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the GazettE RUKI(Vo)に聞く、2年ぶりのライブで感じたものと「BLINDING HOPE」に込めた想い

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the GazettE

the GazettEが2年ぶりとなるライブ『LIVE 2021 -DEMONSTRATION EXPERIMENT- BLINDING HOPE』を開始した。昨年3月に予定していた結成18周年記念公演がコロナ禍により中止となり、バンドは全エネルギーをアルバム制作に注ぎ、3年ぶりのアルバム『MASS』を完成させた。2年ぶりのライブでファンと対峙して感じたこと、そして最新アルバム『MASS』のリード曲でありライブタイトルにも冠している「BLINDING HOPE」に込めた想いを、ボーカルのRUKIに聞いた。

――東名阪を回るツアーの初日が無事に終了しましたが、丸2年ぶりのライブはいかがでした?

いやぁ、やっぱり緊張感がすごかったですね。メンバーはもちろん、スタッフさんも、ファンの皆さんも。全体的に緊張感が伝わってきました。

――お客さんは声が出せないという規制もありますからね。ステージに出た瞬間は、やはり、いつもとは違う違和感も?

それが……意外と違ってもなかったんですよね。声の代わりに拍手が起きることは予想していたんですけど、自分の思っていた拍手とは違っていたんですよ。

――違っていたとは?

オープニングSEが始まる前に一瞬無音になったとたん、間髪入れずにバーッ!と拍手が湧いて、それが想像以上にデカかったんですよね。声が出せないからシーンとなりやすいっていう話を聞いていたから、じゃあ、無言の間はどうするか?ってことも考えてたんですけど、もう、ずっと手を叩いてくれていたので。ある意味、声が拍手に変わっただけというか。途中でスタッフに“こんなにずっと拍手してるもんなの?”って聞いたら、“いやぁ、あんまり見たことないな”って言われて。それはホントに有難かったです。

――わかります。the GazettEのファンは、とにかく熱いですから。

うん。声を出せない以外は変わらないなぁって。ただ、今までコール&レスポンスしていた部分に関しては、事前に変えていこうと決めていたので、そこは自分が先導していきました。例えば「UGLY」とかは手拍子に変えたり、「TOMORROW NEVER DIES」もそうですね。やっぱり戸惑う方もいるだろうから、先陣切ってやっていこうと。

――では、本編が終わって一旦楽屋に戻ったときも、メンバーと盛り上がったんじゃありません?

いや、久しぶりのライブで自分たちもボロボロだったから、もうゼーゼー言ってるだけでしたね。せっかく来てもらったからには、とにかく楽しんで帰ってもらいたいという想いしかなかったので、そのぶん必要以上に動いてしまって……。

――そのぶん必要以上に疲れてしまったと。

そうですね(笑)。それに、やっぱりリハーサルじゃ掴めない間の取り方だったり、テンポ感みたいなものもあって。1回ライブをしてみて初めて“もうちょっとこうした方が良かった”っていう課題が見えてきたりもするんです。なので、あんまり“2年ぶり”ってことを考えないようにはしようって感じでした。

――あまり久々であることを意識しすぎてしまうと、逆に硬くなってしまいますからね。ところで、以前アルバム『MASS』(2021年5月発売)のインタビューで麗さんとREITAさんにお話を聞いたとき、正直、the GazettEは来年の20周年までライブはしないだろうなと感じたんですよ。有観客にこだわっていて、なおかつ“ライブ再開にそれほど焦ってもいない”とおっしゃってましたから。

確かに、もともとは“声が出せる状況になるまで待とう”という話になってましたね。

――だから、今回のツアーが決まって正直驚いたんです。なぜ、このタイミングでライブを決めたんでしょうか?

“やろう”って話がいつ出たのかは覚えてないですけど、もう、緊急事態宣言が何度も出て、何かあればすぐに発出されるような状態だったじゃないですか。ここまでコロナ禍が長くなるとは想像してなかったし、いつまで経っても終わりそうにない。じゃあ、来年になったら声が出せるようになるか?と言えば、そんな保証もないじゃないですか。だったら、この状況で一度ステージに立っておくべきなんじゃないか? ちょうど2年経ったことだし、本数を減らして実験的にやってみようっていう流れになったんです。

――それでツアータイトルも『-DEMONSTRATION EXPERIMENT- BLINDING HOPE』と、“DEMONSTRATION”のワードが入っているんですね。

そうです。ただ、ちょうど発表したのが感染者数の多い時期で、“これはまた飛ぶかもな”と(笑)。そこが心配だったから、無事にできて良かったですね。

the GazettE/RUKI(Vo)


拍手は印象的で。声を出せない中でなんとか伝えようとしてくれてる様子には、“これでこそライブだな!”と感じました。

――ライブが終わったときは“やって良かった”と思えました?

もちろん。この状況下で、本当にライブとして成立するのか? という懸念は無くなりましたし、もう、忘れられないですよね。きっと。

――裏を返せば、the GazettEって“こういう状況下”でライブをやるのに、とても向いているバンドだと思うんですよ。今、ライブをやるには感染対策をキチンと講じ、オーディエンスがそれを守ることが重要になってきますが、the GazettEのファンはアーティストに対する愛情やリスペクトが強いので、ライブという自分たちの愛する場所を守るためだったら努力を惜しまないし、政府のガイドラインもしっかり守る。そのリスペクトが無い場合、今、自分が楽しめさえすればいいと、無法地帯になりやすいですから。

そうですね。ちゃんとルールを守ってくれたのは有難かったですし、リスペクトの気持ちっていうのは僕らにも届いていたので、そこはすごく感謝したいところです。それが無ければ、今、イベントって成り立たないので。

――ええ。初日公演に行ったファンの感想を見ても、“号泣した”とか“一音一音刻みつけた”とか、2年のブランクがあったからこそライブの一瞬一瞬を楽しもうという気持ちが伝わってきて。the GazettEは本当にファンに愛されているなと実感しました。

ああ、それはホントに声が無くても伝わってきましたね。ある意味“異様”というか、普段のツアー初日とは全然違う空気感だったし、“ああ、待っていてくれてたんだな”っていう感覚はありました。

――ちなみにライブタイトルには『MASS』のリード曲である「BLINDING HOPE」の名が付けられていますが、だからと言って、特にアルバムを掲げたツアーというわけではないんですよね?

ないです。久しぶりのライブを新曲ずくめにして、オーディエンスの“どうしていいかわかんなかった”を増やしたくはなかったですし、守るべきルールは守りつつ、いかにライブの楽しさを思い出させてあげられるか? どれだけthe GazettEのライブ本来の姿に回帰できるか? というのが重要だったので、そこを基準にセットリストも組んでいきました。なので、その中に『MASS』や前作の『NINTH』(2018年発売アルバム)の曲を混ぜていった感覚ですね。

――“新曲ずくめにしたくなかった”と言いつつ、ライブでは未披露の『MASS』の楽曲がかなりの割合を占めていますが、アルバムインタビューの際に“ライブを考えて作ったアルバム”ともおっしゃっていたので、“ライブの楽しさ”が基準であれば必然なのかもしれませんね。

そうですね。中でもタイトルになっている「BLINDING HOPE」は、この状況下だからこそ生まれた曲でもあるので、まずやるべき曲、頭に持ってくるべき曲でしたし。その他のアルバム曲も、新曲なら普通は棒立ちになってもおかしくないのに、どの曲も予想以上に反応してくれて“凄いな”と思いましたね。ウチのファンは昔から適応能力や判断力に優れているので、そういう意味では助かったというか。いつも通りにやらせてもらった感じはします。

――ライブが無かったからこそ、アルバムをいつも以上に聴き込んでくれたというのもあるのでは?

うん、それはあるかも。最初にも言いましたけど、やっぱり拍手は印象的で、誰が言い始めたわけでもないだろうに、全員が同じようにしてくれていたのには感動しましたね。曲中とかでも普段はしないところで入れてくれたり、声を出せない中でなんとか伝えようとしてくれてる様子には、“これでこそライブだな!”と感じました。

――the GazettEファンの凄いところって、ソコですよね。自分たちの想いを届けよう、バンドの想いに応えようという気持ちがすごく強いから、その手段が拍手しかないとなれば迷わず拍手を贈る。MCのときも、ずっと拍手だったと聞きましたよ。

そうですね。俺が喋っているとき以外は、ずっと拍手で繋いでくれてる感じでした。でも、普段からバラード前はシーンとしているので、そこではちゃんと拍手を止めるというのも、ちゃんと揃っていて素晴らしいなと。コッチもフロントマンとして、どう動くか? いかにシケた空気にさせないか? というところは意識していたので、お互いが同じ方向を向いていたのが良かったんでしょうね。

――この状況だからこその互いの気遣いが、良い相乗効果を生んだんでしょうね。ちなみに『MASS』の曲を披露してみて、このアルバムに関して改めて感じたことってあります?

いや、いつも新曲は長いツアーをやっていく中で完成させていくので、そういう意味では、まだ未熟な部分も大いにあって。伸び代が大きいぶん、すぐには回収できないなと。

――じゃあ、東名阪の3本だけじゃなく、もっとたくさん本数を設定しておけばよかったという後悔も、実はあったり?

いやいや、それは無いですね! 今回のツアーで大事なのは新曲を育てる云々ではなく、the GazettEのライブに対するスタンスを、自分たちとファンの間で照らし合わせていくことなので。

the GazettE/RUKI(Vo)


希望でも、明日生きるための元気でも、頑張ろうと思う気持ちでも、何でもいい。そういう空間ではあってほしいんです。the GazettEのライブ空間が。

――では、このツアーでRUKIさんが一番表現したかったこと、オーディエンスに与えたかったものって、はたして何でしょう?

普通に考えて、2年もライブが空いたら、ライブに行くこと自体を忘れちゃうと思うんですよ。ライブの何が良かったのかわからなくなったり、別に無くても大丈夫なものになっても不思議じゃない。でも、やっぱり自分たちの中でライブっていうのは、何物にも代えられないものだし、オーディエンスにとってもそうだったはずなんです。例えば、日常の鬱憤を晴らすためとか、何かを忘れたくて……とか。ライブって本来そういう場所だろうし、その空間にいるからこそ発揮できる力を、今一度知ってほしかったんですよね。

――バンドとファンがあくまで同じ空間で、同じ空気を吸っている状態じゃないと生まれないもの、味わえない喜びをファンにも思い出してほしかったと。

うん、そうですね。その場で、その瞬間に、ファンと一緒に作っていくのがライブだという気持ちは昔から変わらない。それが満たせれば、オーディエンスは何人であろうが関係ないけれど、その空気感ってやっぱり画面越しでは伝わらないじゃないですか。だから配信ライブには抵抗があったんです。

――その価値観はメンバー5人共通のものですか? 誰かが“俺は配信でやってもいい”と言い出したりもせず?

うん、無いですね。

――逆に、そこまで“生”にこだわる理由って、いったい何なんでしょう?

うーん……言ってしまうと“SHOW”を見せる気はないんですよ。目の前にファンがいて、自分らがいて。そこでウチらのライブはようやく成立するわけで、それ以外はthe GazettEの少なくとも“LIVE”ではない。それならDVDでもいいってことになるから。

――なるほど。時間と空間をファンと共有して、想いを共鳴させることがthe GazettEの醍醐味であるのは確かですから、そのスタンスは納得です。

もちろん正解は一つではないし、配信ライブをしている人たちの理由もそれぞれ違うだろうから、そこは全然自由でいいと思うんです。ただ、自分たちは今までずっと“生”のライブにこだわってきて、それを公言もしてきたから、ここで配信をやるのは成り立たないだろうなぁと。逆に、これで成り立っちゃったら自分も嫌なんですよね。

――今までやってきたことは何だったんだ!?ってことになっちゃいますもんね。

そうそう。だから、そこは“チケット代払うからいいじゃん”とかっていう話でもなく。確かにライブに来れない人からは“配信してほしい”という声もあったんですけど、これが最後のライブなわけじゃないですからね。the GazettEはいなくなるものでもないし、いつか必ずライブで会えるときは来るから、希望を捨てないでほしいです。

――来られる人には今回のライブが希望になるし、来られなかった人も2年ぶりのライブ開催が、また“次”への希望に繋がりますからね。だからこそ『BLINDING HOPE』というライブタイトルなんだろうなと。

“BLINDING”には“目が眩むような光”という意味があって、これ、ライブステージの照明のことを指しているんですよね。その先には希望がある……っていう。まぁ、希望でも、明日生きるための元気でも、頑張ろうと思う気持ちでも、何でもいいんです。要するに、そういう空間ではあってほしいんですよ。the GazettEのライブ空間が。

――では、その希望の先に迎える来年の20周年は、どんなものになりそうでしょうか?

今、現在のthe GazettEはもちろん、今までやってきたことが積み重なった結果、こうなっているんだというところを見せていきたいですね。ホントそのときの状況によるだろうから、まずは早くみんながワクチンを打って、なるべく重症化しないような抗体を持つことが大事かなと(笑)。もちろんコッチは万全の対策で、ただただ楽しませるつもりでいるから、来られる人には安心してライブに来てほしいですね。

取材・文=清水素子

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