猫の目が『真ん中に寄る』ときに考えられる原因4つ 病院に連れて行くべき?視力に影響はある?
️ 猫の目が『真ん中に寄る』ときに考えられる原因とは?
1.先天性の斜視(寄り目)
先天的に「目が真ん中に寄って見える」状態は、遺伝的な要因であるものであれば健康上に問題がないことが多いです。
しかし体質の問題もあり、生まれつき目の動きを支える筋肉や神経の働きに弱さがあることも考えられます。
この弱さによって、左右の目がうまく協力できず、内側へ寄ってしまいます。
見た目の変化だけでなく、物が二重に見えたり距離感がつかみにくくなることもあります。
猫の様子で気になることがあれば、専門の検査やトレーニング、必要に応じた治療で改善を目指せるため、なるべく早めに獣医師へ相談することが大切です。
2.光への生理的な反応
目が真ん中に寄る原因は、明るい光に対する自然な反応であることも。
猫の瞳孔はカメラのレンズのように、周囲が明るいほどキュッと細く閉じます。
たとえば、急に明るい部屋に入るとサングラスをかけたくなる感覚に近く、光の量を調整するための仕組みと思えば理解しやすいかもしれません。
この場合、猫は普段どおりに歩き、物にぶつかる様子もありません。もし明るい場所でだけ瞳孔が細くなり、暗い所で自然に開くなら正常です。
3.ストレスや興奮による反応
猫は気持ちが高ぶったときにも瞳孔が動きます。
興奮しているときは大きく開くイメージがありますが、逆に緊張が強すぎると「細い線のように真ん中へ寄る」状態になることもあります。
人で例えると、驚いた瞬間や怖い経験をした直後に体がぎゅっとこわばる感覚に近いイメージです。
音に敏感な猫は、小さな物音でも意識を集中させるため瞳孔が動くことがあります。落ちついた様子に戻れば問題ありません。
4.目の病気や神経のトラブル
光の強さや感情とは関係なく、常に片眼だけ細い、左右の瞳孔の大きさが違う、うまく歩けないといった様子が見られるなら、病気の可能性があります。代表例として、「眼圧の上昇」「ぶどう膜炎」「脳・神経系のトラブル」などがあげられます。
この状態は、人でいうと片目だけピントが合わないようなイメージで、猫自身も「見えにくさ」で不安を覚えやすいです。
症状の進行が早い病気もあるため、気づいた時点で注意が必要です。
️ 病院に行く目安と視力への影響
次のような変化がある場合は、受診をおすすめします。
✔ 暗い場所でも瞳孔が細いまま
✔左右の大きさが明らかに違う
✔物にぶつかる、歩き方がぎこちない
✔白目が赤い、涙や目やにが増えている
✔変化が数時間以上続く
光への反応だけなら視力への影響はありません。
けれども、炎症や神経の異常が原因の場合、放置すれば視力低下につながるおそれがあります。
早めに受診することで治療の選択肢が広がり、猫の体への負担を少なくすることができます。
️まとめ
愛猫の目が真ん中に寄っていると不安になりますが、多くは生まれつき、光や気持ちの動きによる自然な変化も原因としてあげられます。
けれど、左右差が出たり行動がおかしくなったりする場合は、動物病院に早めの受診をしましょう。
猫は小さなサインで体調を伝えてくれるので、日頃から何気ない表情や仕草を見守ることがいちばんのケアにつながります。
愛猫の毎日をより穏やかにするためにも、猫のちょっとした変化にいち早く気付いてあげたいですね。
(獣医師監修:葛野宗)