「依存症は治らない」は大きな誤解!? ギャンブルや薬物など実際の〈回復者〉たちが多数出演する衝撃作『アディクトを待ちながら』
「依存症」は他人事ではない
2024年を振り返ったとき、多くの人が「依存症」というワードを思い浮かべるのではないだろうか。某スポーツ選手の通訳が陥ったギャンブル依存症だけでなく、芸能人やアーティストの違法薬物所持がニュースを騒がせ、多くの未成年が一時の快楽を求めて市販薬を大量摂取したりと、あらゆる依存症が国内にまん延している。
そんな依存症を題材とした映画が、本日6月29日 (土) より公開となる『アディクトを待ちながら』だ。ギャンブル依存症だけでなく、アルコール依存症、薬物依存症、買い物依存症、ゲーム依存症など実際の依存症者(アディクト)も多数出演する本作はセンセーショナルなだけでなく、「依存症からの回復」というもう一つの<リアル>を真摯に描いている。
薬物依存症のミュージシャン、その心は今……
数々のヒット曲を持つ大物ミュージシャン、大和遼が覚醒剤と大麻の所持で逮捕された。
人々は驚き、落胆し、大きなニュースとなった。あれから2年。依存症患者らで結成されたゴスペルグループ「リカバリー」が、音楽ホールでコンサートを開こうとしていた。そのメンバーには大和の名前があった。
あの事件以来、沈黙を守ってきた大和がついにカムバックする。
出演の知らせを聞いたコアなファンが、続々と会場前に集まった。薬物、ギャンブル、アルコール、買い物、ゲームといった依存症者で構成される、依存症ゴスペルグループ「リカバリー」。
メンバーたちは互いに支え合い、スリップ(依存性の再発)することなく、コンサートにこぎつける。しかし、大和は開始時間を過ぎても現れない。
逃げたのか? それともスリップ?果たしてコンサートは開催できるのか――
高知東生ら“かつての依存症者”が多数出演
本作は、ギャンブル依存症者を家族に持つナカムラサヤカ監督と田中紀子プロデューサーがタッグを組んだ、初の長編映画作品。
主演の高知東生の他にも、橋爪遼、杉田あきひろ、塚本堅一ら違法薬物所持で逮捕された俳優たちと、実際の依存症者やその家族が多数出演。さらに、升毅、宍戸開、そしてパチンコ依存からの回復を公表している青木さやかなど、豪華俳優陣が脇を固めた。
また、ワークショップの公募によって出演者を決めた衝撃のラストシーンでは、リアリティを追求すべく、シナリオに無いサプライズの即興芝居を行なっている。”リアルなキャスティング”と、”生の役者の反応”を映した本作は、いま巷を賑わせている依存症という病に対する間違ったイメージへのアンチテーゼとして、映画界のみならず波紋を呼ぶ内容となっている。
「依存症は一生治らない」という誤解
「依存症は一生治らない」――日本人の大多数はそう思っているだろう。政府やメディアが作り上げたイメージによって、多くの人が依存症を克服している事実を知らないからだ。
主演の高知東生をはじめ、この映画には実際の回復を続けている依存症者、またはその家族を多数起用。リカバリー・カルチャーの重要な要素の一つである、チームが一丸となって病に立ち向かう姿は、さながら撮影隊が映画に臨む姿勢とオーバーラップする。スリリングなラストの即興芝居は、依存症の苦難を本当に経験したキャスト陣による映画への挑戦と言えるだろう。
やめ続ける人、そして待ち続ける人々の生き様を丁寧に描いた『アディクトを待ちながら』は、2024年6月29日 (土) より新宿 Kʼs cinema ほか全国順次公開中