【八王子市】通勤手当不正受給 市職員の処分決定 管理責任者含め108人
八王子市の職員が実際には利用していない公共交通機関の利用を申請して通勤手当を不正に受給していた問題を巡り、市は10月23日、不正受給を行った職員97人と、副市長を含む管理監督責任のある管理職11人の計108人に対する処分などを発表した。
不正受給額915万円
市によれば、97人の不正受給の総額は915万4207円。期間は職員により異なり最短1カ月から最長5年6カ月で、受給額は最小4040円から最高49万1778円だった。いずれも全額が返納済み。
部長1人を停職1カ月、課長2人を含む職員10人を戒告とする懲戒処分を行ったほか、人事措置として19人に訓告、58人を厳重注意した。残り9人はすでに退職しているが、戒告相当や訓告相当、厳重注意相当とした。停職処分となった部長は自宅から最寄り駅までのバス利用を届け出ていたが、実際には徒歩で通勤し、4年1カ月間で約37万円を受給していた。市の聞き取り調査に対し「健康上の理由から歩くようになり、変更の届出をしていなかった」と弁明し、23日付で依頼退職している。
また管理監督責任として、副市長2人と部長3人、課長6人を厳重注意。植原康浩副市長は3カ月間給与の10分の3、中邑仁志副市長は1カ月間給与の10分の1を自主返納する。初宿和夫市長については「自身の責任として減給相当を判断したが、すでに公約実現のため任期中の月額報酬と退職手当の10分の3を削減していることから、その削減分に今回の事故の責任を加えるものとする」とした。
処分の判断基準については、不正受給の期間や職責を軸に、他市の例や社会に与えた影響なども考慮したという。また詐欺罪にあたるか警察に相談し、悪質なものについては刑事告発も含めて検討することも明かした。
検証と再発防止策
会見で副市長2人とともに頭を下げた初宿市長は「今回の件を非常に重く受け止めており、市民や関係者の皆様に深くお詫びする。信頼回復に努め、一日も早く正常な市政運営を取り戻していきたい」と述べた。また「調査と公表が遅れたことで、隠ぺいの疑義が生じた」ことについても陳謝した。
今後は弁護士や労働関係の専門家などでつくる第三者検討会を立ち上げて再発防止策の策定や各種手当の制度・管理体制の見直しに反映させるほか、各種手当の届出内容と実態との確認徹底、全職員を対象にした倫理研修による意識改革などに取り組み、職員の分限や懲戒手続きに関する条例の見直しについても検討する。(10月24日起稿)