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【ついに刑事告発】梅谷代議士の「酒くばり疑惑」に見る3つの焦点

にいがた経済新聞

次期衆院選で四度対決する立憲・梅谷氏(右)と自民・髙鳥氏(7月10日、林屋旅館で)

立憲民主党の梅谷守議員(2022年4月24日撮影)

立憲民主党の梅谷守衆議議員が選挙区内で有権者に対し日本酒を配っていた問題は、地元メディアによって事実を裏付ける動画も公開されたが、当の本人は公式の場で釈明をしておらず、ここまで党もこれを静観していた。

しかし4月9日、糸魚川市の行政書士によって、公職選挙法違反(寄付行為)の疑いで県新潟地検と警捜査2課に告発状が提出された。

刑事告発を行ったのは、元糸魚川議会議員で議長経験者の倉又稔氏(77歳)。自身は自民党員であるが、今回の行動は党とは関係なく「憤りが大きかった」と話している。倉又氏は同日、新潟県庁で会見を開き「梅谷議員が2023年7月ごろから24年2月ごろまでの間に6回にわたって日本酒6本を配り、そのうち1回は現金5000円を寄付した」と説明した。

4月9日の時点で告発は受理に至っておらず、梅谷氏側も「告発の内容がわからない」として報道関係の質問に対し答えを差し控えている。

梅谷氏のFacebookより

一方で、この問題に対して地元有権の関心は高く、早急な事実解明を求める声は大きい。事態の今後を注視する中で、ポイントは3点あげられる。

①刑事訴追の行方

梅谷議員のこの問題は、「酒くばり」のやり取りが完全に映った動画が地元メディアによって公開されている。また動画の真偽については、本人も自身のSNSで支持者に対して「軽率な判断」を詫びているため、寄付行為ととられかねない行為があったことを認めている。

公職選挙法では、選挙区内で政治家が寄付行為を行うことは、選挙の有無にかかわらず禁止されている。これは冠婚葬祭における贈答などについても同様である。そう考えた場合、梅谷氏がSNSで主張している「あくまでイベントの対価として提供した」との言い訳も成立しないのではないか。

過去の事例では2000年に自民党の小野寺五典衆院議員が氏名入りの線香を選挙区で配り、書類送検されて議員辞職に追い込まれた。2014年には、当時法相だった松島みどり衆院議員が地元の盆踊り大会で、自身のイラストや氏名、政策などが書かれた「うちわ」を配布したとして追及され、役職辞任している。2021年には同じく自民党の経産相だった菅原一秀衆院議員が、やはり選挙区内の寄付行為で計約80万円を支出したとし、略式起訴のうえ公民権停止3年となった。

これを見る限り、政治家の寄付行為が発覚した場合、背景にどんな意図があろうと、決して軽い処分で済まされない。

②ここまで会見を開かないことへの評価

梅谷議員は、2月に事態が発覚してここまで、この件について自身の口から説明を一切行っていない。地元上越市の記者クラブは再三にわたって会見を開くことを要求しているが、それにも一切応えていない。先に述べたように、自身のSNSでほんの少し弁明した限りである。

これに対し党では、岡田克也幹事長が「事実関係を把握したうえで、どう対応するか考えていきたい」と発言。泉健太代表も「説明責任が果たされていない。必要であれば本人自身が自ら進んで対処すべきだ」と発言している。

事態が発覚して、2カ月近くが経過しようとしている。この間に自民党裏金問題は、国民に大きな不満を残しながらも当該議員への処分が決定した。選挙区でのライバルという立場の高鳥修氏も、党からの「戒告」処分となった。

一方で地元マスコミからは「梅谷議員が口を閉ざしているのは、党からの指示」という見方もある。事実であれば「自身で進んで対処すべき」という泉代表の言葉と相反するもので、これ自体も問題となるのではないか。

③選挙への影響

梅谷議員が選出される旧新潟6区は、今後新選挙区となる新潟5区へと舞台を移す。選挙戦が予想される梅谷氏と高鳥氏だが、先述したようにどちらにも「問題が発覚した」こととなった。

このうち高鳥議員は、派閥パーティー券問題が発覚すると、自身で会見を開き、新潟県連会長や党の役職を退いた。また検察の取り調べの対象から外されたことも明らかになっている。これに対し、事態発覚から2カ月近くにわたって口を閉ざしている梅谷氏は、有権者の目にはどう映るのか。

もし会見の不開催について本当に「党からの指示」があるとすれば、党としては「次の新潟5区は候補のすげ替え」となる可能性も十分に考えられる。今回、刑事告発が成されたことで事態が動き出すことが考えられるが、立件民主党としては新5区の予定候補が誰になるにしても、苦しい展開を余儀なくされる。

選挙区で戦う高鳥修一代議士は、自身の還付金不記載問題で会見を開いた

(文・編集部  伊藤 直樹)

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