引退馬に会えることの意味…競馬ファンじゃなくても家族で楽しいふれあいスポットを獣医師ママライターが徹底解剖!|北海道・苫小牧「ノーザンホースパーク」
牛や馬専門の獣医師の経歴を持ち、アニマルセラピーにも詳しいママライター「MERI」が、北海道各地の「動物とふれあえるおすすめスポット」とそのおすすめポイントを紹介する【連載】「こころ育む、動物ふれあいスポット」。
今回は、新千歳空港から車で15分、無料のシャトルバスも出ているノーザンホースパークをご紹介します。
「観光スポット」として人気が高いノーザンホースパークですが、実は地元・北海道民にもおすすめな場所なのです!
もしお近くにお住まいでしたら、お得な年間パスポート(大人1600円・小学生800円)がおすすめ!
入園2回分の料金で1年間何度でも楽しめちゃいます。
実は私もこの年パスを持っていて、公園に遊びに行くような感覚でノーザンホースパークに遊びに行っています。
この記事では、獣医師+ママの目線でノーザンホースパークの楽しみ方について解説します!
子連れで楽しめるポイントを中心にご紹介しますので、お子さんと一緒に遊びに行ってみてくださいね。
ノーザンホースパークってどんなところ?
ノーザンホースパークは、ポニーショーの観覧や観光ひき馬・観光馬車などの体験ができる場所です。
新千歳空港から近いこともあって、全国だけでなく海外から訪れる人もたくさん!観光シーズンの夏は特に多くのお客さんで賑わいます。
馬と触れ合える体験メニューは無料の「ハッピー ポニーショー」を始めとして、にんじんクッキーをあげられたり、ひき馬やホーストレッキングがあったりと7種類!
それ以外にも自転車やセグウェイ、ストライダーを借りられたり、テニスやパークゴルフなどのスポーツを楽しめたりとアクティビティがなんと14種類も!
とにかく家族で1日中楽しめることも魅力です。
それぞれの利用料金は500円~5000円となっていますが、1日遊ぶならアクティビティパスもおすすめ!
大人3300円、小学生以下2500円で馬と触れ合えるものも含めて多くのアクティビティが一気に楽しめますよ。「ノーザンホースパークで遊び尽くしたい!」という人はぜひこちらで!
夏だけではなく、馬そりやミニスノーモービルなど冬だからこそ楽しめるメニューもあり、季節ごとに一味違った楽しみ方ができるのもうれしいですよね。
子どもにおすすめ!をピックアップ
たくさんある体験メニューのなかから、特に子どもが喜ぶおすすめのものをご紹介します!
おすすめ①ハッピー ポニーショー
ノーザンホースパークといえば、やっぱり「ハッピー ポニーショー」!
夏期(4/15~11/5)は11時/13時/15時の1日2〜3回、冬期(11/6~4/9)は1日2回、各回20分ほどのショーを開催しています。
愛らしい大きさのポニーたちが技を一生懸命披露してくれる姿を見たら、小さな子どもももちろん、大人もついつい夢中になって「がんばれ〜!」と応援してしまいます。
ショーの終了後にはポニーと触れ合えたり一緒に写真を撮ったりできる時間もあるので、ぜひ最後まで楽しんでくださいね。
おすすめ②観光ひき馬
観光ひき馬は、身長90cm以上の子どもであれば一人で乗ることができます。
また、身長90cm以下の子どもでも、保護者の方と一緒に2人乗りもできるので、乗馬が初めてでも安心です。
料金は一人乗り¥1200、二人乗り¥1500となっています。
ひき馬のコースはまるで林のなかを散策しているよう。リラックス効果も抜群です。
乗馬が初めての方は少し怖く感じることもあるかもしれませんが、馬の揺れに身体を預けながら目線を遠くに、周りの景色を見るようにすると楽しめますよ!
今年4歳になる息子はこの大きいお馬さんに乗るのが大好き。
ゆっくり歩くのでは物足りないらしく「走ってほしい!」といつも言っています。
もう少し大きくなったら乗馬でも習わせてみるか〜。
おすすめ③乗り物が大好きな子どもには三輪車や自転車も!
ノーザンホースパークの敷地はとっても広いので、乗り物で移動するのがおすすめです!
こちらのポニーサイクル(三輪車)は、座るところがお馬さんの形になっていてしっぽまで付いています!ちゃんとブレーキもついているので安心。
基本は30分/500円ですが、アクティビティパス(大人¥3300、小学生以下¥2500)を利用すれば何回でも利用可能!ポニーサイクルに飽きたら、ストライダーなども利用できます。
ほかにも二人乗りや四人乗り自転車もあるので、ご家族みんなで楽しく移動してノーザンホースパークを満喫しましょう!
競馬ファンにうれしいだけじゃない「引退馬」に会える意味
9月。夏季のみ開催の札幌競馬と函館競馬も終わり、中央競馬は通年開催の本州の競馬場のみとなります。
実はノーザンホースパークは競馬を引退した有名な馬たちに会える貴重な場所でもあるのです。
ここで、獣医師の私から、競走馬たちの現実と余生について少しお話させてください。
競馬を引退する時期は主に馬の状態で判断され、牝馬(メス馬)は繁殖用として生産牧場へ移動したり、牡馬(オス馬)は種牡馬となってスタリオン(種馬場)で活躍したりしています。
一般的に、競走馬はレース中や調教中にケガをすると、ケガの程度によって治療を兼ねた休養を行うか、もしくは引退するかが判断されます。
治療を受けて治る見込みがあれば競走馬として現役続行となりますが、治る見込みがないケースや治癒までに時間がかかってしまうケースでは、引退が選択されることもあります。
引退後は、乗用馬や繁殖牝馬として活躍できる馬もいれば、ケガの影響でそれすら叶わずに殺処分となってしまう馬たちもいるのが現実です。
一方で、大きなケガをして引退するケースでは、競走デビューしてすぐ(2〜3歳)の馬もいれば、デビューすらできずにこの世を去っていく馬たちも数多くいます。
「競走馬ってかわいそう…」と感じてしまう方もいるかもしれませんが、これが現代の馬として生まれた宿命です。
生まれた瞬間から多くの人が世話をして、調教をして、競走馬として活躍していく。
私も獣医師としてたくさんの馬に関わってきました。
決して馬は使い捨てなんかではなく、1頭1頭がたくさんの人の想いを背負って生きています。
なかなか一般の方には理解が難しいところなのですが「大切な馬につらい思いをさせない」という意味でも、ケガによる処分は最善の選択なのです。
そして、そんな中で大きなケガなく競走を無事に引退し、功労馬として余生を送っている馬たちは「特別な存在」といえるのです。
馬の寿命は25年ほどといわれていますが、功労馬として余生を送る馬の中には30歳近くまで長生きしている馬もいます。
そんな背景を少し覚えていただいて、ノーザンホースパークの馬たちにぜひ会いに行ってみてください。
あの引退馬にエサやりができちゃう!?
こちらは「ミッキースワロー」。中央競馬で3億円以上もの賞金を稼いだ実績のある元競走馬です。
ノーザンホースパークでは競走を引退した馬たちに会えるだけでなく、にんじんクッキーのエサやり体験ができます!にんじんクッキーはインドア乗馬場で販売されていますよ。
生のにんじんだとふにゃっと曲がってしまってあげにくいこともあるのですが、クッキーなら小さな子どもでもしっかり握って馬たちにあげられます。
網越しにあげるので、馬が勢いよく迫ってくることもなく安心です。
あげるときにはなるべく端っこをしっかりと持ち、指をかじられないように気をつけながらあげてみてくださいね!
先ほどご紹介したミッキースワローのほかにも、たくさんの引退馬に会うことができます。
(2024年8月現在)
●ウインドインハーヘア
●ヴァーミリアン
●フォゲッタブル
●ラストインパクト
●キンシャサノキセキ
●セダブリランテス
●ヒンドゥタイムズ
●ブラストワンピース
●ユーキャンスマイル
●レインボーライン
●ワールドエース
競馬好きな方なら(そうでない方も?)ご存じの馬もいるのではないでしょうか。
私が現役の獣医師として勤務していた頃、繁殖牝馬を種付け(交配)に送り出した思い出のある馬もいます。感慨深いですね…。
馬について学べるホースミュージアムも充実!
ノーザンホースパークには、ノーザンホースミュージアムがあり、馬について楽しく学ぶこともできます。
ハッピー ポニーショーの会場でもあるパラッツォ・ベガ ポニー館の2階には、見て・触って・匂いを嗅いで、五感をフル活用しながら学べるミュージアムが!
馬の手入れ道具やエサなどを実際に展示しているので、小さいお子さまもきっと興味を持ってくれるはずです。
お子さまと一緒にノーザンホースパークで遊び尽くそう!
今回は「ノーザンホースパーク」をご紹介しました!
馬と触れ合えて、引退馬たちの姿も見られて、そして、アクティビティも大充実!
1日中楽しめるおすすめの場所です。
レストランやカフェもあるので、お昼ごはんやおやつのことを気にせず過ごせるのもうれしいですね!
帰りにはおみやげ屋さん(スーベニアショップ)に立ち寄って、思い出の証を買って帰るのもおすすめですよ。
ぜひご家族そろって、ノーザンホースパークに遊びに行ってみてください!
【ノーザンホースパーク】
所在地:〒059-1361 北海道苫小牧市美沢114-7(新千歳空港から車で約15分)
営業時間:4/15~11/5:9時~17時、11/6~4/9:10時~16時
休園期間:4/10~4/14
定休日:なし
入園料:大人(中学生以上)800円/小人(小学生)400円/小学生未満は無料(11/6~4/9は大人500円、小人200円、小学生未満無料)
年間パスポート:大人(中学生以上)1600円/小人(小学生)800円
※入園料などの情報は2024年8月現在のものです。最新情報は公式サイトでご確認ください。
文:MERI
1991年生まれ、1児の母。東京都出身、2016年より北海道に移住し現在は安平町在住。
牛と馬の産業動物獣医師として勤務したのち、ライター&カメラマンに転身。動物やペットに関する記事を多数執筆。大学時代には馬の飼養管理を担当しながらアニマルセラピーの研究を行う。動物に関する豊富な知識と経験を生かし、動物とのふれあいを積極的に取り入れる子育てを実践中。
編集:Sitakke編集部あい