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肩で魅せ、バットで魅せた古田敦也【思い出のオールスター⑪ヤクルト編】

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東京ヤクルトスワローズ時代の古田敦也ⒸYoshihiro KOIKE

1991年に「肩」でMVP

2020年のプロ野球オールスターの中止が決まった。文字通りスター選手が一堂に会する機会がなくなるのは寂しい限りだ。そこで過去のオールスターを振り返ってみたい。

1990年代、ヤクルトは黄金時代を築いていた。関根潤三監督から野村克也監督へ変わり、「ID野球」を提唱。その結果、4度のリーグ優勝と3度の日本一を成し遂げたヤクルトは、プロ野球界の中心的存在だったと言っても過言ではない。その中でも、打撃、守備、そしてリーダーシップに優れた捕手としてチームを引っ張っていたのが古田敦也だった。

プロ入り2年目の1991年。オールスター第1戦でスタメンマスクをかぶった古田は、松永浩美(阪急)、白井一幸(日本ハム)、秋山幸二(西武)が仕掛けた盗塁をすべて刺した。いずれも足には自信があり、30盗塁以上の記録を持つ選手ばかり。秋山に至っては、前年の1990年に51盗塁で盗塁王にも輝いていた。そんな快足自慢の猛者たちに盗塁を許さなかったことでMVPを受賞。打撃ではなく、肩が評価されたのだ。

2018年の日本シリーズでは、甲斐拓也が「甲斐キャノン」と称される肩でMVPを受賞したが、その27年前には、舞台は違えど古田敦也が強肩でMVPを受賞していたのである。

奇しくも、この年のオールスターゲーム開催時に古田は25歳、甲斐も2018年の日本シリーズ開催時は25歳だった。

1992年はサイクル安打でMVP

前年に肩でMVPを受賞した古田は、翌1992年にもオールスターゲームに出場している。ルーキーイヤーから3年連続での出場だ。

第2戦で「1番・捕手」としてスタメン出場すると、第1打席で三塁打、第2打席で安打、第3打席で本塁打を放ち、サイクル安打にリーチをかけた。第4打席こそ凡退だったが、第5打席で二塁打を放ち、オールスターゲーム史上初の偉業を達成。前年の「肩」ではなく「打撃」でMVPを受賞した。

「打てる捕手」の不在が叫ばれている近年のプロ野球。肩、そして打撃でオールスターのMVPを連続で受賞するような選手は、当面現れないのではないだろうか。古田敦也という選手が、いかに飛び抜けた能力の持ち主だったかを物語っている。

波紋を呼んだ代打・高津

ヤクルトの黄金時代を守護神として支えた高津臣吾(現監督)。彼もまた、オールスターゲームで話題となった1人だ。

1996年のオールスターゲーム第2戦、夢の球宴ならではの出来事だった。パ・リーグを率いる仰木彬監督が、松井秀喜の打席でイチロー(オリックス)をマウンドへ送った。7対3でパ・リーグがリードしていた9回表2死無走者、勝敗には影響のない場面だった。

「イチロー対松井」という夢の対決を見たいファンは多かったかも知れない。しかし、セ・リーグを率いる野村克也監督はそれを許さず、松井の代打として、松井がプロ初本塁打を放った時の投手である高津を起用した。

その高津は遊ゴロに倒れ凡退。野村、仰木両監督の価値観の違いからすれ違いが起こり、後味の悪いゲームセットとなってしまった。ちなみに高津は第3戦で本職の投手として出場し、1回無失点の投球を見せている。

古田と高津。彼らがいなければ黄金時代にはなり得なかったであろう1990年代のヤクルト。そんな2人はシーズンだけでなく、オールスターゲームでも歴史に名を刻んでいた。

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記事:勝田聡

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