この「まこつくん」だからこそ、煌は心を開きたくなったんだろうな――アニメーション映画『君と花火と約束と』夏目誠役・佐藤勝利さん(timelesz)&葉山煌役・原菜乃華さんインタビュー
真戸香先生の小説(小学館「ガガガ文庫」刊)を原作とするアニメーション映画『君と花火と約束と』が2026年7月17日(金)より絶賛上映中。
新潟県・長岡を舞台とし、“一枚の絵”が夏目誠と葉山煌を繋ぐ、時を越えた儚くも切ないラブストーリーが描かれている本作。
本作の公開に先駆けて、夏目誠役・佐藤勝利さん(timelesz)&葉山煌役・原菜乃華さんのインタビューをお届けします。物語の主軸となる「長岡花火」やお互いのお芝居の印象、また物語にちなんだ「昔の自分にメッセージを送るとするなら?」という質問まで、たくさんの話題を伺いました。
【写真】アニメ映画『君と花火と約束と』佐藤勝利&原菜乃華インタビュー
作品の舞台・長岡の花火をいつか見てみたい
ーー『君と花火と約束と』は長岡花火や長岡空襲がストーリーの重要な鍵を握る作品だと思います。そこで新潟県・長岡にまつわるエピソードや制作過程で一番印象に残ったことをお聞かせください。
夏目誠役・佐藤勝利さん(以下、佐藤):長岡には実際に行ったことはないんですけど、もちろん「長岡花火」は知っていて、いつか行ってみたいなと思っていました。
ただ、新幹線やホテルの予約が大変で、そもそもなかなか長岡にはたどり着けないくらい人気だと聞いていたので、「人生に少し余裕ができたら行きたいな」と思っていた場所です。新潟自体にはライブで行ったことがありますが、長岡には行ったことがないので「長岡まつり大花火大会」はいつかぜひ見てみたいですね。
制作過程については、声優のお仕事自体が初めてだったので、全てが印象的でした。まず台本の持ち方とか、本当にそういう基礎から教えていただいて。いろいろなことを学べて、とても楽しかったです。
ーー難しかった部分はありましたか?
佐藤:何もかも初めてだったので、アニメーションの世界の中での自然なお芝居の塩梅を掴むのが難しかったなと。初挑戦ということで、本番前に練習の機会を2回ほどいただいたんです。そこでだいぶ指導していただいて、“いろは”というか、たくさんのことを得た上で本番に臨めたので、良い作品になっていたら嬉しいです。
ーー原さんはいかがでしょうか?
葉山煌役・原菜乃華さん(以下、原):私も長岡には行ったことがなくて、新潟もお仕事で少しだけ行ったことはあるのですが、ゆっくり観光できたことがないんですよね。
長岡花火の存在はもちろん知っていましたが、今回のお話をいただいて、初めてYouTubeで花火の映像を見たときに、「画面越しでもこんなに感動するんだ!」というくらい、私が今まで見たことのない規模の花火大会だと感じました。
この花火を毎年現地で見ることができる新潟の皆さんが、すごく羨ましいという気持ちにもなりましたし、それと同時に、花火に込められた想いや長岡花火の歴史についても改めて勉強させていただきました。こんなにも先人たちの想いが詰まったものなんだということを作品に触れるまで知らなかったので、この映画を通して私のように、同年代の方や若い世代の方にも広く伝わっていったらいいなと強く思います。
「この誠だからこそ煌は心を開きたくなった」
ーー先ほど、佐藤さんが「アニメーション映画は初挑戦」とおっしゃっていましたが、今回は佐藤さんが初めてで、原さんは3回目の声優のお仕事かと思います。それぞれ、キャラクターに声を吹き込んでみた感想をお聞かせください。
佐藤:誠自身は少し影のある役ではあるんですけど、高校生らしいニュアンスをどのくらいのバランスで表現するのがいいのかは、現場に入ってから皆さんと相談しながら、悩みつつ作っていきました。それができたのも、僕がアフレコをする時点で、すでに原さんの煌のお芝居が入っている状態だったから。煌の声に引っ張っていただきながら演じることができました。原先輩、煌先輩です(笑)。
原:そんな……!
ーーアフレコは別々だったんですね。
原:お会いするのは今日が2回目なんです。
ーーそうだったんですね!原さんは3度目のアニメ出演になりますが、演じてみていかがでしたか?
原:煌はすごく明るさの中に影がある役だなと思っていて、みんなの前にいる時の煌と、まこつくん(誠)と二人でいる時の煌では少し違う表情があるんです。
まこつくんにしか見せられない顔があるというところが、煌の強さの中にある儚さや魅力に繋がっているのかなと思うので、そのギャップを大切にしながら演じていました。
ーー誠と煌の掛け合いやお互いの声のお芝居についてのご感想もお聞かせください。
佐藤:原さんの声は本当に煌ちゃんの声そのものだなと思いました。凛としていて、まっすぐ立っているような芯のある声なんですけど。切ないことや悲しいことを言っているわけではなくても、どこか儚さがあるなと思っています。それがすごく素敵だなと思いましたし……。
原:やったー!!(笑)。
一同:(笑)。
原:私は本当に「まこつくんの声だ!」と思いました。
不器用ながらに、まっすぐ煌に想いを伝えようとする優しさや温かさが、佐藤さんの声にすごく感情として乗ってらっしゃって、なんの違和感もなく、まこつくんが考えていることや心情の変化みたいなものが伝わってきました。「このまこつくんだからこそ、煌は心を開きたくなったんだろうな」と感じられる表現ばかりでした。
アフレコ自体は別々だったのですが、完成した作品を見た時は、とても感動しましたね。
ーー改めてお二人に俳優としてのお芝居と声優としてのお芝居ではどのような違いがあったのかを教えていただければと思います。
佐藤:僕たちができることは声の情報だけなんですよね。なので、どれだけ声だけで気持ちを届けられるのか、というところが俳優とは違うのかなと思いました。
この作品に関しては、ほとんど絵が完成している状態で収録していたので、目線やキャラクターの動き、表情といったお芝居はすでに絵の中で表現されていました。
自分は実際にその動きをしているわけではないけれど、映像ではそうなっているから、それを見て、「このシーンはどういうシーンなのかな?」と考えて演じるところが、普段のお芝居との大きな違いだったと思います。
原:今回で声のお仕事は3回目になりますが、毎回マイクの前に立つたびに、「声優さんって本当にすごい!」と思いますね。声だけに表現を集中させるというのは、普段は実体を使ってお芝居をしていると難しいことだらけで。
身体が使えない環境では、気持ちだけではどうにもいかないところが多いというか。どうすれば観ている方に声だけで気持ちを100%届けられるのかというところは、アフレコ中も勉強の日々でしたし、「声優さんって本当にすごいな」と思いながら収録していました。
物語にちなんで、お二人が昔の自分にメッセージを送るとするなら
ーーお二人はそれぞれ、アニメやお料理がお好きだったりと、いわゆる“オタク気質”な一面があるのかなと思います。
原:佐藤さんがオタクというのは、今初めて知りました(笑)。
佐藤:今日で会って2日目ですからね(笑)。
でも確かに、いろいろなものにのめり込むタイプですね。料理もそうですし、「オタク」と言えるほどの趣味は料理かもしれないです。
分析もしちゃいますし、何回か試してみて、「この時の分量のほうが良かったかな」とか考えたりします。あとは料理から異国の文化に興味を持って「なんでこれが生まれたんだろう」とか、そういうところまで知りたくなるタイプです。
ーー原さんはいかがですか?
原:私はアニメーションが好きです。「オタクです!」と胸を張って言えるほどではないんですけど……。
私がアニメーションにハマったきっかけは、実写作品や邦画ももちろん大好きなんですけど、どうしても勉強という目線で見てしまうので、純粋に娯楽として物語を摂取したいと思った時に、自分の中で一番ピンときたのがアニメーションだったんです。
原:私は本当に、人からおすすめされた作品を順番に見ていくタイプで、グッズも買っちゃいます(笑)。
家にはアクリルスタンドがたくさんあって、いわゆる「推し棚」があるんです。でも、もういっぱいになってしまったので、一軍だけ選抜して、あとは実家に送っています。
佐藤:そうだったんだ。僕もキッチンツールとかは集めたいタイプですね。
ーーこの作品は、誠が「自分は何をやりたいのか」を徐々に見つけていく物語でもあると思います。お二人ご自身も、これまでに気持ちの面で世界の見え方が変わった瞬間があれば教えてください。また誠のように発展途中の昔の自分にメッセージを送るとするならどんな言葉を掛けますか?
佐藤:僕は事務所に入る時のオーディションですね。それまでは、正直あまり行きたくなかったんです。でも、会場に入って、同世代のオーディション生を見た瞬間にスイッチが入りました。「負けたくない」という気持ちだけで16年くらいやっています。
その時に経験したことには全部理由があると思っていますし、その大事な要素があっての今の自分がいるので。過去の自分に何も言わない方が良いかなと思いつつも、「頑張れ」って言いますね。
原:私は、進学するのかしないのか、そのタイミングで進学をせずにお芝居の道で「退路を断って頑張ろう!」と思った時が一つの区切りなのかなと思っています。
私もポジティブな気持ちよりもネガティブな気持ちのほうが燃料になるなと思うので、上手くいかないことや、くすぶっている気持ち、10代特有の「負けたくない」というトゲトゲした気持ちも、全部最高に良い原動力になると思っています。なので、昔の自分には「そのままで合ってるよ」「苦しいかもしれないけど、それで正解だからね」と言ってあげたいです。
ーー最後に、皆さんにメッセージをお願いします。
佐藤:先ほど長岡の方から作品について「石畳や街並みなど、いろいろなところが本当にリアルだった」と教えていただきました。
タイトルにも「花火」と入っているくらいなので、花火のシーンは大切に描かれています。先ほど伺ったのですが、双子の花火はCGではなく手描きなんだそうです。音の表現も、実際の花火は少し遅れて音が聞こえるようなリアルさを、映画ではどう表現するか工夫しながら作られたと伺いました。
花火のリアルさと、アニメーションならではの華やかさ、その両方を楽しんでいただけたらと思います。
原:本当に長岡花火の魅力が存分に描かれている作品なんじゃないかなと思いますし、全国に長岡花火の迫力や素晴らしさが伝わるような作品になっていると思います。ぜひ何度でも劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。
[取材・文/笹本千尋 撮影・編集/小川賢人]