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栃木県那須烏山 ~清流が生み出した里山に、民話の世界が静かに息づく~

さんたつ

栃木県東部に位置し、八溝(やみぞ)山地を隔てて茨城県と接する那須烏山市。「那須」の名を冠しているため、那須高原や那須岳などのある県北部あたりをイメージしがちだが、市名は2005年に旧南那須町と旧烏山町が合併したことに基づく。 南北を流れ下る那珂川(なかがわ)やその支流が生み出した里山では、今も多くの民話が語り継がれ、後世へ伝える取り組みも始まっているという。うねうねと起伏に富んだこの里山を、縫うように走るのがJR烏山線だ。非電化路線ながらACCUM(アキュム=蓄電池駆動電車)が颯爽(さっそう)と走りゆく姿は、どこか気品すら漂っている。

アクセス

電車:JR・私鉄・地下鉄上野駅から東北新幹線・東北本線・烏山線で約2時間の烏山駅下車。

車:東北自動車道川口JCTから東北自動車道・北関東自動車道を利用し、宇都宮上三川ICまで約95km。同ICから那須烏山市中心部まで約36km。

2-7(ニーナナ)珈琲の丘

モーニング限定の大人の空間

小倉トーストモーニング珈琲セット 680円(下)と見た目も華やかな季節のマフィン 1個 490円~。

こぶし台ニュータウン内の自宅を、落ち着きあるシックな喫茶店に自ら改装。店内に静かに流れるジャズの調べが心地よい。自家焙煎珈琲400円、紅茶600円など単品メニューのほか、ドリンクにトースト、ゆで卵、ヨーグルトが付くモーニングセットはお得感たっぷり。毎朝焼く季節のマフィンは9時ごろから提供。

定年を機に、2014年モーニングカフェをオープンしたマスターの須永喜博さん。

2-7珈琲の丘(ニーナナ コーヒーのおか)
住所:栃木県那須烏山市小倉1086-12/営業時間:7:00~11:00LO/定休日:水・木と第1月・火(臨時休あり)

大金神社

途中下車して立ち寄るのもヨシ

参拝すれば大黒様の御利益で金運に恵まれること間違いなし?
本物の切符を模したユニークなデザインの大金切符御守。

縁起のよい駅名にちなみ、1993年、烏山線大金駅の駅舎脇に、管轄のJR東日本宇都宮地区が主体となり建立。祠内には御祭神の大国主命(おおくにぬしのみこと)(大黒天)が祀られている。大金駅前観光交流施設『ナスカラ市場』(☎0287-88-8585)では金運にあやかるべく、大金切符御守528円を販売中。

●参拝自由。栃木県那須烏山市大金152

大金(おおがね)吊り橋

左右非対称の珍しい形状をもつ

天を突く主塔は高さ21.5m。自動車やオートバイは通行できない。

市内をくねくねと蛇行しながら流れ下る荒川にかかる橋長97mの吊り橋。主塔が片側(左岸側)にしかない非対称形の橋梁形式で、世界的にも珍しい構造とされる。主塔の対岸(右岸側)には小ぶりな展望台が設置され、さらに下流に向けてウォーキングトレイル(遊歩道)も整備されている。

●栃木県那須烏山市岩子

龍門ふるさと民芸館

滝見物の特等席で一服したくなる

龍門の滝を真正面から一望する台地上に堂々と立つ。入館は無料。
チーズカレー(左)とあんこクリームチーズのベーグルは 各300円。ドリンクは青いミルク 350円。

開放的なテラス席や展望室から龍門の滝を見通す交流施設。館内には地元物産品を集めたコーナーやデジタル観光紹介スペースのほか、願い事が叶うとされる龍神様の姿も。併設の『龍門カフェ』で提供される青いミルク350円(下写真・奥)や滝カレー1000円、木~月限定販売のベーグル200円~も要チェックだ。

龍門ふるさと民芸館
住所:栃木県那須烏山市滝414/営業時間:9:00~16:00(カフェは10:00~15:00)/定休日:火(祝の場合は翌水)

龍門の滝

滝のすぐ上をACCUMが通り過ぎる

江川の流れが生んだ落差約20m、幅約65mの優美な滝。中段部分に男釜・女釜と呼ばれる縦穴があり、男釜には大蛇(龍神様)が棲(す)むとの伝説が名の由来に。滝壺近くまで下りられ、周辺には遊歩道も整備。背後にはJR烏山線が通っており、滝と列車を同時に見られる稀有な地でもある。

●栃木県那須烏山市滝

どうくつ酒蔵

限定販売のどうくつ熟成酒も入手可

高さ・幅とも広く、表面には手掘りの跡が生々しく残っている。

第二次世界大戦末期に建造された戦車製造用の地下工場跡を、嘉永2年(1849)創業の蔵元・島崎酒造が借り受け、日本酒の熟成用酒蔵として活用。総延長600m、平均気温10℃の洞窟内は外光から遮断され、ゆっくり熟成することでまろやかな味わいに。

●見学料200円。10:00~16:00、土・日・祝とGW・お盆期間のみ開放(1月を除く。その他は前日までに要予約)。栃木県那須烏山市神長字天神149
☎0287-83-1221(島崎酒造)

大吟醸酒をメッセージとともに5~20年預かるオーナーズボトル制度も人気。

山あげ会館

山あげ祭の歴史や様子を丁寧に解説

語り部のロボットが栃木なまりで山あげ祭の概要を紹介してくれる。

今から460年ほど前、烏山城主・那須資胤(すけたね)が疫病防除などを祈願したのが始まりとされる山あげ祭。7月第4土曜を含む金~日曜の3日間繰り広げられる夏の風物詩だ。館内ではユネスコ無形文化遺産にも認定された「烏山の山あげ行事」について、映像やミニチュア劇を通してわかりやすく解説している。

移動式野外歌舞伎舞踊が最大の見どころの山あげ祭。 (写真提供=那須烏山市商工観光課)。

山あげ会館
住所:栃木県那須烏山市金井2-5-26/営業時間:9:00~16:00最終入館/定休日:火(祝の場合は翌水)

純手打ちそば処 もり食堂

食べ応え十分の家庭的な田舎そば

野菜やこんにゃくなどがふんだんに入ったけんちん汁が付くけんちんそば 600円。

市街地からやや離れたのどかな地にある、素朴な風情の食事処。八溝地方に伝わる玄そばを使用し、駒板を使わない手駒乱切の田舎そばは、太くてボリュームたっぷり。もりそば、かけそば各500円。かつ丼650円などのご飯ものメニューも好評で、こちらを目当てに訪れる人も増加中とか。

左から順に店を切り盛りする大森秀男さん・恵美子さん夫妻と娘の美果さん・恵里果さん。

純手打ちそば処 もり食堂
住所:栃木県那須烏山市上境1778/営業時間:11:00~13:30LO(そばはなくなり次第終了)/定休日:火(祝の場合は翌平日)

和紙の里

厚紙の至宝・程村(ほどむら)紙の製造を間近に

楮の繊維を絡み合わせ、和紙を作る紙漉きの様子。

奈良時代から続く烏山和紙の伝統を今も守り続ける製造元。原料の那須楮(こうぞ)を煮る工程から乾燥まで1週間かかる地道な作業の様子を見学できる。紙漉(す)き体験は2名以上で2日前までに電話で予約を(先着順、はがき漉き1名2枚600円・紙漉き1名3枚1800円)。

漉きあげたばかりの和紙に模様付けを施していく。
アク抜きを終えた楮の皮に残った塵(ちり)や不良な繊維を流水の中で丁寧に取り除く作業もおろそかにできない(見学できる工程は当日の作業内容により異なる)。

和紙の里
住所:栃木県那須烏山市小原沢599/営業時間:9:00~17:30(体験は9:30~16:00最終受付)/定休日:火(祝の場合は営業、臨時休あり)

菓子工房SHIMADAYA

もちもちシューは予約がベター

思わず目移りしてしまうほど多彩な商品が店内に並ぶ。
しらつゆ(下)と1日100個限定で売り切れ必至のもちもちシュー。

地元で長く親しまれる和洋菓子店で品揃えも幅広い。しらつゆ1個90円は黄身餡にラムレーズンを練り込み、ホワイトチョコでコーティングしたひと口サイズの銘菓。カスタードと生クリームを求肥でくるんだもちもちシュー1個200円は、その名の通り、もっちりとした食感がつい癖になる(要冷蔵)。

菓子工房SHIMADAYA
住所:栃木県那須烏山市南1-7-7/営業時間:8:00~19:00(洋菓子販売は10:00から)/定休日:火(祝の場合は営業)

烏山城跡

遊歩道沿いの解説板にも注目

流れた歳月の長さを感じる、薄暗い木立に囲まれた正門西側石垣。

市中心部にほど近い丘陵一帯に築かれた連郭(れんかく)式の山城跡。応永25年(1418)那須氏一族により築城されたとされる(築城時期は諸説あり)。現在は遊歩道が整備され、一部は関東ふれあいの道にも指定。途中、山道のような箇所もあるため、訪れる際は散策に適した格好で。

●栃木県那須烏山市城山ほか

那珂川清流鉄道保存会

あふれる鉄道愛に圧倒されそう

かつて烏山線で使われていたキハ 40(右2両)も静態保存されている。

市北部にある斎場『八溝会館』の敷地内にぐるりとレールが敷かれ、現役を退いた100を超える鉄道車両が居並ぶ様子は圧巻のひと言。地元運送会社の社長が一代で集めた超レアな大型コレクションを一般にも開放した施設で、鉄道ファンならずとも一見の価値あり。コロナ禍による利用制限で、体験運転は現在見合わせ中。事前に連絡を入れたうえで訪れるようにしたい。

●1000円。10:00〜16:00、不定休。栃木県那須烏山市白久218-1
☎0287-83-8099

語り継がれる民話をアニメ化

画像は「桜観音」。 (提供=那須烏山市商工観光課)。

地域に伝わる全112話の民話を後世に残すべく、市が中心となりこれまで21話をアニメ化。このうち2020~21年作成の16話は、文星芸術大学ほか県内の学生が制作協力し、市内で活動する語り部がナレーションを担当している。YouTube「なすからチャンネル」や『龍門ふるさと民芸館』内のタブレットで視聴できる。

旅のワンポイント

バイパス沿いの看板「大金クジラ発見地」とは

1978年、大金バイパス工事中に見つかったクジラの化石。その大半は栃木県立博物館に所蔵されているが、発見地には今も看板だけが立つ。

JR烏山線に揺られて七福神巡り

大金駅の大黒天や烏山駅の毘沙門天など烏山線の7駅には駅神様として各七福神のイラストが描かれ、起点の宝積寺(ほうしゃくじ)駅には七福神が勢揃い!

取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2022年6月号より

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