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「ビルメン」の仕事は本当にラクなのか? 年収400万円ダウンでビルメンに転職した人に聞いてみた

キャリコネニュース

ビルメンの仕事とは

頑張っても報われないブラックな職場がはびこるなか、ネット上では久しく「ラクな仕事」の筆頭として、ビルメン(ビルメンテナンス)が取り上げられてきた。

商業施設やオフィス、病院といったビルの設備の管理をするビルメンだが、裏方の仕事ということもあり実態はわかりにくい。2年前に大手電力会社を退職してビルメンを始め、いまはハンドルネーム「小川悠二」として活動している男性 (32歳)に、働き方や暮らしぶりの変化を聞いた。

年収は600万円から200万円に

「小学生の頃から電力会社で働くことが将来の夢みたいな感じで、高校卒業後、地元の電力会社で営業事務として働き始めました」という小川さん。小学生が憧れるにはずいぶん渋い就職先だが、電力会社で働く親戚から職場や待遇などの話を聞く機会が多かったそうだ。

「普通に大学へ進学して電力会社に就職するつもりでしたが、高3のときに地元の電力会社が7、8年ぶりに高卒採用を復活させたんです。安定した暮らしができれば、進学しないでも別にいいかなと考え、そのまま就職しました。お客様のところへ未収料金を回収しに行ったり、営業所の総務担当をしたり、事務的な仕事が多かったです」

20代で年収600万円を稼ぐようになり、27歳の頃には結婚もした小川さんだが、30歳になる年にハードワークで心身を病んでしまった。

「朝8時50分から17時半が定時でした。しかし、本店に異動してからは22時を超える激務が続く毎日でした。平日は風呂に入って寝に帰るだけで、休日出勤も常態化し、土日のどちらかは必ず出勤していました。最後の1年半くらいは時間が惜しくて、通勤電車の乗り換えで地下街を10分くらい歩くあいだに、夜ご飯を済ませていました ね」

結局、小川さんは10年以上務めた電力会社を退職することに。

「転職サイトに登録した時は、『とにかくラクな仕事をしたい』という気持ちが強かったです。学校の用務員や警備員、清掃などがネットで引っかかりましたが、妻と相談し、将来性や最低限の収入を考えてビルメンに落ち着きました」

ビルメンにジョブチェンジした小川さんだが、無資格・未経験だったこともあり、年収は200万円ほどに。

「職業訓練校などで "ビルメン4点セット"(第二種電気工事士、第三種冷凍機械責任者、危険物取扱者乙種四類、二級ボイラー技士)と呼ばれる資格を1?2つ取得して、転職する人もいますが、私のように働きはじめてから資格を取るパターンもわりと多いですね」

仕事内容は「ビルによって違う」

一口にビルメンと言っても、どんなビルで働くかによって仕事内容が違うそうだ。小川さんの担当は鉄道会社の駅ビル内の商業施設だというが、転職の際には、勤務先のビルの種類も意識したのだろうか?

「ビルメンの仕事は1つの建物に常駐するパターンと、複数の建物を巡回するパターンがあります。最初は常駐がいいと聞いたので、常駐の現場に絞りました。商業施設はホテルや病院と比べてラクみたいな情報もあり、商業施設の現場を選びました。本当はオフィスビルが一番ラクらしいんですけど、その分、経験を積みにくいとも言われているようです。キャリアアップするための社内制度や将来性も考えて、物件数の多い大手で検討していきました」

勤務先ビルでは、メンテナンス業務の一部を鉄道会社が分担している。物産展など駅ビルらしい仕事もあるようだ。

「催事場があり、物産展などの準備で月1?2回ペースで深夜作業も発生します。電気の配線をしたり、簡易型のシンクを水道管に繋いだり、仮設の換気ダクトを備え付けたり、夜通しで設備を入れ替えるので、それは体力的にキツイです」

店が営業していない夜間にも、ビルメンの仕事はある。定期点検や突発的なトラブル対応のため、宿直を担当することもあるという。

「でも、病院やホテルとは違って、夜勤シフトが入るのはそれくらいですね。前職に比べると、全然耐えられるレベルではあります。毎日やる30分くらいの屋上の点検と、商品を陳列している棚の蛍光灯や天井の球替えを1?2箇所やって、残りは待機だけで終わる日もあります。(仕事とプライベートの)バランスは取れているかなと」

同僚は、10歳以上離れた年上が多いが、小川さんと同年代の人や大学卒業後に新卒で入社した若い人もいるそうだ。みんな暇な日はどう過ごしているのか?

「私はまだ2年目なので、資格勉強にほぼ充てています。入社後に2種電気工事と危険物乙4の資格はとったんですが、身につける知識が幅広くて……。ただ、IT系の職種のように知識をアップデートし続けるような感じでもなく、待機中はスマホでゲームとかしている先輩もいます」

「ラク」で「低収入」とは限らない?

資格取得に向けて勉強中だ

「ビルメンの仕事でも、大変なケースはあります。たとえば、築年数が古くて老朽化したビルはトラブルが起きやすく、設備も取り扱いづらいと聞きます。あとは、小さめの物件を、一人で10件以上受け持つ巡回パターンもキツイみたいです。チームで働く常駐と違い、休日も会社の携帯を持ち帰って、急に呼び出されることもあるので。今の会社も巡回業務があるんですが、3年くらいの勤続年数で配属されることもあるらしく、少しヒヤヒヤしています」

ビルメンにも"職場ガチャ"の、当たり外れはあるようだ。

小川さんは今年5月、正社員となり給料がアップした。もともとお金のかかる趣味などもなく、自由に使える時間が増えたことで、精神的なストレスもなく暮らせていると語る。

「転職して数ヶ月後にパートを始めた妻も、昔よりも今の生活のほうがいいと理解してくれています。ブログ・YouTubeでの情報発信や資格の勉強も、楽しみながらできていますね」

当面の目標は、「第3種電気主任技術者」の資格を取ることだ。これは、「建築物環境衛生管理主任技術者(ビル管)」「エネルギー管理士」と合わせて、俗に"ビルメン3種の神器"と呼ばれる資格のひとつ。合格率は約10%で、取得には1000時間以上の勉強が必要と言われている。こうした資格を取得してステップアップしていけば一般企業の会社員と遜色ない年収も狙えるという。

「正社員になって、会社の給与体系を見られるようになったんですが、頑張って資格とかを取っていけば、500?600万円も十分に目指せるかなと。ブログやYouTubeの収益化も目指しつつ、いまの会社でキャリアアップを目指していきたいです」

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