「ポテトサラダVSチキンサラダ」どちらが血糖値を上げないのか。糖尿病専門ドクターが検証
糖尿病内科医の山村 聡さんは、自身のYouTubeで血糖値に関する情報を発信し、多くの反響を呼んでいます。書籍『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』(KADOKAWA)は、YouTubeで特に人気のあったテーマを厳選し、さらに動画では伝えきれなかった情報や、本書だけの新しい内容を盛り込んだ1冊です。「これを食べたら、血糖値はどれくらい上がる?」この切実な問いに答えるため、著者が実際に食べ、血糖値の変化を検証。具体的なデータと、血糖値を上げにくい食品の選び方、食事の工夫をわかりやすく解説しています。今回はこの本の中から、誤解している方が多い「血糖値を上げにくい食べ物」についての比較・検証をご紹介します。
※本記事は山村 聡(著)による書籍『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』から一部抜粋・編集しました。
【ポテトサラダVS.チキンサラダ】ベジファーストは身体にいいんじゃなかったの?
【初期値】
ポテトサラダ:107mg/dL
チキンサラダ:108mg/dL
↓(ポテトサラダ:60分後)
【最大値】
ポテトサラダ:143mg/dL
チキンサラダ:116mg/dLだがピークなし、横ばい
【上昇幅】
ポテトサラダ:36mg/dL
チキンサラダ:ピークなし、横ばい
ポテトサラダ:エネルギー237kcal 炭水化物27.2g
チキンサラダ:エネルギー190kcal 炭水化物2.4g
ベジファーストとして、食事の前に野菜をとることで、その後の血糖値の上昇を抑えることができる。そうお話ししてきました。
ベジファーストのよくある間違いが、ベジファーストにいいだろうと、ポテトサラダを選んでしまうこと。
実は、ポテトサラダは、ベジファーストにはあまりすすめられないメニューなのです。
そこで、その理由をお話しする目的もあり、ポテトサラダとチキンサラダの検証を行ってみました。
まずは、ポテトサラダです。
初期値が107mg/dLで、食後、血糖値はすいすい上昇し、60分後にピーク。143mg/dLまで上がりました。上昇幅は36mg/dLです。
一方、チキンサラダは初期値が108mg/dL。そこから血糖値はほぼ上がらないままでした。
チキンサラダは、ほとんどまったく血糖値が上がらなかったのに対して、ポテトサラダは30~40mg/dLくらいは血糖値が上がってしまっています。
こうした結果は、ポテトサラダとチキンサラダに含まれる炭水化物(=糖質)の量によって決まってきます。
チキンサラダに含まれている炭水化物の量は2・4g(そのうち糖質は1・4g)です。これだけ糖質が少ないと、血糖値は上がりようがありません。
ポテトサラダには、27・2gの炭水化物(糖質24・4g)が含まれています。この含有量の差が、グラフの違いとして如実に現れてきました。
ベジファーストとして、ポテトサラダを食べているという人が、意外といらっしゃいます。ポテトサラダと「サラダ」がつけられているせいで、なんとなく身体にいいようなイメージがあるのかもしれません。サラダを食べて、野菜不足を補えるようなイメージも......。
しかし、今回の検証結果からもわかるように、ポテトサラダ自体が血糖値を引き上げてしまうため、ベジファーストには向いていないのです。
そもそもポテトは、米や小麦、イモ、トウモロコシといった食材と同様に、世界で主食として食べられてきたものです。「こうした食材はしっかり血糖値を引き上げてしまいますよ」とお話しするようにしています。
また、お昼などに、ポテトサラダとおにぎりを食べている人もいらっしゃるでしょう。野菜不足をカバーしようと、ポテトサラダを添えても、残念ながらポテトでは野菜不足は補えません。
それに、おにぎり+ポテトサラダは、「炭水化物+炭水化物」の食事になっているわけで、血糖値が気になるかたにはすすめられない組み合わせなのです。
改めていうまでもありませんが、ベジファーストして活用するなら、血糖値の上昇がほとんど起こらない、チキンサラダがおすすめということになります。
結論
・ポテトサラダは血糖値を上げてしまうため、ベジファーストには使えない
・ポテトサラダで野菜不足は補えない