体は「鳩正宗」!)でも乾杯!

青森といえばサーモン! ちょうどいいバランスの脂のりと甘みがナイスです。もずくもサッパリ。お皿に注目。

地元の高校生が考案したSDGsなスペシャルメニューもいただきました。

そびえ立つのが……バラ肉!

手早く、でもしっかりと混ぜたら、さっ、召し上がれ!

(ミステリーハンター宮地の心の声)
十和田バラ焼きのおいしさもさることながら、気になるのが強烈キャラクターの“ゼミナール舌校長”畑中さん!
畑中さんVS 先生!
どうなることかと思いきや、すぐさま意気投合! お酒もどんどん出していただいちゃって、すっかりほろ酔い。
「ボンジュール!」と「すバラしい!」が飛び交っておりました。

たらふく「十和田バラ焼き」を堪能しつつ、ちゃっかり、舌校長・畑中さん大推薦のオリジナル日本酒も味わったおふたり。じつはこの酒は十和田の酒蔵「鳩正宗」によるもの。鳩正宗といえば、私、おふたりのお供を努めるヤマザキが敬愛する杜氏・佐藤企さんが醸していらっしゃいます。
鳩正宗ブランド、そして佐藤さんの名を冠した、その名もズバリ「佐藤企」は日本酒好き=呑兵衛には知られる存在です。極めて私見ですが、佐藤さんのお酒は、透き通るような旨さで、でも決して淡麗過ぎず、華やかさがありながらもその余韻がスーッと消えてゆく……なんとも絶妙なおいしさなのです。
と、かなり興奮しつつ、「鳩正宗」は「司バラ焼き大衆食堂」のほど近くということもあって酒蔵見学へ。

鳩正宗(十和田市)
「たまさか……初搾りの日に!」
レポート=小説家 畠山健二

十和田市にある「鳩正宗」さんを訪ねた。
創業が明治32年(1899年)という歴史ある酒蔵だ。対応してくれたのは杜氏の佐藤企さん。
「さきほど『司バラ焼き大衆食堂』さんで、こちらのオリジナルお酒をいただきました」
「そうですか。畑中さんはお元気でしたか?」
「ええ。ボンジュールを連発してましたけど」……みたいな会話がありまして、酒蔵を案内していただきます。
ここで佐藤さんからうれしいお言葉が。
「偶然なんですが、今日は初醸造で一本目を搾ったんです。よかったら……」宮地眞理子の喉が鳴った!
「私たち、持ってますよね。ねっ、ね」とグビリ、ゴクリ。
佐藤さんの酒造りの姿勢、思い、これからを伺いながら、一杯を大切に味わった。

貴重な仕込みタンクを前に、杜氏・佐藤さんに酒造りのイロハを教わりました。そこはかとなく漂う“日本酒の香り”に、「ああ、日本人に生まれてきてよかった!」と一同。

ちゃっかり(笑)、試飲を。醸すご本人を目の前にいただくのは緊張します。が、おいしさの秘密をうかがえて、また、「おいしい!」ということを伝えることができるなんて、まさに役得。

(ミステリーハンター宮地の心の声)
昨日でもなく明日でもなく、今日だからこそ飲ませていただけたという初醸造の一杯! 私だけでなく、先生の喉もゴクリと鳴ってましたよーー!
ふたりとも日本酒好きなので、「もう一杯いいですか?」と(笑)。
おかわりが止まらなくなるところでした。

鳩正宗さんのあと、あちこちを見学し(そのレポートは第2回で!)、今宵の宿は青森市内に。よい酒場は数多くあれど、なんとしてでも【ミステリーハンター&小説家コンビ】を案内したい場所がありまして。
そこはね、青森市民はもとより、日本、いえいえ世界の一部(えっ!)に名を轟かせるヒトがいらっしゃるんです。お供である私、ヤマザキとしては、事前に説明は無用と判断。ただひとこと「本国で認められたプレスリーに会いに行きますよ」と。小さな扉を開くとそこには……!

メンフィスカフェ(青森市)
「エルヴィスは青森にいた!」
レポート=小説家 畠山健二

観たかったんだよねえ〜!
プレスリーコンテスト世界大会でも優勝したことがあるエルヴィス☆トキさんによるライブショー。
私は13歳のときに、映画『エルヴィス・オン・ステージ』を何回も観ているので、ちょいとうるさいですよ。「C.C.ライダー」の前奏にのって登場したのは……。
うわあ〜、往年のエルヴィスそのものじゃねえか! ぶったまげた!
こりゃもう、踊るしかない。
と思ったら、宮地眞理子はすでにツイストの真っ最中。みんなノリノリで踊りまくります。
なんという贅沢。なんという臨場感。感動して泣きそうだ。
汗だくになり、腰も痛くなってきたので。
「好きにならずにいられない」「ラヴ・ミー・テンダー」をリクエスト。バラードも聴かせますよ!
「この胸のときめきを」「監獄ロック」「プラウド・メアリー」「マイ・ウェイ」……青森の夜はエルヴィスとともにふけてゆくのです……。

カフェの扉を開けると、そこにはエルヴィス!

一曲目からスタンダップ! どんどんヒートアップ!

ステージも客席も真剣に唄い、踊りまくる(笑)

エルヴィス☆トキさんのコレクション、ジャックダニエルのスペシャルエディションも圧巻。もちろん売り物です。

(ミステリーハンター宮地の心の声)
トキさんに休む暇を与えない——リクエストしまくりナイト。
後半は、もはやエルヴィスのみならず、先生もステージへ!
先生は「ふだん21時就寝」なのに、全然寝ない&踊りまくっている!
いやー、C.C.ライダーの前奏、何度もリピートしておりました。

構成と撮影=山﨑真由子

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