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気候変動対策で米の品質と付加価値向上目指す 新潟県長岡市で地域循環型の米づくりが始動 岩塚製菓など5者が協力

にいがた経済新聞

会見の様子

会見の様子

新潟県長岡市で地域循環型の米づくりを行う「N.CYCLE」が8月30日に始動した。米の品質向上や気候変動対策の取り組みによって長岡産米の価値を高め、米生産者の収益向上や農業の担い手不足解消などを目指す。

「長岡地域資源循環プロジェクト N.CYCLE」に参画する、岩塚製菓株式会社、えちご中越農業協同組合(JAえちご中越)、株式会社ホーネンアグリ、株式会社ネオス、NTTコミュニケーションズ株式会社の代表者が8月30日、アオーレ長岡で記者会見を開いた。

この取り組みの背景には、近年の気候変動によって、米の収量低下、収益低下が起きやすくなっている米づくりの現状がある。特に昨年、猛暑と渇水によって県産米の品質が低下したことは記憶に新しい。

「N.CYCLE」で取り組む主なものは、水田の環境改善による米の品質向上と、気候変動対策によるJ-クレジットの創出だ。

岩塚製菓の槇春夫代表取締役会長CEO

長岡市の磯田達伸市長

水田の環境改善には、以前より岩塚製菓、JAえちご中越、ホーネンアグリが開発に取り組んできた「籾殻炭バイオ堆肥ペレット」を活用する。これは、本来廃棄されていた、米づくりの際に出る籾殻や米菓製造時の米の研磨粉、地域の刈草など有機未利用資源を材料に作った肥料。この肥料と農家への秋耕の指導により、良質な土をつくり、暑さに強い稲の育成、つまり米の品質向上と収量の安定を目指す。

一方で、籾殻の炭化(「バイオ炭」化)による二酸化炭素発生抑制と、稲作中の中干し期間の延長によるメタンガスの発生抑制で、J-クレジットを創出する取り組みも行う。こうして作ったクレジットを企業などへ販売することで、その売却益を農家へ還元する仕組みだ。

長岡産米そのものの品質向上と、環境配慮への取り組みで付加価値向上を目指す。これにより、エシカル消費の拡大や農家の収益改善、今後の担い手不足解消も狙う。

岩塚製菓の槇春夫代表取締役会長CEOは「全国で持続可能性が叫ばれ、様々な企業などが取り組みをしているが、(今回のN.CYCLEで)その最先端を長岡市が走ることになる。それは地域の誇りにもなっていくと思う」と話した。

長岡市の磯田達伸市長は「長岡市は米の作付面積は全国2位、酒蔵数も全国2位。米によって長岡の文化はつくられてきており、現在も市の大きな産業」だと米づくりについて話す。続けて「パンなどと比べた時、米はあまりにも安い。消費者にとっては悪いことではないが、生産者にとっては苦しい点。そういったなかでこの取り組みが始まるのは、長岡にとって希望の光」だと期待した。

【関連リンク】
J-クレジット制度 「J-クレジット制度について」

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