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記憶と記録をいつまでも『静岡鉄道駿遠線を歩く』に学ぶ自費出版の魅力【週末は書店に行こう!】

アットエス


こんにちは。静岡新聞社出版部の営業担当、アッキーこと秋田です。静岡県内の書店をめぐり、話題のお店、注目イベント、書店員さんのイチオシ本などを紹介するコーナー「週末は書店へ行こう!」です。

皆さん、静岡鉄道駿遠線という軽便鉄道をご存じですか?軽便鉄道とは、まだ自家用車が普及する前、明治から昭和40年代にかけて地域の人々の足として活躍した小規模な鉄道のこと。

静岡鉄道駿遠線は、静岡県藤枝市の大手駅から新藤枝駅(現在のJR藤枝駅付近)を経由し、袋井市までを結んでいました。全長は、軽便鉄道としては日本最長規模の64.6km。1964年に区間廃止が始まり、1970年全線廃止になりました。

私も母の実家が駿遠線の沿線にあり、子供の頃に気動車が走っている姿を見たかすかな記憶が残っています。

始発の大手駅には車両の車庫もありました。大手駅跡地は現在、戸田書店藤枝東店となっています。

今回は、駿遠線にゆかりのある本屋さんと駿遠線の記録を自費出版で本として残し続けている御前崎市在住の阿形昭さんにお話をお聞きしました。

はじめに訪れたのは、駿遠線大手駅の跡地にある戸田書店藤枝東店。坂井健一郎店長にお話を伺いました。

戸田書店藤枝東店の店長 坂井健一郎さん
戸田書店藤枝東店

坂井店長の出身は静岡市ですが、駿遠線やこの場所にかつて大手駅があったこともよく知っており、非常に興味を持っていたそうです。

阿形昭さんの著書『静岡鉄道駿遠線を歩く 地図でたどる日本一の軽便鉄道』は、当時の貴重な鉄道や沿線の写真と、現在の廃線跡の写真を数多く使用して全線をくまなく紹介した「歩く旅」ガイド本です。2023年に自費出版で初版が発売され、大好評のため、自費出版では異例ともいえる重版となりました。

『静岡鉄道駿遠線を歩く』著者 阿形昭さん

この本は、身近な場所で「歩く旅」を楽しむ若い世代から、当時を懐かしむ世代まで、非常に幅広い層に購入されています。中にはお孫さんを連れて買いにきたお客様もいらっしゃったそうで、地元本では藤枝東店イチオシだそうです。

『静岡鉄道駿遠線を歩く』の著者阿形昭さんに聞く、出版への想い

その『静岡鉄道駿遠線を歩く』の著者である阿形昭さんにお話を伺いました。

阿形昭さんは、『軽便の思い出 日本一の軽便鉄道・静岡鉄道駿遠線』(2005年4月発行)、『写真でつづる静岡鉄道駿遠線』(2006年9月発行)、『歴史に残す静岡鉄道駿遠線』(2015年3月発行)、『静岡鉄道駿遠線を歩く』(2023年12月発行)など多数自費出版されています。

これらの著書には、当時の列車や沿線の写真をはじめ、実際に使用されていた用具や切符、時刻表や列車設計図など貴重な資料写真も多く、当時の列車の運行表や昭和43年に録音した列車走行音のCDなどの付録もありました。駿遠線の歴史や沿線をいつまでも記憶の中に残したいという阿形さんの強い思いを感じました。

阿形さんに駿遠線の魅力や自費で本を出版したきっかけを伺うと、「自分が親しんだ軽便(静岡鉄道駿遠線)を良き思い出として本に残したかった」とお話ししてくださいました。

小学校の教師をされていた阿形さんは、まずは保護者のみなさんから軽便の想い出話や写真を募集したそうです。こうして50話の思い出話や写真が集まりました。

『軽便の思い出』の冊子

集まった話や写真を手づくりの冊子にまとめましたが冊子を作るうちに書籍で残したいという気持ちが強まりました。こうしてできたのが2005年に発行した『軽便の思い出 日本一の軽便鉄道・静岡鉄道駿遠線』です。

阿形さんがはじめて自費出版された『軽便の思い出』
走行中はドアが開いていたことも 『静岡鉄道駿遠線を歩く』より

当時のドアは手動だったため、走行中にドアが開いたり、逆に停車するとドアが閉まったりしていたそう。また、暑い日はドアを開けたまま走行したりと今では味わうことができない当時の様子がわかります。

『軽便の思い出』の発行後、沿線の風景や当時駿遠線を走っていた車両の写真がもっとみたいとの読者の要望があり、今度は写真を一般募集したところ沢山の写真が集まりました。写真の提供者の中には、東京の方も多かったそうです。当時も静岡県内のみならず、軽便鉄道や駿遠線の人気が高かったことがわかります。

こうして『写真でつづる静岡鉄道駿遠線』や『歴史に残す静岡鉄道駿遠線』ができました。これら写真集には当時駿遠線を走行していた独特なデザインの機関車や気動車が数多く写っていました。その中には、人気があり、活躍した機関車がありました。

DB60型機関車です。小型蒸気機関車を改造したディーゼル機関車ですが、機関車の独特な形状や、前進しかできないことから「蒙古の戦車」や「イノシシ機関車」という愛称がついたそうです。『写真でつづる静岡鉄道駿遠線』や『歴史に残す静岡鉄道駿遠線 日本一の軽便鉄道』では、客車を引っ張って大井川を渡る「蒙古の戦車」の姿が見れます。

大井川を渡る「蒙古の戦車」の愛称で親しまれたDB60型機関車 『写真でつづる静岡鉄道駿遠線』より
『歴史に残す 静岡鉄道駿遠線』より

他にも阿形さんの本にはさまざまな車両が登場しています。中には廃線後に漁船のエンジンとして再出発した車両があったというお話など興味深いエピソードも数多く聞くことができました。

また、1950年代に最新鋭の車両として登場した湘南顔といわれたイケメン気動車「キハD18型」の給油中の姿は、貴重な写真です。そのほか各駅の風景や大井川、菊川、萩間川の各橋梁、駿遠線唯一の遠州相良にある小堤山トンネルなど、今では見かけることができない風景が阿形さんの本の中にはありました。

相良で給油中のキハD18 『歴史に残す静岡鉄道駿遠線』より

このようなふるさとの記憶をいつまでも記録で残したいものです。

皆さんも今ではみられない光景や記録や想いを本で残しませんか?

静岡新聞社出版部では、3月に静岡市と浜松市で「春の自費出版相談会」を開催します。

本を作りたい、自費出版してみたいという方は、お気軽にご参加ください。事前予約制です。お電話またはWEBから日時のご予約をお願いします。

静岡新聞社 春の自費出版相談会

<JR静岡駅ビル パルシェ7階会議室>
3月12日(木曜日)午後1時30分~午後5時30分
3月14日(土曜日)午前10時~午後5時30分

<浜松プレスタワー 15階会議室>
3月18日(水曜日)午前10時〜午後7時30分

静岡新聞社出版部 054-284-1666
申込フォームはこちら

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