<10年間、夫にご飯を作ってナイ>結婚11年目。平凡な家族。ただひとつ違うのは?【まんが】
そうこうしているうちに夫が帰宅します。
きっと周りから見れば、私たちはなんの変哲もない平凡な家族。ただひとつ、夫の食事を作らないまま10年経っていることを除いては。夫の食事を作らない以外は、いたって普通の生活をしています。家族揃って外食にだって行くし、休日は一緒に出かけたりもします。ただ「夫の食事を作らない」だけ……。
過去2人で決めたのに……罪悪感モヤモヤする日々
あの日、私は「食事を作らない」と決めたのです。夫もそれを承諾した。それなのに10年経った今、「このままでいい」と思う気持ちと「このままでいいの?」と思う気持ちとの間で揺れているのも事実。どこにも行き場のない気持ちに蓋をして、ただ現状を維持するだけしかできませんでした。
【友人目線】9歳の息子「パパは家でご飯食べない」
友人のチエが酔っぱらってしまいました。なんだか悩んでいるみたい。私(トモヨ)からすると、結婚生活も育児も順調そうなのに……なぜだろう……。酔っぱらったチエを家に送り届けると。
聞くと、タロウさんに「10年食事を作っていない」とのこと……。
「家で両親が一緒に食事をしない」この言葉を聞けば、普通は不仲をイメージするでしょう。しかしタロウさんもチエも、そんな風には見えません。何か根深い理由があるの……? 私はチエに詰め寄ります。するチエの口から語られてきたのは、10年前の出来事だったのでした。
【私目線】妊娠中、浮気が発覚。後悔しても、もう遅い……?
「10年間、夫に食事を作っていない」今まで家族以外には誰にも言ってこなかった事実。けれど本当は誰かに言ってしまいたかった事実。私は友人のトモヨに、重い口を開きました。
夫は何度も何度も必死に謝ってくれていましたが、私はなかなか気持ちが前向きになれませんでした。本当ならば今すぐにでも離婚したい。けれど……お腹に手を当てる度に自信がなくなっていったことを思い出します。トモヨは神妙な面持ちで私の話を聞いていました。
過去の約束。離婚しない、でも「ごめん無理……」
私はトモヨに当時のことを話し続けます。
これがあの日、私たちが交わした約束です。離婚はしないけれど、食事は作らない……。そうして私が夫に食事を作らないまま10年という月日が経ってしまったのでした。
子どものため、頑張ってきたつもり。けれど結果は
「それは本当にダイキくんのためなの?」というトモヨの言葉に、私は何も言い返せませんでした。息子が産まれて10年間、私たち家族は3人揃って食卓を囲むことはなかったのです。
息子が自宅で経験できてない「家族団らんの食卓」
トモヨの言葉のひとつひとつが私の心に突き刺さります。夫の浮気が発覚しても、息子のためだと思って離婚を選択しませんでした。息子から「父親」を奪いたくなかったから……。けれどその結果、私は息子から「家庭の食卓」を奪ってしまったのかもしれません。
【夫目線】「話があるの」妻の言葉に震えた夜……!
仕事帰り、夕食を済ませて帰るのが俺の日課になっている。今日は馴染みの食堂で。
話があると言われ、正直「ついに来たか」と思った。平和に過ぎ去っていく毎日だったけど、やっぱりチエは俺のことを許せてなかったんだ。でも食事のことだとわかって、俺はひどく安堵した。そして……。
俺には「謝ること」しかできない。チエの要望を聞き入れ、チエに寄り添い続けることで「家族」として受け入れてもらえるのであれば、そうする以外の選択肢はない。つくづく10年前の自分の行動に嫌気が差すが、すべて自分の蒔いた種なのだから受け入れていこうと思っていたのだ。
「家族」にはいろいろな形がある。上手くいかない時期もあれば、順調に進むときもあるだろう。過去の俺の浮気のせいで大幅な遠回りをしなくてはいけなくなってしまった。けれど「家族であり続けたい」と思う気持ちがあるのであれば、これからも俺はチエや息子にとって一番いい方法を探し続ける。自分の罪を背負いながら。