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須賀健太「SNSで読める部分だけがすべてだと思ってほしくないです」~『朗読劇 #ある朝殺人犯になっていた』インタビュー

SPICE

須賀健太

2021年1月29日(金)から、こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロにて、ネット化した現代の闇をユーモラスにミステリー仕立てに描いた藤井清美著の新作小説『#ある朝殺人犯になっていた』が朗読劇として上演される。

『#ある朝殺人犯になっていた』は、U-NEXTで電子書籍として配信されたのち、11月にU-NEXT初の紙の書籍として出版されたばかりの新作小説。本作では、この小説を戯曲化し、ステージングと生演奏、映像を使用した新感覚朗読劇となる。出演は須賀健太、山崎大輝・赤澤遼太郎(Wキャスト)、美山加恋・宮澤佐江(Wキャスト)、真凛、馬渕英里何、山崎裕太、松本利夫(EXILE)。そんな本作で主演を務める須賀健太に話をうかがった。

ーーまずは本作の台本を読んでみていかがでしたか?

原作も読ませていただいたのですが、凄くスピード感がある作品だなと思って一気読みしてしまいました。SNSという身近なものが題材ということもあって、凄く理解というか共感が出来ました。想像がしやすいのですぐ引き込まれました。この感覚は朗読劇の形になっても大切にしたいと思いました。
自分は仕事柄、一般の方よりもSNSに触れる機会が多いこともあって、その怖さもすごく理解していると自覚しています。

ーー読んでいて正直怖く感じたこともありましたか?

はい。そして作品の中でも出てくるんですが、誰にでも同じことが起きる可能性があり得るという怖さがあるし、またこの世界は急速に発展しているので、SNSの使い方はまだまだ難しいところもあるなぁって思うんです。

ーー須賀さんが演じる浮気(うき)くんはどんな人物だととらえていますか?

凄い普通の人だなって(笑)。芸人さんなんですが、まだ小さな劇場でコツコツ芸を見せている人。SNSの使い方もごく一般的で思ったことをそのまま気軽に配信してしまうところが彼自身にもあって、いまどきだなぁって思います。僕にとっては戦国時代の武将などを演じるよりは同じ時代を生きている感覚があって、凄く理解できる人物です。役作りもしやすいなと思います。

ーー原作者であり、今回の脚本・演出も務める藤井さんにどんな印象をお持ちですか?

「#ある朝殺人犯になっていた」原作小説 (C)藤井清美/U-NEXT

ご本人とはまだお会いしていないんですが、原作などを読む限りではすごく信頼できるというか、何についてもきちんと答えてくださる方なんじゃないかな、って。原作者としての考えも聞けると思いますし。演出家としても心強い存在です。

ーー朗読劇ならではの難しさややりやすさはありますか?

朗読劇だと台詞にすべてを乗せて表現することができる。演じている役の感情も表現しながら、一方でナレーション的な立ち位置もある。あと、ちょっとした心の動きを台詞で表現しなければならない難しさもありますね。

ーーこれまで須賀さんが出演されてきた舞台ではどちらかというと身体全体を使ったアクションやチャンバラなどで表現する役どころが多かったように思いますが、今回は朗読劇。まるで手足を縛られて声だけの芝居を求められるハンデがあるように思うんです。それでも朗読劇に挑戦したいと思ったのはなぜですか?

おっしゃるとおり僕自身、朗読劇が得意ではないと思うんです。声は特徴的とは言われるんですが、舞台をやる上で動きや感情を込めて演じることのほうが多かったので、今回苦手なものに挑戦するという感覚は少なからずあります。でもその分、新しい感覚を得られる瞬間もあって、ページをめくりながらその世界に入っていく感覚や自分たちの声だけ、台本の文字だけで芝居が立体化していく様は非常に気持ちいいんです。
今回に関しては、朗読劇といいながらも映像を使ったり動くこともあるので、100%朗読劇というよりは少し変わったものをお見せできると思います!

でも朗読劇をやらせていただくときなんですが、いつもすごく緊張したまま本番を終えることが多いんです!

ーーええっ! あまり緊張しないイメージがあるので意外です!

朗読劇って稽古の回数も多くなく、本番もそれほど多くないので、楽しいって思う前にすべてが終わってしまうんです。初日なんて「始まらなければいいのに」っていつも思っていますよ! なかでも朗読劇の場合は、「誰が最初に噛むか」問題もあったりするので(笑)。

今回、美山加恋さんと山崎裕太さん以外は初めましての顔ぶれなので、その点でも緊張しています。人見知りなので借りてきた猫みたいになるかなって(笑)。

また今回お笑いコンビを演じるということで、相方が二人(Wキャスト)いるので、その違いが出てくるところもあると思うんです。僕が柔軟に振舞うことで異なるコンビが生まれるんじゃないかなって思っています。まだ山崎大輝さんとも赤澤遼太郎さんともお会いしたことがないので、その違いを楽しみたいです。何より劇中で「はいどーも!」とお笑いならではのやり取りがあるのが今から本当に楽しみなんです!​

ーー今回は座長としての役割も担うこととなります。どのようにこの現場を作り上げたいですか?

僕はどこの現場でも座長らしくいたことがないんです。『ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」』で長い間座長をやらせていただいたことで「座長」のイメージがあるんじゃないかなって思うんですが、全然そんなことはなくって。逆に皆が僕を座長にしてくれたように思うんです。今回はお芝居をするなかで「この人についていこう」と思ってもらえるのがいちばんかなって。それが座長としていちばん必要なことかもしれません。

ーー先に名前が出た方含め、共演者の顔ぶれもなかなか豪華ですが、特にこの人とは一緒に仕事をしたかったと思う方っていらっしゃいますか?

朗読劇『#ある朝殺人犯になっていた』

美山加恋さんですね。僕が10歳の頃きょうだい役で一度バラエティー番組のコントみたいなのをやったことがあるんです。再現ドラマ的なものを。お互いちっちゃいというレベルではないくらい幼い頃だったので(笑)、月日が流れて今こうしてまた共演できる事は凄いことだなって思います。

ーー最後にこんな質問を。もし、須賀さんご自身がこの浮気くんのようにSNSで冤罪に巻き込まれたらどう対処しようと思いますか?

すごく怖いです。どうしようもないというか……。何を言っても火に油だと思うんです。だから僕がこんな立場になったら何も言えなくなってしまうと思うんです。SNSに書いてあることが100%自分のすべて、みたいなことになってしまうから、触れないように、触れないようにしてしまうんでしょうね。そういう意味では僕が演じる浮気は凄い人だなって思えます。この状況を打破するためには、って考えることってすごくエネルギーが必要ですし。

でも、この作品はSNSを使って発信することがいい、悪いということを言いたいのではなく、観る人たちに「SNSには危うさがあるよ」と認識してほしいんだと思うんです。自分が考えていることが100%伝わっていると思っている人が多いと思うけど、そんなことはなくて読み取れない感情や、余白みたいなところもあって。SNSには文字だけが残りますが、それを打っているのは一人の人間なので。僕自身としても伝えたいのはSNSで読める部分だけがすべてだと思ってほしくないということです。

【イープラス/SPICE】朗読劇『#ある朝殺人犯になっていた』須賀健太 コメント

取材・文=こむらさき

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