転職デビルのホンネ提言!「20代にやっておいて本当によかったこと、やらなくてよかったこと」【転職デビルに聞く!キャリアの真実】
20代の若手ビジネスパーソンが抱える不安として、代表的なものの一つに「将来を見据えて、何に取り組めばいいのか分からない」「自分の努力の方向性がこれで正しいのか分からない」といった悩みがあります。
私が過去に受けた多くの転職相談やキャリア相談の中でも、この悩みは共通して見られるものです。
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そう語るのは、転職・キャリアをテーマにX(旧Twitter)、note、書籍で情報を発信するライター、転職デビルこと安斎響市さん。今回は安斎さんに、 自身が「20代でやっておいて本当によかった」と誇りを持って言えること、逆に、「これは別にやらなくても良かったな」と反省したこと を、それぞれ具体的に挙げて説明していただきました。
20代でやっておいて本当に良かったこと
1. 英語を勉強する
以前の記事『年収2倍差は当たり前⁉仕事ができる人の最強スキルは「英語力」』でも触れましたが、やはり、英語は最強のポータブルスキルです。グローバルなビジネス環境では初期装備といっていい必須要素です。今後、AI全盛時代が来たとしても、英語スキルの重要性は変わりません。
英語を学ぶことで、海外の最新情報にアクセスできたり、国際的なコミュニケーションが円滑になったりと、非常に多くのメリットがあります。私は20歳のときに英語を身に付けましたが、そこから人生が大きく変わったと思っています。英語を習得しておけば、キャリアの幅が広がることはまず間違いありません。
2. 一度は名のある企業で働く
若いうちに数年程度でもいいから、一度は誰でも知っている有名企業で働いた経験があると、その後のキャリアにおいて大きなアドバンテージになります。
経歴的に見栄えが良く有利になるというだけでなく、伝統ある大企業では、仕事の進め方やビジネスマナーをしっかり学べる環境が整っていることが多いです。やや下品な言い方をしてしまえば、大企業での経験は、その後のキャリアをイージーモードに変える力があります。もし入れる機会があるなら、とりあえず大企業に入っておくと後々良いことにつながりやすくなるでしょう。
3. 転職活動を経験する
こちらも、以前の連載記事『その時「転職経験ゼロ」がハンデになった。これからの時代のキャリア戦略』でも紹介した内容です。今の時代「転職回数が多いと評価が下がる」という考え方は過去のものとなりつつあります。むしろ、転職経験がゼロの方がリスクとなります。
若いうちに一度は転職活動を経験することで、「自分は今の職場で働けなくなったとしても、他に行ける」という自信がつき、さらにキャリアが主体的なものになります。この自信は、キャリアを進める上で非常に重要です。どんなに優秀で立派な経歴の人でも、転職経験が一度もない場合、リストラなどの危機的な状況に直面した際に生き残っていけるかどうかは不確かです。
4. チャンスを逃さず、積極的に手を挙げる
チャンスはいつ、どこで訪れるかわかりません。また、降ってきたチャンスはあっという間に流れて行って、他の人の手に渡ってしまいます。
キャリア構築とビジネスでの成功において当人の才能や努力以上に大事なのは、たまたま降ってきたチャンスを見逃さず、すぐに取りに行く姿勢です。多くの人は、チャンスが目の前に転がってきても勇気を出せず、周りの様子を見てオロオロしてしまいます。このとき、たった一人だけ、堂々と手を挙げられる人は強いです。
以上の4つが、私が過去を振り返って「20代の頃に取り組んでいて本当によかった」と思う内容です。もちろん、人生やキャリアは人それぞれなので、これが正解とは限りませんが、少しばかりのヒントになれば良いと思っています。
一方で、過去の経験から「これは別にやらなくても良かったな」「時間とお金の無駄でしかなかったな」と残念に思うことについても、同じく4つ程度挙げて説明しておきます。
20代で別にやらなくて良かったこと
1.生活費を節約して貯金/投資に回す
この円安進行と急激なインフレの時代においては、節約や貯蓄だけでは到底生きていけません。どう考えても無理です。投資などをするにしても元手が少なければ効果は薄いです。
特に、20代の若いうちの節約・貯蓄は、長期的に見てほとんど意味がないと思います。それよりも重要なのは、スキルを身に付けたり、転職や副業を経験したりして、自分自身の力で得られる収入の総額を継続的に増やしていくことです。
2.読書と自己研鑽を習慣にする
本を書いている身でこういうことを言うと怒られそうですが、大半の書籍にはそれほど多くの学びはありません。ベストセラーになるほど有名な本でも、実は「学びが多い」というより、「読んでいて気持ちよくなれる」から売れているだけだったりします。
もちろん、どんな本から何を吸収するかは人それぞれの価値観によって異なります。ただ、書籍ではなくても情報源が多くある今の時代、「とにかく読書をしよう」とむやみに多読をするのは、それほど有益ではないです。特に気になった本だけ集中して読めば、それで十分です。
3.役に立ちそうだから、といって資格を取る
資格取得も、業務に即必要なものでなければ、将来のための建設的な努力というより、「資格スクールに通ったり試験を受けたりすることで何となく気持ちよくなれる」というエンタメ的な要素が強いです。私自身も20代半ばくらいで資格取得に励んだ時期がありましたが、その後、具体的に役に立ったものはほとんどありません。
本心からその知識を身に付けたい、興味があって勉強したいというケースなら良いのですが、とりあえず手当たり次第に「手に職を付けたいから」「役に立ちそうだから」と取る資格には、あまり意味がありません。投資したお金と時間分のリターンは期待できません。
4.人脈を広げる
世の中には「人脈が何よりも大事」と主張する人が少なくないですが、それは正しくないです。「昔からの付き合いだから」「あの人とはこの前飲みに行ったから」という理由だけで仕事を貰っている人より、「この人は初対面だけど信頼できるな」「まだ出会ってから日は浅いけど、この人の仕事のクオリティはすごい」と、コネ抜きでも評価される人の方が圧倒的に強いです。
特に、大人になってから「コネを増やそう」と考えて意図的に作れる人脈には、大した価値はありません。あまり無理して交流を広げようとせず、「普通の友人関係がたまたま仕事につながる」くらいがちょうど良いです。
以上、20代で取り組んでおいてよかったこと、やらなくていいことを具体的に挙げてきました。
あくまで個人的な経験をもとにした話ではありますが、将来に不安を抱える20代ビジネスパーソンがより実りあるキャリアを築くための一助となれば幸いです。
プロフィール
安斎響市@転職デビル
1987年生まれ。日系大手メーカー海外営業部、外資系大手IT企業の事業企画部長などを経て、2023年に独立。「転職とキャリア」をテーマに、X(旧Twitter)、note、書籍などで情報発信を続けている。Xフォロワー4.4万人。転職活動の実践ノウハウを語る週刊連載noteマガジンの有料会員は、累計7000名を突破。
代表著書
『私にも転職って、できますか? 〜はじめての転職活動のときに知りたかった本音の話〜(ソーテック社)』
『転職の最終兵器 未来を変える転職のための21のヒント(かんき出版)』
『すごい面接の技術 転職活動で「選ばれる人」になる唯一の方法(ソーテック社)』
『正しいキャリアの選び方 会社に縛られず「生き残る人材」になる100のルール(ソーテック社)』
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