PANAMレーベル55周年!鈴木茂のボサノバをGOOD BYE APRIL with 南佳孝がカバー
PANAMレーベル55周年記念リメイクカバー「LADY PINK PANTHER」
PANAM(パナム)とは、日本クラウンのポップス系レーベル。今年、設立55周年を記念して、PANAMが送り出してきた珠玉の名曲をリメイクカバーする企画『PANAM 55/100 SUPER SONG COVERS』が展開されている。その第2弾として配信されたのが、GOOD BYE APRIL with 南佳孝による「LADY PINK PANTHER」だ。
PANAMレーベルは1970年に発足。南こうせつとかぐや姫、イルカ、風といったフォーク系アーティストの作品を発売、その後は、ティン・パン・アレーも所属し、細野晴臣の『トロピカル・ダンディー』『泰安洋行』、鈴木茂『BAND WAGON』、松任谷正隆『夜の旅人』といった、ジャパニーズポップスの名盤を続々とリリースしていた。
そして、2011年に結成されたGOOD BYE APRILは、2023年にPANAMからメジャーデビューしている。もともと1970〜80年代のシティポップのエッセンスを受け継ぎ、オリジナルに敬意を表したカバー曲も、現代的な解釈を織り交ぜて表現することで定評があるバンドだ。今年(2025年)6月には丸の内コットンクラブで伊藤銀次との共演を果たし、7月には大滝詠一の「Velvet Motel」、ブレッド&バターの「ピンク・シャドウ」のカバーを8cmCDでリリースするなど、精力的に活動を続けている。
今回のカバー曲「LADY PINK PANTHER」は、鈴木茂が1976年に発表したナンバー。ゲストボーカルにシティポップのレジェンド的存在である南佳孝を迎え、往年の名曲に新たな息吹をもたらしている。
オリジナルは、鈴木茂のラテン〜ボサノバ路線の原点
オリジナルの「LADY PINK PANTHER」についても、ここで触れておきたい。作者である鈴木茂によれば、この曲が収録されているアルバム『LAGOON』を制作したのはトロピカルリゾート路線が注目を集め始めていた時期で、このように語っている。
「細野(晴臣)さんはとっくにその世界だったし、高中正義くんがトロピカルな路線のアルバム『セイシェルズ』でソロ・デビューしたのもこの頃だったね」
「ちょうどボサノヴァとかポール・サイモンとか、ソフトな音楽ばかり聴いていたので、このアルバムはハワイで録音することにした」
演奏メンバーは、鈴木のギター&ボーカルに加えてベースに細野晴臣、ドラムス林立夫、パーカッション浜口茂外也、ピアノにマーク・レヴィン、スピネット(小型のチェンバロ)にジョン山崎、そしてコーラスとハーモニカでブレッド&バターの岩沢幸矢といった面々。作詞は、前作『BAND WAGON』に続いて松本隆が手がけているが、「LADY PINK PANTHER」について、鈴木はこう語っている。
「最初のうちは彼(松本)の好きなように詞を書いてもらっていたけど、そのうち "何かのきっかけが欲しい" ということになって、映画の話をするようになった。それで『ピンク・パンサー』の話をしたら、出来上がったのが『LADY PINK PANTHER』だった。あの頃、相当な数の詞を書いていたから、松本さんの心の中から言葉を引っ張り出すのが難しくなっていたのかもね」
こういった鈴木茂のラテン〜ボサノバ路線の原点は、1975年に発表された「ソバカスのある少女」である。ティン・パン・アレーのアルバム『キャラメル・ママ』に収録されたナンバーで、そう、この曲でゲストボーカルを務めているのが南佳孝なのだ。ここでのボサノバへのアプローチが、翌年の「LADY PINK PANTHER」、そして『LAGOON』で本格化したと見ていいだろう。
50年の時を経たGOOD BYE APRIL with 南佳孝のバージョン
南佳孝はラテン、ボサノバ、ブラジリアンといった音楽を巧みに自作に落とし込んでいたアーティストだったため、鈴木が旧知の南にボーカルを依頼した経緯がある。そんな流れもあって、50年の時を経た今、GOOD BYE APRILが「LADY PINK PANTHER」で南佳孝を召喚したのも、これまた当然のことなのだ。
GOOD BYE APRIL with 南佳孝のバージョンは、メンバー全員が “せーの" で一発録りしたそうで、倉品翔と南佳孝のソフトでセクシーなボーカルの絡みが美しい。演奏は吉田卓史(ギター)、延本文音(ベース)、つのけん(ドラム)といったバンドメンバーに加え、フェンダー・ローズの音色は、同バンドのサポートでお馴染みのはらかなこ。パーカッションに田中倫明、ナイロンストリングスとギターで佐橋佳幸、アコーディオンとマリンバでDr.kyOnが加わり、原曲の間奏で聴こえるハーモニカを、アコーディオンの音色に変え、ノスタルジックな雰囲気を演出しているあたりにセンスの良さを感じさせる。
南佳孝は今回の共演にあたり、“若い人たちと仕事をするのは楽しい” “低域の音程を取るのはあまり得意ではないけどこんな機会がなかったらチャレンジすることもなかった” と喜びを語っている。そして、南佳孝の傑作メロウチューン「プールサイド」をGOOD BYE APRILでカバーしているほどファンだという倉品翔は、“本気のボサは15年目の今だからできたカバーだと思います” と語り、一発録りの “空気感ごとお楽しみください” とそのレコーディングを振り返っている。
今回のレコーディングの模様を切り取ったミュージックビデオもYouTubeで公開されているので、こちらも併せて楽しんでほしい。