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東京都品川区「五反田駅」周辺は安心して暮らせる?治安や災害情報をまとめました

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五反田って、住むにはちょっと不安?そのようなイメージを持っている人にこそ読んでほしい、五反田駅周辺の治安と災害リスク、そして今後の市街地再開発により変わりゆく街の姿をご紹介します。

五反田駅周辺の基本情報

JR五反田駅西側(2025年3月下旬撮影)

JR五反田駅(ごたんだえき)は、東京都品川区の北部に位置し、JR山手線や東急電鉄池上線、都営地下鉄浅草線の3線を利用できるため交通利便性の高い駅です。駅周辺には、「アトレ五反田1」「アトレ五反田2」「五反田東急スクエア」や「五反田JPビルディング」などの大型商業施設をはじめ、魅力的な飲食店や物販店舗が数多く立地しています。

JR五反田駅東側。アトレ五反田(2025年3月下旬撮影)

五反田を知る人の中には、歓楽街や高級住宅街というワードを思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。

確かに、現在も五反田駅東口には都内有数の歓楽街が形成されています。さらに、駅から少し離れた池田山公園や清泉女子大学の周辺には高級住宅街が広がっています。

一方、近年は五反田駅から大崎駅周辺にかけて段階的に再開発が行われています。IT系のスタートアップ企業を中心に大小さまざまな企業が立地しているほか、分譲マンションも多く供給されており、住商業混在の職住近接型の街並みが形成されつつあります。

また、五反田駅の南側を流れる目黒川沿いに親水空間が広がっており、春には桜の名所にもなっているなど、観光客を含めて、休日・平日問わず多くの人々でにぎわいを見せているのも五反田の特徴です。

五反田駅周辺の治安

五反田駅周辺の犯罪発生件数

品川区町丁別の犯罪認知件数 ※出典:警視庁、2024年、「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」

上図は、警視庁が毎年公表している町丁別の犯罪認知件数のうち、2024年に認知した件数を地図上の表示したものです。ご覧いただくと、品川区内で最も犯罪人件数が多いのは、赤色で示される「大井一丁目(143件)」となっています。続けて、「大崎一丁目(120件)」、「南大井六丁目(99件)」、「東五反田一丁目(92件)」となります。

五反田駅の東口に広がる歓楽街は、東五反田一丁目に該当しますが、当該一丁目の犯罪認知件数では全体で92件とされ、区全体の認知件数である2,240件の約4.1%を占めます。

この傾向から見て取れるように、駅利用者数が多い大崎や五反田、大井町周辺では、犯罪認知件数が多いことが分かります。一方、高級住宅地の街区が広がる東五反田三・四・五丁目については、全体的に認知件数が少ないことが見てとれます。なお、あくまでも認知件数のため、警察が認知できていない件数は統計化されておらず、実際の発生件数ではないことに注意が必要です。続いて、犯罪の種類から、五反田駅周辺と品川区全体とを比較していきます。

品川区・五反田駅周辺(東五反田一・二丁目、西五反田一丁目、大崎五丁目)における罪種別犯罪認知件数 ※出典:警視庁、2024年、「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」

上図は、2024年の1年間における犯罪認知件数のうち、左のグラフが五反田駅周辺(駅周辺:東五反田一・二丁目、西五反田一丁目、大崎五丁目に設定)での認知件数、右のグラフが品川区全体の認知件数を表しています。品川区全体、五反田駅周辺ともに、刑法犯認件数に占める「自転車窃盗」「万引き」「詐欺」などの認知の割合が多いことが見てとれます。また、五反田駅周辺では、区全体に比べて「暴行」や「傷害」の割合が若干多いです。おそらく、歓楽街があることによる影響ではと想定されます。

続いて、過去5年間の認知件数の推移を見ていきます。

過去5年間における五反田駅周辺(東五反田一・二丁目、西五反田一丁目、大崎五丁目)の犯罪認知件数の推移 ※出典:警視庁、2020〜2024年、「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」

過去5年間の犯罪認知件数をみると、品川区全体および五反田駅周辺では、2020年から2021年かけて一旦減少したものの、2021年からは増加傾向にあります。また、区全体の認知件数に占める五反田駅周辺の割合は2021年に約7.2%(2021年)でしたが、2024年には約8.3%と、微増傾向にあります。

最後に、人口1万人あたりの犯罪認知件数を見ていきます。

東京23区内における人口1万人あたりの犯罪認知件数ランキング ※出典 犯罪認知件数:警視庁、2024年、「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」。常住人口:東京都統計2024年1月現在。昼間人口:2022年国勢調査

東京23区別の常住人口1万人あたりの認知件数でみると、品川区は約55件、この認知件数は23区内でも比較的認知件数が少ない傾向といえます。また、通勤・通学者の流入により人口が増える昼間人口で見ても約38件と23区内では低い傾向にあります。

五反田駅前交番(2025年3月下旬撮影)

ここまで、犯罪認知件数を見てきましたが、近年の傾向から分かるように新型コロナウイルス感染症の収束以降、全体的に犯罪認知件数は微増傾向あります。また、五反田駅周辺においても同様に増加傾向にあります。五反田駅周辺で居住先を選ぶ際には犯罪がどのようなエリアで、どのような事件が発生しているのかあらかじめ把握しておくことをおすすめしたいです。品川区では防犯対策に関する特設ページを設けていますので地域の治安状況や注意喚起情報を得るためにも一度確認しておくと安心です。

五反田駅周辺の災害への備え

五反田駅周辺の地形の特徴と注意点

五反田駅周辺の地形 ※出典:国土地理院地図

五反田駅は、武蔵野台地の谷間に位置しています。谷間には東京都が管理する目黒川が流れており、河川洪水による浸水被害の恐れがあります。また、海岸線に近く、高潮浸水の恐れもある地域となっています。

なお、五反田駅周辺であっても、台地側(図中のうち、五反田駅の北側)に位置する池田山や島津山、花房山などでは一部で土砂災害に注意が必要なものの、河川洪水による浸水の恐れは少ないエリアとなっています。

五反田駅周辺のハザードマップ

河川洪水浸水想定

五反田駅周辺では、河川洪水をはじめ、内水氾濫、高潮浸水、土砂災害に関するハザードマップが公表されています。

これらの確認方法は、国の「ハザードマップポータルサイト」や「不動産情報ライブラリ」により、スマホやPC等のデジタルデバイス上から確認できます。また、品川区では「防災地図」を作成しており、避難場所を含め防災に必要な情報を確認できますので、品川区への居住を検討している場合には、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

五反田駅周辺の地盤

地形分類(自然地形)

五反田駅周辺は、地形分類上「氾濫平野」や「海岸平野」に該当します。これらの平野は、過去の洪水によって河川から運ばれた砂や泥が堆積し、かつての海底が干上がってできた地形です。そのため、海岸に近いほど地盤が軟弱な傾向があり、地震時には揺れが増幅されやすいという特性があります。

特に、地盤の特性と建物の固有周期が一致すると、地震動と共振して揺れが大きくなることがあります。また、地下水位の高い地域では、液状化のリスクも指摘されています。

なお、私自身、建築士としての立場から申し上げると、近年、建築された建物は、液状化対策や耐震性の確保がなされており、必要以上に不安になる必要はありません。ただし、万が一に備え、家具の転倒防止を適切に行うことは重要です。家具の転倒による圧死や、避難経路の遮断といった二次被害を防ぐことができるため、ぜひ備えておくことをおすすめします。

五反田駅周辺の避難場所・防災対策

避難場所や避難経路の確認には、国が運用している「不動産情報ライブラリ」の利用や、品川区が発行している「防災地図」の活用が便利です。防災地図に関しては、品川区が公式ホームページ上で公表しているので簡単に入手することができます。災害が起きてからの行動は事前に確認しておくことが大切ですので、ぜひチェックしてみてください。

五反田駅周辺のエリアごとの特徴

五反田駅東側の高台に位置する池田山公園(2025年3月下旬撮影)
五反田駅付近を流れる目黒川と再開発により整備された分譲マンションなど(2025年3月下旬撮影)

五反田駅東側には歓楽街が形成され、夜間の治安が良いとは言い難いです。このことが、五反田での生活に不安を覚える理由になると思います。

ただし、警視庁が公表する犯罪認知件数からみれば、歓楽街や駅前以外のエリアでは治安は安定しています。また、近年では、五反田駅から大崎駅周辺にかけて再開発が積極的に行われ、タワーマンションが多く立地しており、歓楽街の近くとは思えない都市景観となっています。

五反田駅東側の高台に位置する島津山内の高級住宅街(2025年3月下旬撮影)

また、駅の北・東側に広がる高台(池田山や島津山、清泉女子大周辺など)では、閑静な高級住宅街が広がっており、治安は安定しているといえます。加えて、近年では積極的な市街地再開発によって景観形成とセットになって、統一した街区が整いつつあります。

五反田駅周辺での住まい探しのおすすめ条件

五反田JPビルディング。日本郵政不動産株式会社が「旧ゆうぽうと跡地」に建築した複合型商業施設。飲食店やシェアオフィス、ホールのほか、ホテルとして星野リゾートが入る(2025年3月下旬撮影)

ここまで五反田駅周辺の治安や災害ハザード情報などをお伝えしてきました。五反田駅周辺で物件を探す際には、災害ハザードエリアを確認した上で、物件条件を選定する必要があります。例えば、1階部分が浸水する恐れがある0.5〜3m未満の浸水のケースでは2階以上に住むなどの対策や、3m以上の浸水の恐れがあるエリアの場合には避難所に近いエリアや想定浸水深以上の高さに居住することも考えられます。

なお、筆者は建築士としての実務経験に加え、行政職員として都市計画を担当していた経歴があります。その立場からお伝えすると、浸水リスクのある地域では、物件選びの際に「どの程度のリスクを許容できるか」を事前に明確にしておくことが重要です。

ハザードマップでは一般的に、1000年に1度の確率(年間発生確率0.1%)で起こりうる大規模な洪水を想定した浸水区域が表示されています。しかし、より現実的な判断材料としては、例えば目黒川の100年に1度の確率(年間発生確率1%)に基づく想定も参考になります。

目黒川では、この「100年確率」による浸水想定が公表されており、そこでは0.5m以上の浸水が見込まれるエリアも存在します。そうした地域に住むかどうかを判断する際には、災害リスクと日常の利便性のバランスをどこまで受け入れられるかを、ご自身のライフスタイルや家族構成に照らして検討することが大切です。

最後に、駅周辺の治安についても少し触れておきます。確かに五反田駅東口には歓楽街があり、夜間に不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、そうしたエリアは駅近くの一部に限られており、それ以外の多くの場所では、比較的落ち着いた雰囲気が保たれています。特に駅周辺にはビジネス街と飲食店街も広がっており、ビジネスマンをターゲットとした店も多く、単身世帯や共働き世帯にとっては利便性の高い暮らしやすい環境といえます。

【五反田駅周辺の家賃相場】
・ワンルーム:12.83万円
・1LDK:25.65万円
・2LDK:30.15万円
・3LDK:55.32万円

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