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「完全母乳」のプレッシャー、ミルク混合のやましさ。子どもを泣かせた130日

たまひよONLINE

3歳育児中。ライターの宮本真知です。出産、育児のなかで仕事と子育てのバランスに悩み、ライティングの道に足を踏み入れました。結婚後3年が経過し、ちょうど30歳になった節目の年に妊娠。そろそろ親になるのもいいかなという、成り行き的な妊娠でした。

「おっぱいを与えないと死ぬのでは?」という恐怖


妊娠中も、出産も大変だったのですが、個人的にもっともつらかったのが“授乳”です。どう頑張っても十分には出ませんでした。

私が出産した産院はなるべく母乳を与える方針でした。入院中は1日に17回も授乳した記録が残っています。うち3回は30分かけて授乳していたよう。子どもが泣きやまず、おっぱいをあげ続けていた記憶があります。今思うと、しつこくおっぱいを与えられることがうっとうしくて、我が子は泣いていたのかもしれません。

当時、授乳するたびに子どもを体重計に乗せ、「20g飲んだ!」などと言って喜んでいました。ちゃんとおっぱいをあげないと赤ちゃんが死んでしまうかもしれない…。という恐怖が、私にはあったように思います。

“完全母乳”のプレッシャー。ミルク混合のやましさ


授乳した後も赤ちゃんがおっぱいを求める様子は、私が退院してからも続きました。そのため、退院してすぐ、母乳とミルクの混合を始めました。それと同時に、少しでも母乳の量を増やそうと、スマホで母乳情報を調べる日々が続きました。

ネット上では「母乳は免疫が付く」「母乳で育つと健康になる」という情報があふれかえっていました。ママたちの口コミに登場する「完母」という言葉が、私の目に誇らしげに映りました。

完全母乳…。「完母」という言葉が、ミルクに頼らずに育児ができているという“勲章”のようなものに見え、ミルクを使用している自分に後ろめたさを感じました。そして、出ないおっぱいを延々と吸わせ、子どもを泣かせる毎日でした。

気持ちの切り替えができたのは「母乳は3ヶ月で軌道に乗る」という情報を見たときです。3ヶ月目でやっと母乳が軌道に乗っても、5〜6ヶ月ごろから離乳食が始まるなんて、頑張ってもしょうがない。そう思えたのです。どこかで「完母」失格の自分に、正当な理由をつけたかっただけかもしれません。

母乳育児から逃げるように仕事復帰。完全ミルク育児へ


生後4ヶ月頃から、経済的な理由で就職活動を始めました。幸いすぐに育児との両立に理解のある会社とのご縁があり、9時から16時までの会社勤務を再開しました。経済面で就職を焦っていたのも事実ですが、子どもとこれ以上一緒に居たら、おかしくなりそうな精神状態だったのも事実です。私の場合、仕事復帰は育児においても良い方に働きました。

出社初日のお昼休憩で、おっぱいがカチカチになっているのを発見したのです。それで、子どもが大変な食いしん坊だったため、母乳は十分に出ていたのだけれども、それ以上に子どもが飲んでいて、足りなくて泣いていたのだと分かりました。私が出す以上に飲みたいのだったら、ミルクも飲んでおなかいっぱいになってほしいと、素直に思えた瞬間でした。

さらに、仕事から帰ってきてすぐ子どもにおっぱいを差し出しても、いつもと違って全然口をつけず、ミルクしか飲まなかったのも踏ん切るきっかけになりました。本人がミルクを飲みたいならば、もう母乳は終わりでいいやと思えました。

子どもは現在3歳になりました。ミルク育児でも何の問題もなく、ジャングルジム内を縦横無尽に飛び回る元気な子どもに育ちました。仕事復帰により子どもと離れる時間ができたことで、少ない母乳でおなかをすかせるよりも、成長に必要な分のミルクをしっかり飲んだ方が子どものためだと思えるようになりました。もしかしたら、私の場合は、あえて子どもと離れる時間が必要だったのではと今は思います。

[宮本真知*プロフィール]
一児の母。妊娠による退職、妊娠糖尿病、20時間の出産、母乳ノイローゼ、保活に失敗と、つまずきだらけの育児を経験。今は子育てと仕事の両立に悩む日々です。悩んだからこそ、失敗したからこそ学べたことをお伝えします。

※この記事は個人の体験記です。記事に掲載の画像はイメージです。

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