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SNSフォロワー10万人!「小児科医ぺんすけ」こと平原先生の"原点"が分かる書籍2選【発達ナビ・あの人の本棚から】

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SNSフォロワー10万人!「小児科医ぺんすけ」こと平原先生の"原点"が分かる書籍2選【発達ナビ・あの人の本棚から】

現代の小児医療に新風を吹き込む気鋭の医師・「小児科医ぺんすけ」平原慎之介先生が選んだ本は?

今回は小児科専門医・精神科医として最前線で活躍されている平原慎之介先生です。先生は医療現場での経験を基盤としながら、「小児科医ぺんすけ」としてSNSでの積極的な情報発信も行われ、Instagramのフォロワーは約10万人という驚異的な数字を誇ります。

特筆すべきは、専門性の高い医学知識を、専門用語に頼らず誰もが理解できる平易な言葉で伝える先生の卓越したコミュニケーション能力です。発達が気になる子どもたちと、その保護者の方々が不安の中で長期間受診を待たされる現状に問題意識を持ち、発信活動と日々の診療の両輪で、医療アクセスの向上と社会全体の理解促進に尽力されています。

そんな平原先生に、保護者の皆さま向けと支援者の皆さま向けの珠玉の2冊をセレクトしていただきました。ぜひご覧ください。

「小児科医ぺんすけ」平原慎之介先生が選ぶ!保護者の方におすすめの1冊:『子どもへのまなざし』佐々木正美 著(福音館書店)

児童精神科医として半世紀以上にわたり、数え切れないほどの子どもたちとその家族に寄り添い続けた佐々木正美先生による、子育ての本質を見つめ直す名著です。
この一冊は、単なる育児マニュアルではありません。子どもの個性という輝きをありのまま受け入れ、一人の人間として深く尊重することの意義を、温かく包み込むような言葉で紡いでいます。忙しい日々の中で見失いがちな「子育ての原点」を、優しく、しかし力強く思い出させてくれる一冊として、多くの保護者の心の支えとなり続けています。

『子どもへのまなざし』は、フォロワーさんから「子育てのバイブルです!」と教えていただき、手に取った本です。実際に読み込んでみて、なるほどこれは多くの方にとって“育児の原点”を思い出させてくれる一冊だと強く感じました。

実はこの本、1998年に出版され、もうすぐ30年近くになります。
世の中には新しい子育てのテクニックや声かけ方法を紹介するhow to本が次々と出ていますが、そんな時代だからこそ、この本の「人を信じ、頼る力を育むことが子育ての根っこである」というシンプルで力づよい主張が強く響きます。

保護者の方はもちろん、子どもと関わるすべての支援者にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

「小児科医ぺんすけ」平原慎之介先生が選ぶ!支援者の方におすすめの1冊:『子どものための精神医学』滝川一廣 著(医学書院)

子どもの精神医学という専門領域を体系的に理解するための決定版として、多くの専門家から高い評価を受ける本書。
子どもの心の発達理論から各段階での課題、具体的な支援方法まで包括的に網羅し、専門用語も分かりやすく解説されています。

この本の最大の魅力は、マニュアル的な「ハウツー」ではなく、子どもの発達を根本から理解するための土台を築いてくれること。目の前の子どもの「育ち」を深く理解し、一人ひとりに合わせた臨機応変な対応をとるヒントがたくさん詰まっています。
「この子のために何ができるだろう?」と悩んだとき、確かな答えと新たな視点を与えてくれる一冊です。

『子どものための精神医学』は、私が児童精神医学を学ぶ中で、最も影響を受けた一冊です。
正直に言うと、小児科医になりたての頃は、発達障害やASD(自閉スペクトラム症)について「なんとなく」しか理解できていませんでした。ですが、この本をじっくり読み込むことで、子どもたちの特性や背景、そして生きづらさがどうして生じるのかを体系的に理解できるようになりました。

私の発信活動の根本には、この本から学んだ視点がたくさんあります。診療を続ける今でも、壁にぶつかったときは何度も立ち返る“原点”の一冊です。

発達特性をもつ子どもと関わる保護者の方はもちろん、支援者の方にもぜひ手に取っていただきたいと思います。

さいごに

今回、平原先生が厳選してくださった2冊は、どちらも子どもたちと向き合う際の根本的で重要な視点を、深い洞察とともに提示してくれる珠玉の書籍でした。

子どもたちの成長を支える保護者の皆さま、そして専門的な支援に携わる皆さまが、困難な状況を乗り越え、新たな一歩を踏み出すための勇気と知恵を与えてくれるはずです。今回ご紹介いただいた書籍が、皆さんの日々に新たな発見と安らぎをもたらし、子どもたちへの愛情をさらに深める一助となりますように。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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